桂代数Ⅱとは、下記の『代数学Ⅱ 環上の加群』(桂利行 著)です。
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これの第1章の章末問題のある問題を解いてみます。
問題
(34)
を自然数とする.
-加群
の
-部分加群
が有限指数であるとし,
を
の基底とする. ただし, 数ベクトルは縦ベクトルで表すとする. このとき, 加法群としての指数
は
に等しいことを示せ.
ひとこと
テキストにある略解が "略" 解すぎてびっくりしたので、なるべく省略せずに解答を書いてみることにしました。
なお縦ベクトルを入れ替えると符号が入れ替わるので、実際には と等しいことを示します。
解答
以下、 とする。
補題1.
は
個の単因子を持つ。
【補題1の証明】
の単因子を
とする。
と仮定して矛盾を導く。あるユニモジュラー変換
が存在して
(補題1の証明終)
【補題2の証明】
をユニモジュラー変換とする。定義より、ある
が存在して
が成立する。ただし
は単位行列。辺々の行列式をとると
が成り立つ。
なので、
である。
(補題2の証明終)
補題3.
をユニモジュラー変換とする。
と定義し、
とする。このとき は
の
-部分加群であり、
が成り立つ。
(注: が成り立つ。)
【補題3の証明】
が
の
-部分加群となることは明らか。
は加法群としての同型写像
を誘導する。このとき
(補題3の証明終)
補題4.
をユニモジュラー変換とする。
とするとき、
の縦ベクトルたち
は
の基底である。
【補題4の証明】
まず が線形独立であることを示す。ある
に対して
が成立すると仮定する。すなわち
が
を生成することを示す。
は
を生成するので、任意の
に対して
が存在して
以上から は
の基底である。
(補題4の証明終)
の単因子を
とする (補題1による)。すなわち、あるユニモジュラー変換
が存在して
*1: の可逆元のことをユニモジュラー変換と呼びます。