雪崩による遭難は起き続けています。
特にゲレンデ以外で滑ることを楽しむバックカントリースキーというものが流行しているため、それが雪崩を引き起こしてしまうということも多くなっています。
本書著者の阿部さんは北海道大学山とスキーの会出身、その後も雪崩事故防止の活動を続けています。
雪崩に巻き込まれても迅速に助け出されれば命は助かることもあります。
そのための装備として、雪崩トランシーバー、シャベル、プローブという三点セットを持っていくことが必要であり、しかもその使用法に習熟しておかねばなりません。
北海道内では1991年頃から急激に雪崩トランシーバーの普及が進みました。
しかしその当時でも特にベテランほどその携行をしないということがありました。
どうせ雪崩に巻き込まれたらだめだからそんなものを持ってもしょうがないといった意見があったそうです。
しかし2007年の上ホロ山化物岩での雪崩事故で、雪崩トランシーバーの携行の有無が生死を別け、4名が死亡するということでその重要性、さらに捜索救助訓練も習熟することが必要ということが広まり、一気に普及が進んだそうです。
しかし、”内地”の登山者、山スキーヤーの認識は現在でも2007年以前の北海道より悪いようです。
内地でも雪崩事故は頻発しており、必要な装備と訓練が必要ということです。
雪崩トランシーバの携行をしても同行者が無事でなければ救助は難しくなります。
雪崩に巻き込まれ埋まってしまうと18分という時間が生死を別けると言われています。
同行者がすぐに救助を始めてもその時間内に助け出すことはなかなか難しいことです。
それでも中には単独行でバックカントリースキーなどに出かける人もいます。
会員制捜索サービスというものがあり、「ココヘリ」と呼ばれています。
入会すると会員証と呼ばれる発信機が貸与され、もしもの時は捜索隊が専用受信機で最長16㎞の距離から受信できるというものです。
尾瀬燧ケ岳にそれを持って一人でスキーに出かけた人は雪崩に巻き込まれてしまい、捜索隊が出て見つけられたもののすでに死亡していました。
本人は生きて見つかることは期待せず、そのココヘリで遺体が家族のもとに帰ることだけを望んでいたそうです。
海外からのスキー客などがゲレンデ以外に出ることがあるということも報道されています。
十分な装備なども持っていないでしょうから、今後さらに雪崩事故の被害者が増加しそうです。