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「おいしさの表現辞典」川端晶子、渕上匠子編

食べれば美味しいと分かっているものでも、それを言葉で伝えようとすると大変です。

そうとうな文章力を持った人でも実際に食べた時の感動を文章だけで表すのは難しいことでしょう。

 

そこで食品関係の専門家である編者を中心に有志8人がつどい、350冊の文学作品、エッセイ、新聞記事などから「おいしさ」を表現した文章を抜粋し一冊にまとめたというものです。

なお、この有志の方々は執筆当時の年齢で20代から70代までと幅広い年齢層からなっておりその点ではバラエティーに富んだものですが、ただし女性だけです。

 

対象となるものは明治後期以降現在までの文学作品等ということで、中には文豪の作品もあり、また新聞の日常の記事もあり、さまざまなものです。

 

また取り上げる食品も、野菜果物、魚介類、肉類、菓子・嗜好飲料から、調味料に至るまで、そして料理法から「水」まで含んでおり、我々が口にするものほぼすべてと言うことができるでしょう。

 

「辞典」の内容をあれこれ紹介するのも大変ですので、ごく一部のみ引用しておきます。

 

・生湯葉射込みの天ぷらは、見た目のすっきりした美しさといい、味といい、間然するところのない絶品である。(佐藤隆介・近藤文夫・茂出木雅章/池波正太郎の食卓)

 

・自分は一つの梅干を二度にも三度にも食ふ。それでもまだ捨てるのが惜しい。梅干の核は幾度吸はぶってもなほ酸味を帯びて居る。それをはきだめに捨ててしまうといふのが如何にも惜しくてたまらぬ。(正岡子規/仰臥漫録)

 

・ゴマ豆腐だけは、非常によかった。どこでも出す料理だが、普通のよりも遥かに弾力に富み、そしてネットリと濃味だった。(獅子文六/私の食べ歩き)

 

・底石が安定していて苔のよくつく川の魚はやはりうまい。アユだと特にハラワタの部分あたりにそこはかとないにがみがあっていい。(開高健/小説家のメニュー)

 

・味わいのボリューム感からすると精米歩合の高いほうが、つまり純米酒のように大吟醸よりも安い酒の砲が味わいは濃く、奥深さが感じられるわけです。アルコール度数が上がることにより第一印象のボリューム感がますます大きくなって、口中の熱感もさらに強まります。後味にはやはり苦味が残るのですが、スパッとキレてしまう苦味です。原酒になるとアルコール感が出てくるので、甘味も感じます。(田崎真也/日本酒を味わう)

 

こういった文章が並んでいます。

 

 




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