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「富士山噴火に備える」「科学」編集部編

富士山が噴火したら、そういった危険性は語られることはあっても、まだまだ世間一般に浸透しているとは言い難い状況のようです。

もし噴火しても東京には火山灰が降ってくる程度だろうといった感覚が普通かもしれません。

しかし火山の専門家の見方はそうとう厳しいもののようです。

この本では火山や噴火の専門家が多数、それぞれの研究を基に説明しています。

私も火山噴火などについては色々と調べてきた方だと思いますが、それでも知らなかったことがいくつも出てきました。

なお、主に富士山噴火について扱っていますが、他にも大規模カルデラ噴火といったより巨大な噴火災害についても解説されています。

また原発と火山噴火といった話題にも触れているのはちょうどそういった時代だったからでしょうか。

 

日本列島には数多くの火山がありますが、その中でも富士山は約10万年足らずの若い火山であるにも関わらず非常に山体が大きいという特色があります。

これは他の火山に比べてマグマ噴出率が大きいからであり、そこには非常に大きなマグマ溜まりが地下17㎞という深い場所に作られていることが関係します。

そしてそれは富士山の位置が、プレートがせめぎ合う場所にあるからだという、日本列島の中でも特異な状況だからだそうです。

まだ仮説の段階ですが、フィリピン海プレートの先端がぶつかり合い裂けているという説もあるそうです。

 

富士山噴火の歴史をたどっても、その年代により噴火の様式が変わっているという特色があります。

平安時代貞観噴火などでは山腹からの溶岩流出が特色ですが、その後しばらく期間をおいての江戸時代の宝永噴火では大量の火山灰放出が特徴となりました。

それからはほとんど噴火の無い期間が現在まで続いていますが、次の噴火のためにマグマが貯まっているとすると大規模噴火となる可能性も強いものです。

それがどのような噴火になるのか。

噴火に伴い山体崩壊という現象が起きる危険性もあり、その場合には湘南海岸まで岩石が流れ込むこともあり得るとか。

 

大量の火山灰が放出された場合には風向きによっては東京方面が大きな影響を受ける危険性も大きいものです。

電線に積もって停電が長期続くという見通しもあります。

一つ興味深いのは「火山灰が積もった道路で車は運転できるか」ということでした。

その実験というものも実施が難しいものですが、それをやったところ降灰が12㎝を越えると二輪駆動車ではほとんど空転して運転できなくなります。

さらに雪道であればその程度の積雪量ならタイヤチェーンで対応できますが、降灰道路ではチェーンを着けるとかえって空転が激しくなるそうです。

これは雪は押し付けると摩擦力が高まるのに対し、灰では逆に摩擦が低くなってかえって滑るのだとか。

 

最後の部分の「巨大カルデラ噴火」は特に危険性の大きいのが九州南部とあって、非常に恐ろしいものでした。

日本全体ではだいたい1万年に一回の割合で起きており、前回が7300年前の鬼界カルデラですからあと2000年もすれば危険性が増します。

その噴火でも九州南部は火砕流に覆われています。

9万年前の阿蘇4と言われる阿蘇噴火の最大のものでは火砕流は九州全体を襲い、火山灰は北海道の先まで積もりました。

さらにこういったカルデラ噴火の兆候は判るかどうかも不明、とにかくその実例は研究者は見たことがないのですから。

何年も前に前兆が分かったとしても対策は逃げることしかありません。

 

富士山噴火は必ず来る、というのは確かなのでしょうが、その対策をしようという気は社会にはないようです。

あるのなら東京一極集中などと言う最愚策はあり得ないはずでしょう。

せめて政経の重要施設の分散は急がなければ。

 

 




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