『十字架と三色旗』谷川稔
フランス革命から約100年間の混乱期、「国家」と「カトリック教会」の関係性を教えてくれる一冊です。世界史の中では、教会と国家ってべったりなイメージあるけど、常に仲良しさんというわけじゃないんだよなあ。神聖ローマ皇帝もローマ教皇としょっちゅう戦ってるし。
フランスといえば革命後の共和政なの?王政なの?帝政なの?今どこ?状態でおなじみですが。ざっと、こう!
18世紀:
絶対王政とカトリック教会は仲良し。ガリカニスム(フランス国教主義)という。民衆の不満マックス。
1789年:
大革命。反教会主義まっしぐら。教会の専売特許である戸籍管理は共和政府へ。村の司祭に棄教を迫ったり、イコノクラスム(聖像破壊)したり。今までの反動で暴力的(ヴァンダリスム=蛮族的破壊運動ともいう)だなあ。民衆の日常から教会が撤退する時代。
ナポレオン時代:
第一帝政。ナポレオン、ちょっとだけ教会にやさしくした(コンコルダート:政教協約)と思ったら、ヴァチカンと絶交(1808年)する。
1814年:
復古王政。カトリックが再び国教に。巻き返すぜ!と思うけど、今いち…。
1830年:
七月王政。市民王ルイ・フィリップ。国政にプロテスタントが多め、資本主義社会への移行期。教会の出る幕がない。
1848年:
第二共和政。七月王政への反動で「共和政とカトリックの同盟」というなんとも長続きしなそうな状態。もちろんすぐ決裂する。
1852年:
第二帝政。ナポレオン3世。
1871年:
パリ・コミューン。第三共和政。もはや戸籍管理も初等教育も教会に頼ってないしなあ…。
で、1905年に政教分離法ができ、ライシテ(=非宗教性)が重要視される国家へ。谷川先生いわく「ユダヤ人もトルコ人も中国人もフランス共和国への参加と契約を遵守するかぎり個人としてフランス国民と認める」「徹底した個人主義で、民族の集団・文化の単位で特別扱いはしない」。フランスという国家のスタンスをわかりやすく表現しているなあと思います。
というわけで大革命から100年を経て、フランスは「単一にして不可分の共和国」になり、フランス国民は「近代世俗国家の共和主義的市民」となったのでした。なるほど〜勉強になった!