タイトルの通りです。
2023年、初めて唐組の「透明人間」を見て雷に打たれまして、今年の春夏で4本テント・野外劇を観ました。今年はかなり意識的に野外演目に足を運ぶようにしているぞ!!!せっかくなので自分がテント・野外劇の何に魅せられてるか、見た作品の特徴や感想を記しておこうと思います。あと、客層を見るとアラフォー38歳の私ですら割と若い方に入りるので、フォロワーのみんなたちにも野外劇の楽しさを知ってほしいよ!!!楽しいよ!!!
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【目次】
ここが好きだよテント・野外劇
テント・野外演劇、見に行くと客層の世代がかなり高い!びびる!しおりん(38)がだいぶヤング!多分私のフォロワーやはてブロを読んでる人たちは身近に観てる人自体が少ないんじゃないかな~って思います。なので、少しでもこのブログが出逢いのきっかけになったらいいな〜〜〜。
①日常に現れる非日常
私が何よりテント・野外劇の好きなところはここです!日常に現れる非日常。良く知る神社の片隅や、見慣れた街中、閑静な住宅街に突如現れる物語の世界っていうシチュエーションがとにかく良いんだよね。
↓都会のど真ん中、花園神社に建てられる唐組・紅テント
現実と物語の境目が曖昧な感じが唯一無二だと思う。花園神社でやる芝居だと、アドトラックや消防・救急車が通るとその音が聞こえてくるんだけど、人によってはノイズになるであろうそれが不思議と現実の裂け目に感じて面白いのよ。すぐ隣には日常があるのに、一歩隔てた空間では物語が紡がれてるって言う状況にわくわくできる人間、めちゃくちゃ適正あります。
あと、テント演劇でよくある「屋台崩し*1」。これがね~~~、本当に最高!!!張り詰めた物語を突き破って物理的に外界が流れ込んでくる経験、マジでアドレナリンどばどば出ます。やばい。外の新鮮な空気が流れ込んでくるのも、脳がパキッと冴えて通常の観劇経験では得られない種の気持ち良さなんだよね。これはね、どれだけ筆舌を尽くしても体験しなきゃ伝わらない。まじで体験してほしい。
あと、大事なのが帰り道。普通は舞台→ロビー→外に出る、っていう順で徐々に現実へ戻るんだけど、舞台の外に一歩出たら見知った神社や街なの。あと、テント・野外劇がある数日しか「劇場からの帰り道」として存在しない道を余韻とともに歩くのが不思議な感覚で大好き。特に花園神社での上演後は原始的で雑多な芝居から歌舞伎町の煌びやかなネオンという落差が面白いので帰り道込みでとても好きだったりします。そして芝居ってやはり奉納で祭りなんだなって強く感じられる。
私は野外劇とかテント演劇における、日常と地続きの非日常感が特に好きなんだと思います。
②客席との共犯関係
上とちょっと似てるんだけど、外界との境界線が近いことでより濃密に共犯関係が生まれるんだよね。例えば花園神社の境内に整列させられてる大勢の人を不思議そうに外国人観光客が見つめてる瞬間、屋台崩しで唐突に舞台に触れた参拝客が驚きで目を丸くする瞬間、西戸山野外円形劇場のタワマンのベランダから見下ろす居住者の小さな姿が目に入った瞬間、近距離に人がいて事象に触れてはいるのにそこで何が起きているかは当事者である観客しか分からないというのがすご~~~く良い。普通の演劇って隔絶された場所で行われるので、何か分からないけど目撃する人間ってなかなか生まれないんだよね。そこがテント・野外劇独自だな~って思います。
膜一枚隔てた、それすらないすぐ向こうでは日常生活が止まることなく進んでいるのに、日常の歪にあるテントや野外ステージではどっぷり非日常な濃ゆすぎる芝居が苦しいほどに生きている。超最高。
③演出の多彩さ
まずね、普通に外(ないしはテントの向こうは外)っていうのはマジででかい。なので水や火を使った演出が豊富です。唐組のテント演劇では水槽を使った大掛かりな演出がよくあり、客席最前列には必ずビニールのガードが!!!いるかショーでスプラッシュマウンテン(???)最前列に着くと「ご自身の身はご自身でお守りください」って言われるのも醍醐味なわけです。どでかい井戸とか舞台にあったりするし、何が飛んでくるか分からないぞ!!!水だけじゃなく糸こんにゃくとか飛んできたことあります。
あと、炎でいうと公演中ずっと黒子さん篝火を焚いている演出の舞台*2とかもありました。もちろん煌々と燃ゆる炎が舞台装置の役割を示すだけでなく、パチパチという音や黒い煙、そして焚き火の香ばしい臭いに至るまで、すべてが演出の一部を担っていてすごく良かった!!!これは外ならではの演出だと思います!!!
