読むタイミングを見計らっていたのですが、ちょうど外出先で手持ちの本がなく。
村上春樹は読みたいな、と思ったときに、どこの本屋でも手に入るから素晴らしですよね。評価の本質がずれている気もするが。
これ、珍しくあとがきがある作品なんです。
元々が31歳の頃に雑誌掲載した短編で、消化不良のため書籍化していなかった作品。それを71歳になった今、書き直した、と。
ちなみに構成を大幅に変えて別作品として発表したのが『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』(1985)。
一方、『街とその不確かな壁』はタイトルそのままで向き合い書き直した作品。
なるほど。
『世界の終わり〜』も読んだ私としては、この2作品の違いも語りたい。
が、記憶がないね。井戸に落ちた?(それはねじまき鳥だな)
読んだの、20年以上前だもんなあ…。時の流れよ!
というわけで新鮮な気持ちで読みました!前向きに考えたい。
第一章は40代になった主人公が失われた過去を振り返る感じ。
10代の頃の思い出と、壁のある街にたどり着いた自分と。
基本的に文章が過去形で、すべては泡沫の夢な雰囲気。
切なくなります。
村上氏は第一章だけで良いと一度思ったものの、しばらく寝かせて読み直して、これで終わりじゃないな、と第二章第三章まで書いたとのこと。
続きを書いて頂けてよかった…っ!!
第一章だけだったら、私はちょっと切なかった。
第二章でようやく「現在」に戻った感じ(違ったらすまない各所)。
現実の自分を、なんとか整えていくターン。
不思議な導きもあって小さな町の私設図書館の職を得る。
謎多き前館長、名前のないコーヒーショップ(ブルーベリーマフィンがおいしそう)、優秀な司書さん、図書館に日参する16歳の不思議少年。
そして第三章。再び街へ…。
変わらない村上春樹ワールドで、とはいえ主人公は中年で良い感じに落ち着いていて、小説全体にも落ち着きが出ていて、凄く良かった。
学生の頃に村上作品を読んだ際の、「こんな物語がアリなんだ!」「こんな大人でいいんだ!」という感覚と今とは違っていて。
まあ、そんな変化も込みで自分の気持ちと向き合えば良いのである。
そして私は相変わらず村上春樹が好きなのである。