今この瞬間にも世界のどこかでテロが発生しているといった時代になってしまいました。
フランスでも国内で多くのテロ事件が起きています。
それを子どもに対してどう説明するか。
子どもでもテレビや新聞でその事件を見ており、何らかの説明が必要ですが、それを的確に行える大人がそれほどいるとも言えないのでしょう。
この本の著者ジェルーン氏はモロッコ生まれでイスラム教徒として育ち、その後フランスにやってきて研究や執筆活動を行っています。
そのため、本書はあくまでもフランスのテロ事件を対象としており、イスラム教のテロ組織、そしてイスラム教とテロとの関係といった話題に限定されています。
訳者あとがきに、翻訳の西山教行さんが書いていますが、テロには宗教が関わるものが多いものの、その実行者がイスラム教徒に限ったわけではなく、キリスト教徒も仏教徒もヒンズー教徒もすべてがテロ実行犯になり得るところです。
しかしこの本ではイスラム教とテロという点に絞って描かれており、それを誤解しないようにということです。
中ほどに「テロリストの定義」が置かれています。
暴力がみなテロリズムにあてはまるわけではない。様々な大義に向けた政治的暴力があるものの、その正当性は必ずしも明らかなわけではない。宗教の名のもとに行われる暴力もある。いずれの場合にしても、テロリズムとは無実の人の生命を失うことがあると分かっていて、公的な場所を狙ってテロを引き起こすことだ。
これですべてのテロを定義できるかは少し疑問ですが、まあ一般的な解釈でしょう。
イスラームと民主主義は両立できるか。
フランスではライシテと呼ばれる政教分離の原則が厳しく守られています。
しかしイスラム教の国々でライシテを受け入れている国はありません。
トルコのみ政教分離と言っていますが、それでもライシテの原則には至っていません。
その他の国ではすべてイスラム教と政治とが結びついています。
それはムスリムにとって、イスラームとは生活すべてに関わるからです。
そのような国から大量の移民がヨーロッパにやってきた。
そこでライシテの原則に則ったルールが存在していた。
それを受け入れられるかどうか、難しい問題です。
ただし、フランスも移民受け入れの当初から適切な方法で受け入れてはいませんでした。
イスラム教徒の移民に対してもその宗教を尊重することはありませんでした。
それが移民の二世、三世がテロリスト化する原因ともなっています。
フランスでは2015年に国内でテロ事件が多発しました。
1月7日にはパリの風刺新聞「シャルリー・エプド」が襲撃され、12人が殺害されました。
1月9日にはパリのユダヤ食品専門スーパーの「イペール・コシェル」が襲われ、4人の死者が出ました。
8月21日にはアムステルダムからパリに向かう高速鉄道「タリス」の車内でイスラム過激派の男が銃を乱射しましたが、幸い死者は出ませんでした。
11月13日にはパリと郊外のサン・ドニで同時多発テロが発生し、銃撃および爆発で130名が死亡しました。
翌2016年7月14日には、ニースの遊歩道で花火見物をしていた人々にトラックが突入し死者84名が出ました。
犯人はいずれもイスラム過激派でした。
テロは決してなくならないとも書いてあります。おそらくそうでしょう。