JAWS DAYS 2026に向けて、個人的な想いを語るブログ第三弾です。
これまでセッション設計や企画の話をお届けしてきましたが、 今回は少し視点を変えて、ストラップの色と、そこに隠された小さな物語について触れてみたいと思います。
ストラップの色
JAWS DAYSでは、多くのイベントと同様に、 参加証を首からかけるストラップの色で参加者をグループ化しています。
特に重要なのが「SNSへの写真投稿NG」と「未成年者」を表す色です。
大規模なカンファレンスでは公式のカメラマンをはじめ、多くの方が会場の写真を撮影してSNSやブログ、記事などに使われます。
その時に「自分の写真は公開しないでほしい」という方をどうやって識別するか?となったときにこのストラップの色を使います。
参加者に告知することで、写真を撮るときの注意を促し、さらに万一写り込まれた時にもアップ前にちゃんと除外してもらえるようにお願いをします。
また、懇親会の会場では間違って未成年にお酒を渡してしまわないようにする必要があります。
これらをできるだけ「パッと見てすぐに判断できる」ことが大切になります。
ストラップ以外にも服にシールを貼ってもらう、リストバンドを使うなど、イベントごとに皆さん様々な工夫をされています。
JAWS DAYSでは例年ストラップの色でこれを行っています。
JAWS DAYS 2026での企画
JAWS DAYS 2026でも、このストラップの色の整理がデザイン班を中心に行われていました。
ある日、全体定例でこの色について情報が共有されました。僕は色の判別が得意ではないので、
デザインについてはデザイン班に一任だな…くらいに思っていました。
しかし、この時メンバーから驚く発言がありました。
「去年の参加者からのフィードバックで、撮影NGを示す赤色と通常の参加者の緑色の区別が難しかったというのがあった。今年は色には気を配るのはどうか」
本当に驚きました。だって、去年これをフィードバックしたのは僕だったからです。
色弱について
色弱(色覚特性)は珍しいものではありません。
男性では、およそ20人に1人程度いると言われています。
日常生活では大きな支障がないことも多いのですが、 色だけで情報を区別している場面では判断が難しくなることがあります。
特段隠してもおらず公言していることではあるのですが、実は僕は色弱です。詳しい区分などは僕もあまり気にしていないのでちゃんと覚えてはいないのですが、赤と緑の区別に難があります。
特にLEDのような小さな光での区別は困難で、各種電子機器で赤と緑のLEDで状態を区別しているものは本当に困っています。
そういうこともあり、昨年の赤と緑のストラップは瞬間的な判断が難しかったのですが、長年こういう(色が分からない)生活をしているので、分からないなら分からないなりに気を付ける、ないしはその判断を下さないようにするように自然と動いてました。
つまり、去年の場合で言えば判別が難しい写真はそもそも公開しない、というようなアクションになっていたわけです。
思い切ってフィードバックしてみた
ただ、これを放置するのもどうなのだろうか、色弱であり、しかもそれを公言して気にしていない僕だからこそこれは指摘した方がいいのでは?と思い、昨年はアンケートや実行委員への個別の相談でフィードバックしていました。
色弱の人は皆さんが思っているよりもずっと沢山いらっしゃって、その強さや種別も区々です。
僕が大丈夫な組み合わせでもダメな方ももちろんいらっしゃいますし、僕の見え方が全てではないことは百も承知です。そして、デザインや印刷で使える色には予算や技術的な制約があるのも分かります。
なので、「この組み合わせがいい」とか「配慮しないのはダメだ」と言うことではなく、
「こういう事実があるので、配慮があると事故も減るかと思った」
という事はフィードバックしましたが、それが本当に考慮してもらえるかは、正直に言えばそれほど期待はしていませんでした。
これはもちろん実行委員の皆さんに悪気があるわけではなく、単純に気づきにくいポイントだ、というだけです。
自分だけが困っているのではないか。 細かいことを言ってしまっていいのだろうか。
イベント準備は多くの人が忙しい中で進んでいます。
だから「まあ大丈夫かな」と流してしまうこともできますし、その判断は妥当だと思います。
だけど、事実だけは伝えたい、と思ってのフィードバックでした。
小さな声がちゃんと届いていた
だから、本当に驚きました。
僕の声は届いていたんです。
しかも、ちゃんとこうして議論のテーブルに乗せてくれた。
僕はその場で、これをフィードバックしたのは実は自分だと言うことと、背景を説明しました。
それを聞いたメンバーはすぐに動いてくれました。
まずはこれはちゃんと考慮すべきことだとの認識で一致し、考慮した色の選択をすることが決まりました。
そして、最終決定前に僕に確認を依頼する、ということも約束してくれました。
色の決定
そして、数日もしないうちに案が提示されました。その時、
「このグループとこのグループは混同すると事故になるから困る、こっちのグループは混同しても大きな問題にはならないという基準で選んでみた」
と、判断基準も添えてくれました。
僕はその判断基準に従い、「僕の目には、という前提なので万人がどうかは分からないが」と伝えた上で、提案の色だと自分には区別がつきにくいので組み合わせを変えるか、色見本の中ならこの色の組み合わせにしてもらえたら嬉しいとフィードバックしました。
最終的にそれらを加味した色が選択されました。
特別な議論になったわけでも、大きな決断が必要だったわけでもありません。
ただ、
「それなら変えよう」
と自然に動いてくれた。
そのことが、とても印象に残っています。
小さなフィードバックが持つ意味
コミュニティイベントは、最初から完璧に設計されているわけではありません。
いろいろな人が関わり、気づきを持ち寄りながら、少しずつ良くなっていくものだと思います。
今回の件も、
困っていることを共有し、
それが次のイベント運営者に届き、
自然に改善されていった。
ただ、それだけの話です。
でも、その「ただそれだけ」ができることが、とても大切だと感じました。
誰かにとっての“参加しやすさ”
イベントの工夫というと、大きな企画や派手な仕組みに目が行きがちです。
前回の記事で紹介した「何でも相談ブース」も、そういった「参加しやすさ」のための企画の一つです。
でも実際には、
- 見やすい色
- 分かりやすいサイン
- 声をかけやすい空気
そんな小さな配慮が、参加のしやすさを大きく変えることがあります。
今回のストラップの色も、もしかすると多くの人にとっては気づかれない違いかもしれません。
でも、誰かにとっては「安心して参加できる理由」になるかもしれない。
そう思っています。
小さな声が、イベントを良くしていく
もしイベントの中で、「ちょっと分かりづらいな」「こうだったら嬉しいな」と思うことがあれば、ぜひ教えてください。
コミュニティは運営だけが作るものではなく、参加者みんなで育てていくものだと思っています。
今回のストラップの色も、その一つです。
JAWS DAYS 2026が、できるだけ多くの人にとって参加しやすい場所になるように。
そんな思いが、今年のストラップには少しだけ込められています。
もしかすると、次にイベントを少し良くしてくれるのは、 この記事を読んでいるあなたの気づきかもしれません。
そして、こんな対応を自然にできる実行委員のみなさんと一緒に作っているJAWS DAYS 2026は、 きっと良いイベントになると信じています。