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Water Sort Puzzle とエントロピー

こんにちは。
あなたは Water Sort Puzzle というパズルゲームをご存知でしょうか?

Water Sort Puzzle の画面

シンプルながら意外と難しく、ステージによっては数日間試行錯誤しないと解けないものもあります。

このゲームの解法を考えているうちに、熱力学の概念である「エントロピー」との関連性に気づきました。この記事で Water Sort Puzzle で定義されるエントロピー概念について説明していきます。

Water Sort Puzzle ってどんなゲーム?

どんなゲームか言葉で説明するよりも、プレイ画面を見たほうが早いでしょう。YouTube で「Water Sort Puzzle」と検索すると、多数のプレイ動画がヒットします。例えば↓
www.youtube.com

試験管の色水を次々に移し替えていき、最終的にそれぞれの色の水を別々の試験管に仕分けることができればクリアです。

エントロピーってどういう概念?

エントロピー」という言葉自体は聞いたことがある人も多いかもしれません。エントロピーは熱力学の概念で、まともに理解するにはそれなりに勉強が必要になります。が、この記事ではそこまで深入りしたくないので、ポイントを絞って説明します*1

熱力学でもなんでもそうですが、何かしら調べようとしている対象を想定します。その対象について

  • 「状態」が明確に定義されていて
  • 一定の範囲の「操作」によって状態から状態へ遷移する

という状況を考えます。

「状態」がなにか改めて考えると難しいですが、シンプルに「状態A」「状態B」というふうに2つの状態が同じか異なるか明確に区別ができる、ぐらいに考えてください。「操作」は状態に何かしらの働きかけを行うもので、状態を変化させる作用、というふうに考えてください。

さて、ある状態Aとある状態Bが与えられたとしましょう。目の前の対象は状態Aにあるとします。可能な操作のみを使って、状態Bにすることは可能か?という問題を考えることにします。このときに登場するのがエントロピーです。

エントロピーは、各状態に対して実数値を対応させます。例えば「状態Aのエントロピーは5.23」「状態Bのエントロピーは3.64」といった具合です。

さらにこのエントロピーは以下の性質を満たします。(ただし S_{A}, S_{B} はそれぞれ状態 A, B のエントロピー)

ある操作により状態Aから状態Bにできる \Rightarrow S_{A} \leqq S_{B}
これがいわゆるエントロピー増大則と呼ばれるものです。対偶を取ると以下のようになります。
S_{A}>S_{B} \Rightarrow 状態Aから状態Bにできる操作はない
つまりエントロピーは、不可能性を診断するための量になっています。

この性質を利用すると、例えばもし「状態Aのエントロピーは5.23」「状態Bのエントロピーは3.64」と求まったとすると、どうあがいても状態Aから状態Bにはできないことが分かります。操作のパターンをアレコレ考えることなく、不可能であることがわかってしまうのです。

Water Sort Puzzle における「状態」と「操作」

Water Sort Puzzle でエントロピーを定義するために、「状態」と「操作」を定義しておきましょう。

まず状態は「試験管の数およびその中に入っている色水のパターン」と定義します。色水のパターンが少しでも違えば別のパターンと考えます。

つぎに操作は「ゲームで可能な色水の移し替え」と定義します。あえて明示するなら、以下のような形になります。

  • 移し替え元の最上部の水の色が、移し替え先の最上部の水の色と一致する必要がある。ただし移し替え先が空の場合もOK。
  • 移し替えの際は、移し替え元の最上部の色と一致する部分を、可能な限りすべて移し替え先に注ぐ。移し替え先が途中で満杯にならない限りは、中途半端に注ぐことは許されない。

Water Sort Puzzle でのエントロピーの定義

さて、エントロピーを定義します。例として、以下の状態を考えます。

状態例

色によって、塊の数が異なります。例えばオレンジは4つですが、黄色は3つ、緑は2つです。この塊の数は、操作によって減ることはあっても、増えることはありません。具体的には、空ではない試験管に色水を注ぐ場合に塊の数が減ることになります。この操作は明らかに不可逆です。

次に、塊の中で底につながっているものとそうでないものがあります。例えば紫の場合は、4つの塊のうち2つだけが底につながっています。この個数は、塊の数が変わらない間は、増えることはあっても減ることはありません。具体的には、空の試験管に色水を注ぐ場合に、底につながった塊が増えることになります。元の位置には戻せないので不可逆です。

以上をまとめると

という性質を満たすように定義すればよいことがわかります。塊の数が最大4であることを考えれば

-5 \times \text{(塊の数)} + \text{(底につながっている数)}
がひとつの定義の例になります。

エントロピーの計算

せっかくなので、先程の例でエントロピーを計算してみましょう。まず塊の数は、3+3+4+3+4+3+4=24 で、底につながっている塊の数は 7です。したがって全体のエントロピー-5 \times 24 + 7 = -113 となります。

もしこの問題を解いた場合、塊の数と底につながっている数はいずれも7になるので、エントロピー-5 \times 7 + 7 = -28 となります。

最後に

パズルゲームに対してエントロピーが定義できるのはちょっとおもしろかったです。ただまあこのエントロピーがわかったところで解法がなにか出るか?というと微妙です。まあソルバーを考えたときのテストぐらいになら使えるかもしれません。

もし気が向いたら、パズルの解き方の部分も何かしら記事を書こうかなと想います。ではまた。

*1:しっかりめに理解したい方は、例えばヨビノリたくみの動画がおすすめです: https://www.youtube.com/watch?v=gUdHEZGwsuw




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