『ローマの歴史』
インドロ・モンタネッリ
藤沢道郎:訳
イタリア人ジャーナリスト作家による古代ローマの歴史。
原著は1957年刊行。
とにかくおもしろい!
そしてコスパ最強です!
なにしろ、文庫1冊でローマ史が網羅できちゃう!
お得!!
塩野七生先生の『ローマ人の物語』は
文庫43冊なのに!!!(恐ろしくて手をつけてない)
まあ、1冊にまとめた分、作者の好みも含めて
光速で吹っ飛ばされている皇帝や時代も多いですが。
わたしは歴史学徒ではないので、そこも込みで楽しかったです。
作者、ヴェスパジアヌスのこと好きなんだな、とか。
軍人皇帝時代がめっちゃ雑いな〜、とか。
歴史書としては学者が眉を顰めるところもあるようですが、
作者の視点込みでの歴史表現がとにかくおもしろいです。
”負けいくさに武勇伝はつきものである。負けた時には「栄光のエピソード」を発明して、同時代人と後世の目をごまかす必要がある。勝ちいくさにはその必要がない。カエサルの回想録には武勇伝は一つもない”
とかね、説得力がすごい笑
この文章のあとに語られる、ローマ軍の「栄光のエピソード」の空虚さよ。
女神が現れた、って、だからなんだんだ、と。
負けてんじゃねえか!!と。
楽しいね!
キリスト教がユダヤ民族の超マイナー宗教か
らローマ帝国をのっとる(?)までの流れも、納得。
今更ながらに、キリスト教ってこうやって大きくなったのか〜と
学びがありました。
”政権が弱体化し、国家の権威が失墜するにつれて、教会が国家や政府の職務を代行するようになる。コンスタンティヌス即位のころには、司教が知事の職務の大部分を代行していたのである。教会は滅び行く帝国の私生児でありながら、帝国の遺産相続人に指定されていたのだ。”
ローマ帝国の享楽時代の文化風俗もおもしろかった。
フォアグラを発明したアピキウス
(大プリニウス『博物誌』にも書かれている)や
浴場ではスポーツ・サウナ・風呂・プール・宴会が一連の流れで
宴会の後半には嘔吐薬が出たり(まだ食える!)
貴族の奥方は旅行に乳牛の群を連れて行き(ミルク風呂!)。
笑い話しみたいな凄い時代だなあと思う。
ちなみにモンタネッリとしては、ローマの死は
スッラからカエサルに移行するあたりで、すでに確定していた様子。
いや、もっと前か?
ずいぶんと緩慢で冗長な死に方をした大国である。
そこもまた、ローマらしさなのだけど。
最後に、皇帝の人間臭さも、登場人物の生々しさも、良かった!!
ので、好きな登場人物列挙しておきます!
クラウディウス(白痴のフリおじさん)、
ヴェスパジアヌス(有料公衆便所をつくった)、
五賢帝(ネルヴァ、トラヤヌス、ハドリアヌス、
アントニヌス・ピウス(平和に統治しすぎて歴史家が書くことないって、
すごいな!)、マルクス・アウレリウス)、
ディオクレティアヌス(キャベツ育てるご隠居さん)、
好きだ!!