藤井太洋『マン・カインド』感想
非常に面白かった。
例えば『コード・ブレーカー』で触れられていたクリスパー・キャス9を始めとする技術の可能性や倫理的・社会的問題の懸念、愛国心やビッグテックをはじめとするビジネスとそれらの技術の結びつきの危険性等々。
リベットの実験の示唆する人間の意識の仕組みや認識及び反射含む動作の構造と限界。
刺激に対し身体が反応し動作する実際の流れと脳が"物語として編集する"流れの差異。
拡張現実。
BMIをはじめとする身体拡張……
それらの広く知られた科学的知見を(おそらく)まっとうに踏まえ。
その上でヴァン・ヴォクト『スラン』(1940)あたりから脈々と語られ続けているミュータントのテーマを、今現在の人種・民族(・宗教)による差別や分断、経済や教育の格差による社会の分断も強く意識しただろう形で、2024年の今語られるにあたり、非常にスリリングで迫真性を持つ物語として更新してみせている作品かと思う。
参考文献等は書かれていないようだけれど、色々あるだろう中でも『マン・カインド』を読んで面白いと思った人は特にぜひ、(もし未読なら)ウォルター・アイザックソン『コード・ブレーカー』を副読本として読んでみると良いかと思う。
参考?に下巻の目次の一部等のキャプチャを添付画像にした。
