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桂代数I 第1章 章末問題 (21) 解答

桂代数Iとは、下記の『代数学I 群と環』(桂利行 著)です。
www.utp.or.jp

これの第1章の章末問題のある問題を解いてみます。

問題

(21) 位数 n の有限群 G の自己同型写像の個数は n^{\log_{2} n} 以下であることを示せ.

※初版第10刷時点で、問題文には n \log_{2} n と書かれていますが、略解を見ると n^{\log_{2} n} を示しているので、誤植です。

解答

n = 1 の場合は明らかなので、以下では n \geqq 2 の場合を考える。

n が以下の形に素因数分解されるとする。

\displaystyle n = p_{1}^{m_{1}} p_{2}^{m_{2}} \cdots p_{k}^{m_{k}}
ただし p_{1}, p_{2}, \dots, p_{k} は相異なる素数であり、m_{1}, m_{2}, \dots, m_{k} は正の整数とする。

G の元の列 \{ x_{i} \} を以下の手順で構成する。

  1. G の元であって、単位元ではないもののひとつを x_{1} とする。
  2. x_{1}, \dots, x_{i} \in G を取ったとき:
    1. もし \langle x_{1}, \dots, x_{i}\rangle = G ならこの手順を終了する。
    2. もし \langle x_{1}, \dots, x_{i}\rangle \neq G なら、G \setminus \langle x_{1}, \dots, x_{i} \rangle の元のひとつを x_{i + 1} とする。

以上の手順は明らかに有限回のステップで終わるので、この列の長さを I とする。また H_{i} = \langle x_{1}, \dots, x_{i} \rangle とする。

さて、構成の仕方から、各 H_{i}H_{i + 1} の部分群なので、|H_{i}||H_{i + 1}| の約数である。特に H_{I} = G であることから、各 i に対して、ある非負整数 m^{(i)}_{1}, m^{(i)}_{2}, \dots, m^{(i)}_{k} が存在して

\displaystyle | H_{i} | = p_{1}^{m^{(i)}_{1}} p_{2}^{m^{(i)}_{2}} \cdots p_{k}^{m^{(i)}_{k}}
と表せる。さらに、各 i に対して、m^{(i)}_{j} \leqq m^{(i + 1)}_{j}j = 1, 2, \dots, k に対して成り立ち、そのうち少なくともひとつの j では m^{(i)}_{j} < m^{(i + 1)}_{j} が成り立つ。そこで
s_{i} = m^{(i)}_{1} + m^{(i)}_{2} + \cdots + m^{(i)}_{k}
とすれば、
s_{1} < s_{2} < \dots < s_{I} = m_{1} + m_{2} + \dots + m_{k}
が成立する。これと s_{1} \geqq 1 であることから
I \leqq m_{1} + m_{2} + \cdots + m_{k}
が従う。

また

n = p_{1}^{m_{1}} p_{2}^{m_{2}} \cdots p_{k}^{m_{k}} \geqq 2^{m_{1}} 2^{m_{2}} \cdots 2^{m_{k}} = 2^{m_{1} + \dots + m_{k}}
が成立するので、
m_{1} + m_{2} + \dots + m_{k} \leqq \log_{2} n
が成立する。

G の自己準同型写像が生成元 x_{1}, \dots, x_{I} の行き先で定まることを示す。G の自己準同型写像 \phi, \psi

\phi(x_{i}) = \psi(x_{i}) \quad (i = 1, 2, \dots, I)
を満たすとする。任意の x \in G に対して
x = g_{1} g_{2} \cdots g_{\ell}
となる g_{1}, g_{2}, \dots, g_{\ell} \in \{ x_{1}, x_{2}, \dots, x_{I}\} を取れることから、
\phi(x) = \phi(g_{1}) \phi(g_{2}) \cdots \phi(g_{\ell})
= \psi(g_{1}) \psi(g_{2}) \cdots \psi(g_{\ell}) = \psi(x)
が成立する。すなわち \phi\psi は一致する。

したがって G の自己同型の数は、生成元 x_{1}, x_{2}, \dots, x_{I} のそれぞれに対して G の元に対応させる方法の数 n^{I} 以下である。

以上から G の自己同型写像の個数は n^{\log_{2} n} 以下である。




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