『世界史を動かしたワイン』内藤博文
初めて聞くレーベルだな、と思ったら、青春出版社は1955年創業でそこそこ壮年でした(wikiの創業エピソードがおもしろい)。
内藤博文氏は歴史ライター。ワインは個人的にお好きなようで、文章の端々に味や銘柄への個人的な言及がなされています。
言い方を改めると、ワインオタクっぷりが溢れている。
ワイン研究家による『ワインの世界史』が、意外と歴史うんちくを楽しめたのとは逆ですね。
職業より趣味の方が強いのか…。
この本ではフランスワインの話が多いかな。
私は味音痴の酒飲みでして。ワインの違いとか全然わからないのですが。
(スーパーで輸入ワイン2割引の日に「輸入元エノテカ」と書いてあるワインを買うと良いよ!って、友人が教えてくれた。素直に従っている)
この本で学びました。
ボルドーは、重厚!濃いめの赤!
ブルゴーニュは、繊細!上品な白!
これだけ覚えれば完璧!!ってね!!
もしかしたら一般常識かもしらんですが…。
他の学び。
村上春樹の作品で頻出する「シャブリ」は、ブルゴーニュの地区の名。牡蠣殻を含む土壌、冷涼な気候で育つシャルドネ品種の葡萄でつくられる。
なんか、キーワードの全てが魚介に合いそうな印象である。村上作品のパスタと冷製サラダに合いそう!(実際、合うらしい)
ブルゴーニュと言えば英仏100年戦争時代の第三勢力でもあったブルゴーニュ公国。豊かなフランドル地方のおかげで栄えた印象ですが、ワインでも潤っていたそうです。フィリップ4世時代は王室御用達だったり。
そんなブルゴーニュより北方にあるのがシャンパーニュ地方。
17世紀後半、ベネディクト派修道士ドン・ペリニヨンがつくったという説が有名ですが。
商品化できたのはイギリスでガラス工業が発達し、発泡性ワインでも割れない瓶ができたから。あとイギリス人はビール飲みなのでしゅわしゅわが好き(らしい)。
いや、しゅわしゅわはみんな好きでしょ。
ポンパドゥール夫人も、ピョートル大帝も、フリードリヒ2世も、シャンパン好きだったそうです。私もしゅわしゅわは好きだ。
一方のボルドー地区。
地図をよーく見ると、大陸がちょっと破けちゃったかな?と思うレベルの幅広い川が流れています。ジロンド川と言います。
この川のおかげで水運が良い。
12世紀にアンジュー伯が英国王になった頃から、ボルドーは長らく英国領。イギリスへの、フランスワイン供給地だったそうです。
なんやかんやあってフランス領に戻った後も、イギリス好みのワインづくりが続いて、タンニン強めのフルボディ派になったとか。
これは、当時のイギリス植民地時代にチョコやコーヒーなど濃いめの嗜好品が登場したのも関係するし、産業革命で24時間働けますか状態だったのも関係する。と言われてます(諸説!)。
真偽のほどはさておき、こういう一連の流れがあると覚えやすくて良い。
こうやって、私はあやふやな知識を適当に話すことが多くなるのである。反省(はするが改善する努力はしない)。
前後しますが、フランス革命はワイン税が原因説もおもしろかった。
15世紀から始まったワインの「パリ入市関税(オクトロワ)」。庶民向けの安ワインが、原価の3倍になったそうです。酒税、高いなあ。
(で、入市税門のすぐ外に「ガンゲット」という飲食店が栄える。ギリギリ税金取られないところで飲むために)
もう耐えられない!となった市民が入市税門を襲撃したのが1789年6月。
フランス革命の始まりと言われているバスティーユ襲撃(7月11日)より早いやんけ。
いろいろと学びになる内容も多かったけど、総じて、著者のワインオタクっぷりを味わう一冊です。
楽しい。