
木桶には蔵の文化が丸ごと詰まっている
サークル「醤油をこぼすと染みになる」は、12月30日のコミックマーケット105で『醤油手帖 原点たる木桶醤油編』を頒布いたします。
はい、醤油です!
一冊まるごと、木桶で醸した醤油を特集した本です!!
詳しい話をする前に、ちょっと目次を見ていきましょうか。今回の本のラインナップはこんな感じです!

結構いろいろな種類がありますよね。
表紙で想像していたよりもバラエティに富んでいる、と思っていただければ、「そうなんですよ!!!」と興奮して早口になるぐらい、こちらとしてはうれしいです。
木桶文化は発酵文化
そもそも、この本で言う「木桶醤油」とは何なのか。簡単に言うと、木桶で醸された醤油のことを指しています。
ふーん、普通なんだ……と思うかもしれません。でもこれが普通じゃないんです。
どうしても醤油造りというと、職人さん達が木桶を櫂棒でかきまぜて……というイメージがあるかもしれません。
もちろんこういう光景が醤油造りの始まりであり、原点と言ってもいいでしょう。ですが、今はほとんど見られない光景なのです。簡単に言いますと、近代化の波だったり何だったりで、現在は醤油の桶といったらホーローやステンレスやら、さまざまな素材が使われています。木桶は全体の1%ほどしかありません。そう、桶をかき混ぜるのは一緒なんですが、その相手は木桶じゃないんですね。
「でも、味にそんなに差がないからホーローやステンレスになったんでしょ?」という疑問をお持ちの方。ごもっともです。もちろん、そんなに味が変わらないと思われたからこそ、新しい素材に切り替わったりしてきたという経緯があります。
ただし、現在はさまざまな科学技術が発達しておりまして、発酵のメカニズムとかがわかってきています。そこで調べたところ、木桶は木材でできていますので、どうしても微細な隙間があり、そこにいわゆる蔵付きの微生物が棲んでいる、と。
これらは当然発酵時には影響を及ぼします。そして、その蔵独自の生態系を育んでいるため、他の蔵のものとは似て非なるものになっていることが多いのです。
つまり、「その蔵独自の味わい」がもっとも出やすいのが木桶による発酵物なんです。醤油だって当然発酵食品ですから、木桶の影響を受けるというわけですね。
というわけで、木桶で発酵された食品を食べるということは、その蔵の文化を丸ごと食べることに他なりません。
そしてもちろん、その醤油はおいしい!!!
今回紹介する20本は、すべて「木桶」で醸された醤油です。この木桶な醤油を存分に味わってもらおうというのが、『醤油手帖 原点たる木桶醤油編』のコンセプトなのです!
ちょっと中身を見てみましょう。

こんな感じに、本文は見開きで1本の醤油を紹介しております。
紹介する醤油は、なるべく多くの種類になるよう心掛けました。
いわゆる「濃口醤油」や「淡口醤油」など、醤油の基本とも言えるカテゴリーのものや、ポン酢、だし醤油、ごまだれなどの醤油加工品、さらにはちょっと変わった「木桶醤油 トリュフ入り エキストラバージンオリーブオイル」なんてものまであります。
どれもこれも、木桶の醤油を使っていることには変わりありません。
さらには、しばらく醤油のみの本を作っていなかったこともあるので、もう醤油の細かいことを忘れちゃったという方や、最近うちのサークルを知ってくださった方、最近醤油が気になってしょうがないので醤油の情報を求めていた、という方もいらっしゃるでしょう。
そういう方々にも楽しんでもらえるよう、1冊まるごとにさまざまな醤油知識を散りばめました。最初から読んでいると、もしかしたら「ん? この表現、どういうことなんだろう。醤油業界では常識なのかな……?」と思われることもあるかもしれません。それは、読み進めていくと理解できるようなギミックにしております。
もう(うちの本をたくさん読んでいるので)知っているよ! という方は、その部分は答え合わせ感覚で読んでいただけたら幸いです。
コラムもあります!

これは、昨年見学に行かせていただいた、藤井製桶所の紹介コラムですね。
実は、この令和6年時点で、でっかい木桶を製造できる会社は現在一社しかありません。それがこの藤井製桶所さんなんです。
木桶の寿命は100年とか150年ほどです。そのため、ひっきりなしに注文があるわけではありません。今は全体の1%ほどありますが、これが100年後になったときはどうでしょうか。もしかしたら、木桶を製造する会社がなくなってしまい、技術が途絶えている可能性すらあるのです。
そこで、香川県の小豆島にあるヤマロク醤油さんが、藤井製桶所さんに弟子入りをして、木桶文化を途絶えさせてはならないと、プロジェクトを立ち上げました。それが木桶職人復活プロジェクトです(本書でも紹介しております)。
このプロジェクトのおかげで、近年は「木桶の醤油」も盛り上がってきていて、いろいろなアイデアが登場しているのです。という盛り上がりも、本書を読むとなんとなく感じていただけたらめちゃめちゃうれしいです。
というわけで『醤油手帖 原点たる木桶醤油編』はA5版54P一部カラー、本文モノクロで1000円を予定しております。
12月30日(月) 東地区 A-50b 醤油をこぼすと染みになる
でお待ちしております!