イギリスの各地域は独立性が強いという話は聞きますが、それがどの程度のものなのか、よく分からないところもあります。
スコットランドと言う地域は独自の歴史を持っているのだろうとは思いますが、それが実際にどういうものか、それを把握するには良い本でした。
古代から近現代に至るまで、スコットランド通史として他国との関りも交え語っていきますが、それにしても戦争や蜂起などの多いこと。
大きく言って、南に接するイングランドとの関係は常に「敵対的関係」であったようです。
スコットランドはケルト系のピクト人とアイルランドから移住したこれもケルト系のスコット人が合一して建国した、ほぼ純粋なケルト人の国でした。
一方イングランドはゲルマン系のアングロ・サクソン人がローマ軍の撤退後に大規模に侵入して築いた国であり、最初から親和的な関係を保持できる環境にはなかったということです。
その歴史の中にはウィリアム・ウォレス、ロバート・ブルースといったイングランドとの争いの中で有名な人々も活躍しますが、時にイングランドに大勝することはあっても圧倒し勢力を伸ばすということはできませんでした。
スコットランドの中にも多くの氏族がありそれが独自の動きを見せるといった具合に統一的に動くことができなかったこともその理由になるようです。
シェイクスピアは実在の人物「マクベス」の史実を元に戯曲「マクベス」を書きましたが、実際には歴史的事実をあまり気にしなかったようです。
マクベスは実際にはスコットランドの一地域マリの領主であり、母方で当時の王マルカム二世とつながる正当な王位継承者であり、しかも17年間スコットランド王として立派に統治しました。
それらを無視し、シェイクスピアはマクベスの治世をわずか10週間に圧縮し、陰鬱な城での狂的な王殺しの主役にしてしまました。
スコットランドは数々の世界的スポーツを産み出した事実もあります。
ゴルフ、ハイランドゲームズ、カーリングなどは今でも世界的に広まっています。
あまりにもスポーツの人気が過熱し、禁止令を何度も発したということもあるようです。
ジャコバイト蜂起という言葉が何度も出てきており、ジャコバイトとは何だろうという気もします。
実はジャコバイトとは英語のジェイムスのラテン語形、ヤコブスに由来する語です。
革命でイングランドを追われてフランスに亡命したスコットランド出身のジェイムス7世・2世を正当なイングランド王として支持するのがジャコバイト党でした。
イングランド政府はハノーヴァー家から王を迎えたのですが、ジェイムスやその息子を王として迎えることを要求して蜂起を繰り返したそうです。
近現代では多くの学者、発明家、技術者をスコットランドは輩出します。
デイヴィッド・ヒューム、アダム・スミスなどの法哲学者、ジョン・ワットの蒸気機関、ウィリアム・トムソン(ケルヴィン卿)の電気関連の発明など世界的にも大きな影響をもたらした人々です。
スコットランド通史というものを見ていくと、やはりイングランドと一緒にはいられないのだろうという感想を抱きます。