G7の会合で石炭火力発電の廃止が期日まで決められたということがニュースとなっています。
それが本当に実現するのか。
「石炭火力発電は止めます」が「電気を使うのは止めます」、「エネルギーを大量消費するのは止めます」となるのが当然だと思いますが、そうはならないでしょう。
ヨーロッパが特に力を入れている風力発電や太陽光発電にエネルギー供給を転換しようということなのは間違いありません。
こういった電力供給がヨーロッパでは増えているという報道もされており、実際にそうなのでしょう。
しかしそれが本当にエネルギー転換という言葉に値するような内容なのか。
極めて怪しいというのが私の見解です。
エネルギーといっても、化石燃料と言われる石油や石炭と再生可能エネルギーと言われる風力発電や太陽光発電では全くその性質が異なるということは誰でも容易に想像できることでしょう。
それが感覚的なものだけでなく数値としても現れているということを先日示しました。
その中から基本的なデータを再度引用させてもらいます。(1990:内山、当時電力中央研究所)

1990年とかなり古いデータですが、おそらく石炭火力発電については現在でもほとんど変わりはないでしょう。
また太陽光発電は最近はかなり変換効率が上がり発電量も増えていると思いますが、基本的には傾向は同様と思います。
風力発電はすでに効率も発電量も最高度に達していると考えられますのでこちらもさほど変化はないはずです。
問題となるのは「エネルギー収支」そして「発電量」と「投入エネルギー」の部分です。
エネルギー収支だけを見れば、石炭火力が6.51に対して風力が6.20とほぼ同等、そして太陽光発電は2.34とかなり低いのですが、その後の能力アップでこれも現在ではかなり大きな数字となっているはずです。
この数値の比較からその性能もだいたい同じようなものであり、代替可能かのような印象を受けるものと思います。
しかしそこの奥に大差があると考えられます。
それが「投入エネルギー」の内容の違いです。
石炭火力発電では投入エネルギーの中でも「運転」に関わる部分が非常に大きなものとなっています。
これは燃料つまり石炭の採掘、選鉱、運搬に非常に大きなエネルギーを必要としていることを示しています。
それにたいし「建設」はさほど大きな数字ではありません。
それに対し、風力発電、太陽光発電では「運転」は事実上無視されています。
どちらも「タダ」のエネルギーである風、太陽光ですからゼロでよいということでしょう。
これも正確には違うのではないかと思いますが、それはここでは触れません。
つまりほとんどは「建設」エネルギーであるということです。
風力発電、太陽光発電ではその装置の製造建設に非常に大きなエネルギーがかかるということを示しています。
さて、これは「エネルギー収支」に関しての話ですが、ことはエネルギーだけにとどまりません。
言うまでも無く、風力発電装置、太陽光発電装置には大量の資材も必要となります。
巨大な風車を支える塔にはコンクリートや鉄材、羽根はプラスチック?、太陽光発電にもパネルの原材料となるシリコンだけでなく鉄材やガラス、さらに大量のプラが必要です。
この資材の供給は大丈夫なのかということも気になります。
しかしもっと大問題なのが、これらの装置の廃棄と処理です。
すでに現在でも初期の太陽光発電装置の廃棄処理が始まり、その能力不足が問題となり始めています。
遅まきながらリサイクルという取り組みも行われていますが、そもそも完全リサイクルが当然であり、今更そのようなことを始めても全く手遅れでしょう。
現在の日本のようにまだまだ太陽光発電のシェアが低い段階でもその設置場所が不足し山林の乱開発などが問題となっています。
さらに廃棄装置の処理もほとんどまともにできないようなものに未来の電力供給を任せることなどできないのは明らかです。
日本よりはるかに先行していると言われているヨーロッパの現状はどうなのでしょうか。
製造用の資材の供給問題の何を解決しているのでしょう。
そうでなくても太陽光発電装置の多くは中国から輸入しているそうです。
問題の中国への丸投げでしかありません。
廃棄物の処理についても同様です。
その点についての有力な情報はほとんどありません。
ヨーロッパでは風力発電も非常に多くなっているそうですが、あのドン・キホーテも想像ができないほどの巨大な塔の廃棄をどうするのかも決まっているのでしょうか。
放射能廃棄物の処理すら決まっていない原発が非難されますが、風力発電や太陽光発電も同様です。
現状でも廃棄処理が確実にできると言えないものが、これからさらに数倍・数十倍にも増えていく、その状態がどのようなものになるか。
その想像すらできないのでしょうか。