あと、大雨降らせたりとか、突然山本亨(63)*3が空に向かって発射されたりとか(???)、まじで演出は自由自在で多彩。おもちゃ箱のようなワクワクを体験できるのは屋外演出の強みだって思います。
④チケット代が比較的安い
これはもう超シンプルな長所。昨今の高騰の最中ですが、野外劇・テント演劇は比較的チケット代が安い!感謝!!!ちなみに例を出すと唐組テント演劇前売り4,000円(当日4,200学生3,300)。桟敷は大体5,000円程度、固定席もMAX8,000円くらいかな。学生券出してるとこもかなり多い印象。
- スタッフや劇場案内係を劇団員が兼ねていることが多い
- 土地の使用料の方が劇場使用料より安い
- めちゃくちゃ著名な演者が出演するケースが少ない
- 固定の座席数ではないので、最悪立ち見だしたり増席したり限界まで詰められる
想像の範疇を出ないけど、このあたりが要因かとは思います。
⑤良い意味で猥雑で気軽な「演劇」
これがね~~~、私がテント演劇・野外演劇を好きなところ!もちろん、めっちゃ気合入れてお洒落して芝居行くのも楽しいんだけど、対極にある猥雑で気軽な演劇も良いんだよね。両方の良さがある。けれど、どうしてもいま大多数の演劇って前者で。後者の良さも体験してほしいのよ。酒飲む前に芝居見るか~って感じで、ジーパンにスニーカーで、ぎゅうぎゅうの中で、至近距離を超えた至近距離でマグマのような熱を浴び、演者と共犯関係を結び、外の風に頬を撫でられて現実へ帰る。夢を見るというよりは、虚構に迷い込む観劇体験。
時にはビールを煽りながら見たり*4、うちわで扇ぎながら熱中したり、桟敷で尻を痛めたり、大雨の音をや匂いと記憶を同化させたり。予備知識なく歩いていたら急に遭遇しちゃうような原始的で大衆的で猥雑な演劇文化も消えてほしくないな、愛おしいなって思う。実際に私も友達と夜の散歩をしていて、花園神社にある紅テントと遭遇したのです!!!演劇って文化は多面的に一生続いて欲しいね!!!
ここが難点だよテント・野外劇
①気温対策はしっかり
これがね~~~最も厄介。特に夏!!!当然冷房などないので各々の暑さ対策でしのぐ必要があります。唐組は春・秋公演が定例なので体に優しいぞ!ただ、夏の公演でも良いところがあって開演前に冷え冷えビールを演者が売り歩いてる公演もあったりするのだ~~~!!!演者から飲み物を買うのも楽しいし、ビールを片手に芝居を観るのはかなりオツな体験で脳に効きます。
②体調と相談をしよう
もちろん、気温だけじゃなく劇場のようにふかふかの椅子がない&桟敷席オンリーの場合があるので腰などに爆弾を抱えていると厳しいかもしれない。ただ、唐組は桟敷オンリーだけど身体にトラブルある方は事前連絡で椅子用意してもらえたりするので結構相談効くパターンもあります。
③時間帯が限られている
実は基本的に夜しかないんよ!!!それはそうって話なんだが、辺りが暗くならないと照明が使えないんだよね。自然の暗転待ちです。
だから、小さい子供がいて夜しか動けない方や日帰りじゃないと参加できない遠征組は結構きついかもしれない。もちろんたまに昼公演もありますが。
④情報の受け取り方が分からん
いやね、これ超むずいのよ。私がその界隈にいないせいもあるけど、劇団単位だと未だにメインがアメブロだったりすることがあるので検索困難!!!プラスして、野外でやる以上企業が管理している劇場のアカウントがないので、劇団から発信の情報以外手段がほとんどないんだよね……マジで演劇ナタリーあたりからの情報で探しています。私も見つけたらTwitterで発信してくけど逆におすすめあれば教えてください!
