ひさしぶりに読み直しました。
森見登美彦『太陽の塔』。
ちなみに我が家には二冊あります。
鑑賞用と保存用…というわけではなく、
脳みそがポンコツなので、うっかり二冊買ってしまっただけです。
いやあ、作者のデビュー作にして、
なんかいろいろと完成してますよね。
何度読んでも凄いなあと思う。
あと、笑える。
腐れ大学生のくだらない現実と妄想の日々を、
なんとも高尚な文章で詭弁を弄して綴っているのです。
面白くないわけがないよね!
ちなみに主人公の友人・飾磨(しかま)大輝は、
実在の友人がモデルとのこと。
妄想エッセイ『美女と竹林』の明石氏でもあります。
実名が垣間見えそうなネーミングである。
某雑誌で仮称・明石氏として、作者との対談に登場してましたね。
作中の「夢玉」のエピソードも
(なんてくだらない夢だ!って、他人の夢に何てこと言うんだ。至言)
友人の失恋に対する余剰エピソードも
(キミの不幸によって余った幸福は俺がもらう!的な。至言)、
明石氏(仮)の実際の言動らしいです。
さすが京大。
変人エピソードに事欠かないな。
(誉めてます)
(うらやましいです)
物語としてのバランスは『夜は短し歩けよ乙女』の方が
良いとは思いますし、
腐れ大学生っぷりでは『四畳半神話大系』の方が
極めていると思います。
どちらかというと『太陽の塔』は男汁が濃厚すぎて、
水尾さん(ヒロイン)の印象がちょっと薄めですよね。
そのせいか不明ですが、
“失恋した若しくはこれから失恋する予定のすべての男に捧ぐ”
的な煽りが使われがちですが、
大丈夫です女子にも捧げられてます私は大好きです!
森見作品に出会ったとき、
同時代にこんな作家がいるという事実に
なんつうか、大げさかもしれませんが、私は感動しました。
遠~い昔、私がハタチ前後だったころに
村上春樹作品に出会って、
自分が生きているよりもひと昔前の
東京で暮らす大学生の空気感みたいなものに
物凄く憧れを抱いたものでした。
が、森見氏は、同世代なのです。
私は京都には住んだことないけど、
学生時代は6畳間で下宿もしてまして。
なんかこう、
自分が何者にもなれない焦燥に潰されそうになりながら
四畳半単位の狭い世界で詭弁を弄して自己肯定しようと
もがく日々というかね、もろもろの汁がね、
もうね、他人事じゃない。
私が男性だったら、他人事じゃなさすぎて恥ずかしくて
読み直せないレベルかもしれません。
(個人的に『コマドリさんのこと』は、そんな感じである)
そんな仮定には、まあ、意味はないわけで。
私は何度でも読むし、同時代に生きてて良かったと
しみじみ思うのみなのです。