光文社古典新訳文庫。
『馬車が買いたい!』のおかげで19世紀パリの解像度が爆上がりしましたので、その勢いでバルザックを読みました。
よく考えたら私、初バルザックかもしれません。大学時代、文学少女を拗らせていた年頃に読んだと思っていましたが。まあいいか。
バルザックといえば、19世紀前半のパリを総勢2000人以上の登場人物と90作近い著作で描いた作品群<人間喜劇>の人。
と聞けば、まあ、読むのためらいますよね。手を出したら長丁場になりそうだな…と。
とはいえ『ゴリオ爺さん』は名作!単品で満足できるおもしろさだった!
もちろん我らが主人公ラスティニャックのその後が気になるので『あら皮』も読みたくなった!さすが古典と言われる作品です。
ゴリオ爺さんの舞台はナポレオン失脚後の王政復古期。
貴族が再び幅を利かせているけれど、以前ほど懐が豊かでもないけど見栄は張りまくるなかなか厳しい時代です。世知辛い!
主人公のラスティニャックは田舎貴族出身で学生の身分ですが社交界で成り上がりたいと思う。ザ・若者。
『馬車が買いたい!』の解説通り、1年分の生活費をぶっこんでオシャレな服を買い(必要経費)、徒歩で貴族宅を訪ねて使用人に笑われます。もちろん靴は泥だらけ(と小説には書かれていますが要するにパリの糞尿まみれである)になる。
で、ずーっと「馬車に乗りたい!」と言ってる。すごい!ほんとに鹿島先生の言った通りだ笑
レストー伯爵夫人の中庭で「粋なカブリオレ(二輪馬車)」に劣等感を覚え(p100)、ボーセアン夫人宅で「三万フラン(3000万円)は下らない」「クーペ(箱馬車)」を見て絶望する。進研ゼミで予習したやつ笑
冒頭では「郵便馬車で旅立つ友人を見送る」的な文章があり、これも鹿島先生の予習がなかったらちょっと理解できない表現でした。
物語の舞台である飯付き下宿屋ヴォルケー館も。寡婦が持ち家を下宿にしているのは、見知っているけれど、下宿人に加えて、夕ご飯だけ食べに来るメンバーもいる。パリで一人暮らしの男性が食事できる場所はレストランか、ヴォルケー館のような定額制食事処か、という状況だったから。男性が食材どころか惣菜を買うのも恥ずかしかったらしい。江戸長屋と似て非なる世界ですね。
ところで、医学生のビアンションはすごい良いやつです。解説によると、バルザックの<人間喜劇>の出場回数
1位は銀行家ニュッシンゲン氏(31作品)で、
2位がビアンション(29作品)だそうです。
よし、私はビアンションを応援しよう。ところで作品数多すぎないかバルザック。