こんにちは。今日のお話はこちらの動画から始まります。
この動画では4次元球の体積の求め方をコンパクトに紹介しています。その値は

となります (

は半径)。
コメント欄を眺めていると、以下のようなコメントがありました。

たしかに不思議だなぁと思ったので、もうすこし掘り下げて考察してみます。
一般次元の球の体積
性質について考える前に、まずは一般の次元の球の体積について整理しておきます。
を自然数として、
空間内の以下の領域を考えます。

この領域の体積は

で与えられます。小さい

で実際に計算してみると

となります。冒頭の動画で紹介されている方法で、一般の

についても同様に計算することができます。具体的には

となります
*1。ここで

はガンマ関数です。ガンマ関数は
複素数 
に対して定義される関数で、特に

が整数のときは

が成り立ちます。したがって特に偶数次元のときは

となります。
偶数次元の球の体積の不思議な性質
を少しだけ変形すると

となります。小さい

で列挙してみると

となります。ここで

とおいてみると

と表せます。ちょうど

について
積分すると2個次元が上がるような形になっています。不思議ですね。
不思議な性質をまっすぐ証明する
ではこの不思議な性質について、ストレートに証明する方法を考えてみます。つまり、一般の球の体積を求めてから性質を確認するのではなく、直接的にその性質があると納得できるような方法で、体積の公式を導出することを考えてみます。
以下、記号の衝突を避けるために、球の半径は大文字の
を使うことにします。
2次元の場合
二次元の球の体積、つまり円の面積の公式は、以下で定義されます。
極座標をとります。

すると
積分範囲は

,

となります。
ヤコビアンを計算すると

になるので、
積分は以下のように変形されます。

このまま
積分を進めることもできますが、ここであえて

と変数変換してみます。

の動く範囲は

から

となります。また

となります。結局

と計算されました。
4次元の場合
4次元の場合の球の体積は、以下で定義されます。

変数を二個ずつに分けて、それぞれ
極座標を取ってみます。
積分範囲の条件を変形すると

となります。よって

と変形されます。ここで

という新たな変数を

と定義します。すると
積分範囲は

と表され、
積分全体は

となります。ここで

とおけば、
積分範囲は

と表現できるので

となります。ちょうど順番に
積分していくような形になりました。
一般の偶数次元の場合
最後に、一般の
次元の場合に、
次元体積
が

のように表示できることを
数学的帰納法を用いて証明してみましょう。

の場合はすでに証明しているので、

次元で成り立つことを仮定して、

次元で成り立つことを証明すればOKです。
まず
次元の球領域は

と表現されます。4次元の場合と同様に、2軸ずつの
極座標に変換します。すると領域の不等式は

となります。角度方向の
積分はそのまま実行できるので、球の体積は

となります。変数変換

を行えば、
積分範囲は

となり、
積分は

となります。ここで

とおけば、
積分範囲は

と表されるので、
積分は

となります。ここで内側のほうの
積分は、

次元の球の体積の公式で

とおいた形になっていることから、
帰納法の仮定より

と表せます。よって

と表せたので、

で主張が成り立つことが証明できました。