『イラク水滸伝』高野秀行
おなじみ辺境ライターの高野さんの、
イラクドキュメンタリー本。
分厚いね…。
(480ページ)
しましまあ、読了するとわかる。
削るところないわ。
通勤読書は諦めて自宅でゆっくり読みました。
が、おもしろくて数日で読み切ってしまったので
筋トレにも肩こりにもなりませんでした。瞬殺!
今作のメイン舞台はイラク南部。
ユーフラテス川とティグリス川の合流地点から広がる
巨大デルタ(と言うには広すぎる)、
「アフワール」と呼ばれる湿地帯。
ちなみにメソポタミア文明の遺跡群とともに
世界遺産に登録されているらしい。
その割に、実態が知られていないという、
高野さん案件ど真ん中な不思議辺境地帯。
イラクといえばイスラム教で、
シーア派とスンニ派が対立しているイメージですが、
湿地帯には「マンダ教」というマイナー宗教の
信徒が一定数いるそうです。
という未知を「知る」→「学ぶ」→「体験する」(すぐ仲良くなる!!)
フローが早い!!!
鮮やか!!!
毎度、読んでいて惚れ惚れします。
探検ルポだけでなく、
湿地帯の歴史もしっかり調べて
わかりやすく書いてくれているのがまたありがたい。
アフワール(湿地帯)が広がるのは、
古代メソポタミア文明が栄えたエリア。
シュメール初期王朝、アッカド王朝、ウル第三王朝、
古代アッシリア・古代バビロニアという流れ。
(小林登志子先生の『古代メソポタミア全史』も引かれていた。
高野さんと同じ本を読んでる!というファン心理)
で、
3世紀、ササン朝ペルシア。農業が栄えた豊かな時代。
迫害されたマンダ教徒も流入。
(キリスト教異端のネストリウス派が集って
栄えた学術都市ジュンディーシャープールも
ササン朝ペルシアの都市。湿地帯の東隣にある)
7世紀、イスラム教徒の支配期。
ウマイヤ朝からシーア派アッバース朝へ。
16世紀、オスマン帝国とサファヴィー朝の国境付近になる。
「辺境」よばわりされる。
20世紀、なぜか共産党が流行る(思想的には共産主義とずれている)。
乱暴に要約しすぎた気がするので
ちゃんと『イラク水滸伝』を読んでほしいんですが、
湿地民の「統一より分散、秩序を壊す方向に傾こうとする」傾向
なんとなくわかる。
あと、湿地体験の途中で古代メソポタミア遺跡の
ウルとウルクに行っていたの、羨ましい!
外国人が観光ツアーとかで行ける場所ではないってことが
よく分かりました…。
でもいつか行ってみたいな。