以下の内容はhttps://sohujojo.hatenablog.com/entry/2024/08/26/060000より取得しました。


「男尊女卑 法の歴史と今後」成清弘和著

日本は男女格差が大きく、男尊女卑の傾向が強いと言われています。

しかし歴史的に見れば古代は女性の地位もかなり高く、それが武家社会への変化や中国の制度の採用などで変化してきたものとみられます。

 

そのような社会情勢というものは、様々な面から見ていかなければならないのですが、中でも法律の規定がどうであったかということは重要なものでしょう。

もちろん法律がすべての社会行動を規制するなどということは無く、法律通りには動かないことが多いのでしょうが、それでも大きな作用をするものです。

 

そのような観点から、相続、夫婦の財産、婚姻・離婚の規定がどのように法律に決められているか、それを中国(唐)令と大宝・養老令、御成敗式目武家諸法度、明治民法、現行民法に見ていきます。

またその中間の時代で明確な法律が無い場合はその他の文書、説話等も適宜引用していきます。

 

古代は女性の力もかなり強かったと言われていますが、その規定は成文法としては不明です。

 

近江令というものが作られたという伝承もありますが、伝わっていません。

浄御原令が天武天皇時に作られたと言われますが、これも詳細は分かりません。

今に伝わっている最も早いものが大宝律令です。

これらは中国との交流が盛んになる中、中国の律令を参考にして作られました。

しかし中国はそのはるか以前から強い父系社会でそれに従った社会制度であり、それをそのまま日本に移入することはできませんでした。

中国ではすでに女子の財産相続権はなく、嫡男がすべて相続する規定となっていました。

日本では女子も含めた子供に分割相続する風習があり、それと令とをどう調和させるかが難しかったようです。

大宝令ではそのような日本風の規定が十分に活かされておらず、中国令にかなり近い部分もあったものが養老令ではそれを改訂して実情に合わせたようです。

 

このような社会組織の原理というものは社会構造に強く影響されます。

中国からヨーロッパまで広がっていたのが父系性原理でした。

しかし20世紀以降世界の諸民族の調査が進むと、太平洋島嶼部や東南アジア諸民族には父系あるいは母系という線引きが不明確な民族が存在していることが分かってきます。

これらは双方系と呼ばれるのですが、どうやら古代日本もその社会構造を取っていたようです。

 

しかし中世になり武家社会となると戦闘能力のある男性の支配が強まり、財産や相続なども男性中心となっていきます。

御成敗式目ではまだ辛うじて女子の相続権は残っていたものの、徐々に変化していきます。

13世紀後半以降になると女子の相続は一代限り、その人が亡くなると返還するといった形になります。

そしてさらに女子への相続自体も認められなくなってしまいます。

 

それでも女性の実力はまだまだ強いもので、戦国末に日本を訪れた宣教師、フロイスなどの記録を見ると女性の行動がかなりの自由を持ち、婚姻などでも必ずしも夫に従属せず主体的にふるまっていることが記されています。

 

それが江戸時代になると徐々に男尊女卑の社会規則が完成していきます。

財産相続も嫡男への相続が当然とされ、その他の男子や女子にはほとんど分割相続されなくなります。

こういった規定は武家の規則に明らかであり、その他の庶民は必ずしもそれには従っていませんが、商家や農家で分割相続ができない状況がほとんどとなると嫡男相続しかできなくなります。

 

しかし制度的に確定したのは明治民法となってからです。

武家諸法度に規定され、武家が縛られたものが全国民に拡大されました。

武家の規定であった、家督相続というものが国民全体に広げられました。

戸主というものがすべてを取り決めるということが決められ、それは子女の結婚・離婚などにも及びました。

離婚の条件である不貞も、妻のもののみ条文化され、夫には触れられないという男尊女卑の状況とされました。

ここに、現在考えられている「伝統的家族制度」がようやく完成したと言えるようです。

 

現行民法はほぼGHQの指示によるものですが、男女差別を無くす方向であったのは間違いありません。

ただし、嫡出・非嫡出の差が残存、婚姻への親や戸主の関与は廃止されたものの、未成年の場合は親の同意と求める、夫婦の氏の規定はあいまい。女性の再婚に一定の期間を置くといった点に問題が残っているようです。

 

すべての社会的行動が法律通りにされたとは言えないでしょうが、法律を見ていくことでおよその社会が分かってくるということでしょう。

 

 




以上の内容はhttps://sohujojo.hatenablog.com/entry/2024/08/26/060000より取得しました。
このページはhttp://font.textar.tv/のウェブフォントを使用してます

不具合報告/要望等はこちらへお願いします。
モバイルやる夫Viewer Ver0.14