これ便利だったよテント・野外劇
観劇に際して便利だった持ち物を共有します!!!
★尻を守ろう
唐組とかは公式で座布団も販売していますが、薄型の座布団やクッションがあるだけで快適度爆上がりなので絶対に持っていってほしいです!!!
ちなみに私はちょっと前にバズったジェルシートを使っていますが、まじでテント・野外観劇に適しすぎてます。
- お尻への負担があるとなしでは大違い!
- 薄くて小さくて軽いので小さな荷物に入る!ぎゅうぎゅう桟敷観劇の味方
- 超薄いので後ろの人への影響がかなり少ない
まあ、別にこれじゃなくてもいいんだけど桟敷席のときは尻守りアイテムは持っていくことがおすすめです。椅子席はあらかじめ座布団が設置されてる場合もあるよ。
★とにかく便利ビニール袋
汗拭きシートとか冷えピタを捨てるゴミ袋はもちろん、地面が汚い時の荷物置きや雨よけなどいろいろ使えるので、私は必ず一つは鞄に入れていくようにしてます!お尻の下に汚れ防止で敷くことも出来ますしね。
★暑さ対策
この夏は結構野外劇行ったので有効だった暑さ対策の紹介。
・冷タオル
会社のフェス狂いが教えてくれたんだけど、超良い。細いので鞄の中でかさばらない、長いので首からかけられる、素材は汗拭きシートなので色んなところ拭いてスースーできるのでマジ万能。汗拭きシートより重宝した。
・保冷カバー・バッグ
飲み物がすぐぬるくなるので、100均の小さい保冷バッグを愛用した。家を出るときに保冷剤突っ込んで畳んで鞄に入れといて直前にコンビニで飲み物買って入れていた。演者から買う酒もこれに入れておくと冷たいままなので観劇中に酒補充できる。
・アイスミントジェル
音が出るミニファンが使えず基本配られるうちわで暑さをやっつけることが多いが、これを塗るとうちわで扇いだ時の涼しさが段違いになる!!!塗る冷房!!!友達に誕プレでもらった。100均で買ったロールボトルに入れて持ち歩きました。薬局で売ってるスースージェルも有効だけどこれはまじでやばい強い。
★服装はパンツが基本、汚れても良い恰好で荷物は小さく
もうね、絶対にパンツスタイル一択。桟敷席でフラット面に座るのはもちろんだけど、椅子席がある場合でも急ごしらえの昇りづらい階段を昇ることになるので、スカートは本当に大変*5。お洒落<機能性で行くのがベスト。あと椅子席だとしても砂埃はあるので汚れても良い恰好で。私は下はデニム、上の可愛いトップスで工夫していくことが多い!あと桟敷席の場合は脱ぎやすくコンパクトな靴が良いです。ブーツとか避けたほうが良い。
あと、大事なのは荷物の小ささ。桟敷席の場合は抱えて膝に載せられる、もしくは体育座りの膝下にしまえる荷物のサイズがベスト。椅子席の場合の前後幅が狭いことが大半なので小さい方がいいです。
2024年にしおりんが見たテント・野外劇感想
最後に2024年に私が見たテント・野外劇の感想を残しておきます。まじでただの感想。と、言いつつ作品というより劇団の所感っぽいところもあり。あと2024年10月頭時点での分かってる次回公演も残しておくね!
