「太陽光を用いて液体燃料を作る」太陽光燃料のプラントをドイツに作ったという話で、おそらくドイツ人の記者が書いています。
news.yahoo.co.jp太陽光発電でいくら電力を作っても(”いくら”と言うほども作れませんが)その使い難さは誰もが気づくことで、航空機には使えないとか様々な不利な状況があります。
そこをごまかそうとして水素燃料などと言う方向に進む人もいますが、この話は正面からそれに当たり、玉砕しようという人たちのことのようです。
言っていることは科学的にみて全くおかしなところはありません。
炭化水素の酸化反応(燃焼)はどこでも見られる化学反応であり、それで得られるエネルギーは莫大で人類文明はそれを用いて発展してきました。
しかし、化学反応というのは可逆的であり、それを反対に進めれば二酸化炭素と水(水素)から炭化水素を合成してやることも可能です。
上記記事にもあるように、
「水と二酸化炭素を再生可能エネルギーで合成燃料に戻し、炭素のサイクルを閉じようというわけです」 怪しげな錬金術のように思えるかもしれないが、これはれっきとした化学に基づいている。
「れっきとした化学に基づいている」のは間違いありません。しかし実行不能であることもれっきとした化学から見れば当然のことです。
化学反応式、または化学方程式といったものは中学や高校で皆習うはずでしょう。
CmH2n + mnO2 → mCO2 + nH2O
ただし、これだけでは完全ではなく、化学反応には必ずエネルギーの発生か吸収が伴うということは高校では習うはずです。
したがって、上記の化学反応式は正確には下の熱化学方程式となります。
CmH2n + mnO2 → mCO2 + nH2O +Q(エネルギー)
このQ、反応エネルギーは反応の種類によってプラスの場合もありマイナスの場合もあります。
プラスであれば発熱反応、マイナスであれば吸熱反応ですが、この反応はどちらにも進む可逆反応です。
ただしエネルギーの状況によりどちらに進みやすいかが決まります。
炭化水素(化石燃料のような)の場合は燃焼により生じるエネルギーが非常に大きく、そしてそのエネルギーに依存して人類は文明を発展させてきました。
それを今度は逆反応を用いて炭化水素を作り出してやろうということです。
この場合のように大量の発熱反応を逆に進めようとするなら、そのために大量のエネルギーを外から加えなければ反応は進みません。
この記事の場合はそれを「太陽光発電」の電力エネルギーを使ってやろうということです。
これで一見、エネルギーと化学反応が収支が合って遂行可能のように見えます。
しかし、太陽光発電の電力はそれほど余っているのでしょうか。
日本ではメガソーラーがあちこちで国土破壊をしており問題化しています。
ドイツではそのような問題は起こらないのでしょうか。
起こらないと自信があるのならぜひ教えてもらいたいものですが、さほど構造が異なる発電装置を使っているはずもなく、その環境影響や廃棄物処理は全く解決不能のはずです。
そのような大変な思いをして作った太陽光発電電力を、太陽光燃料製造のために大量に投入する?
そのようなことが「割に合う」はずもありません。
この程度のことは理系大学生なら誰でも分かるでしょう。
高校生でもちょっと理解が進んでいる人ならおかしいということは分かるはずです。
それに気が付かない振りをしてこのような記事を書く記者というのは。
どんな人なのか。