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「分水嶺の謎」高橋雅紀著

分水嶺とはその山を境に別々の方向へ降った雨が流れていくというもので、その印象から一般でも使われることのある言葉です。

しかし地形学上は厳密に定義されているもので、また明確に見分けのつくものですから全国でその存在もはっきりしています。

 

この本ではその分水嶺を中国地方でたどり、(ただし地図上で)その紀行を綴ったものかと思って読み始めました。

しかし第1章は確かにそのようなものであったものの、第2章に入りまったくそうではなかったということに気が付きました。

 

分水嶺は高度が低い位置の場合もあり、それは「谷中分水界」(こくちゅうぶんすいかい)と呼ばれます。

そして分水嶺の周囲には「片峠」(一方はなだらかなのに一方は急峻な崖になっている峠)といったものもあり、また河川の流路が他の河川の浸食によって変わってしまう「河川争奪」といったものもあると言われています。

このような現象は地形学上では19世紀のアメリカの地形学者、W.M.デービスの提唱した浸食輪廻説によって説明されており、その後も地形学者たちはそれに沿った研究を進めてきました。

 

しかし本書著者の高橋さんはもともとは地質学者であり、地形の解釈は専門ではなかったことから、かえって自由にその地形の成因を推測することができ、これまでの地形学会の解釈とは全く異なるものを見つけたということです。

 

そして、この本はそれを広く提唱するために書いたのだということです。

 

日本列島はプレートの押し合う境にあり両側から圧力を受けています。

そのため中国地方では300万年前から継続して隆起しておりもともとは海底であったこの地域が徐々に高度を上げて現在のような陸地になったということです。

そしてその隆起がちょうど現在の高い山が島として現れ、徐々にそれが山地として塊となりそれに平地が続いていった頃、島と島の間の海峡があったものが、さらに隆起することで現在の谷中分水界になったのではないか。

 

これは現在の瀬戸内海で起きていることがそのまま昔にも起きていたということです。

今から数十万年もたつと現在の瀬戸内海の島々の間の海峡がそのまま谷中分水界になっているかもしれない。

 

地質学は数千万年、数億年の時間を取り扱いますので、長い時間(とはいっても日本列島関係ではせいぜい数百万年ですが)を想像することが比較的得意になるからでしょうか。

これまでの地形学ではあまり想像が及ばなかったようで、独自の発想から行きついた結論であり、まだ現段階の地形学会では同意が得られていないことのようです。

 

第1章の「分水嶺の旅」を読んで、こういったことがずっと続く本かと思ったら意外な展開に驚きました。

それでも第1章の実際の地形の紹介というのは、それだけでも十分に詳細で確かなもので、これだけが本書の内容と思うのも仕方のないほどの出来でした。

中国地方と言いますが、その少し東方の京都府の三国岳からスタートし、分水嶺をたどりながら最後は下関までたどり着きます。

その中で、谷中分水界、片峠、峠寸前の川の90度の折れ曲がりといった特徴が次々と現れます。

谷中分水界(平地のようなところに分水界があるところ)は中国地方で非常に多く、最も低いところは兵庫県氷上町氷上のJR福知山線石生駅付近で、標高95m、ほとんど気が付かないようなところですが、この北方の水は黒井川として日本海にそそぎ、その南は高谷川として太平洋側(瀬戸内海)にそそぐそうです。

ここまで標高の低いところは他にはないのですが、それでも平地と見なされるようなところで分水界(分水嶺とはいいがたい)になっているところが続きます。

 

中国地方の分水嶺中国山地の最も高いところを結んだ線かと思えばそうでもなく、岡山県の中部から南下して吉備高原に続きます。

その北側の三次盆地は分水嶺の北側なので広島県内ですが水は日本海側に流れていくそうです。

これも意外でした。

 

読んでいる途中で全く印象が変わってきて驚かされた本でした。

なお、著者の高橋さんはNHKの人気番組だった「ブラタモリ」へのアドバイスもしていたのですが、その時に関係者から尋ねられた「関門海峡はどうやってできたの」という質問からこの分水嶺に関する問題に気が付いたということです。

関門海峡の成因というものが他の中国地方の状況とも結びつきました。

 

 




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