①唐組「泥人魚」(テント演劇@花園神社)
私がテント・野外劇超楽しい!ってなった原点が唐組。正直未だに内容はぼんやりとしか分からないことが多いんだけど、それすら気にならないくらい詩的で美しい言葉、わくわくする演出、タイムスリップしたかのような世界観に毎度脳を溶かしている唐組です!!!!真っ赤なテント=紅テントを建てて芝居をするのが通常形態*6
【特徴】
- 紅テントで公演、全席桟敷席のため必須で靴を脱ぐ
- 春・秋に定期公演
- 整理番号は当日配布。後からチケットを取っても前列が狙える!
- テント・野外劇では珍しく、東京都内以外でも公演を頻繁にやる
- 唐十郎の戯曲を上演
私は浅学なので唐十郎のいう「特権的肉体」とかについてはきちんと分かってないんだけど、唐組がやる唐戯曲はスピード感や活舌を含め、純朴に真っ直ぐ正しく戯曲を舞台の上で紐解いている感じがするんだよね。納まるべきところに言葉が納まっているというか。正統な血統。その寸分たがわぬピタッと感がすごい耳に気持ち良いんだよね。ストーリーへの理解はふんわりでも、詩的で美しい台詞の一片が強く耳に残る。唐十郎戯曲を他の団体がやるバージョンも見たけど、この"正統血統"って感覚だけは揺るがなかったな。唐十郎は今年2024年に亡くなったけど、それでもきっと唐十郎が託した魂は紅テントから消えることはないんだなって亡くなったあとの公演を見て思ったりした。変化し続けながらも魂を残して現代で生きる演劇はそれだけで一見の価値があるって思います!
あと、タイムスリップしたかのような昭和な世界観がすごい好き!戯曲はもちろんだけど、セットとか衣装とかが本当に良くて。歌舞伎町のぎらついたネオン街を抜けて辿り着く花園神社での公演は、神社という土地柄もあり本当に時空の狭間に迷い込んだ気持ちになるんだよね。あとは歴戦のファンが登場時などに掛ける演者の名前の掛け声!ピリッと締まって熱い空気を引き出すので本当に良いの!!!このあたりは唐組でしか出来ない体験だと思います。
あとここからは個人的な話になりますが、団員の稲荷卓央さんが超最高!!!!!声の通りや台詞の活舌・スピードがガツンと気持ち良く、それでいて主張が強いわけでなく芝居全体を締めて整えるバランサーで。しかもコミカルおじさんかと思いきやふとした瞬間に見せる悪い顔に心臓を射抜かれたりするんですよ!!!年齢を重ねた男性にしか出せない、生々しい色気のある仕草や表情がとんでもなくカッコ良くてもうメロメロです……。よく客入れ時の誘導をやられてるんだけど、そんなときまで声の通りや丁寧な仕草が素敵なのです最高。コロナ禍以降に足を運ぶようになった私が見たのは後進を育て脇で締める役が多いんですが、昔はずっと主役を張っていらっしゃったそうでその時代を見ることが出来なかったことが本当に悔しいです。悔しいです!!!!!!!いくら地団駄を踏んでもどうにもならない、映像も残ってないのでめそめそするばかり。
あと、大鶴美仁音さんも毎回超~~~素敵なの!!!私は勝手に唐作品のミューズって呼んでるんだけど、唐戯曲の昭和の世界観から飛び出してきたかのような一昔前の雰囲気と、どこかしら人外を思わせるほどの透明感&清らかさのバランスが物語の中の生き物すぎて……生身の人間がこんなに「物語」そのものになることってあるんだ!?って毎度のようにうっとり嘆息してしまう。
この春に観たのはコクーンで宮沢りえ主演でもやった「泥人魚」なんだけど、諫早湾干拓事業における悲哀と人魚伝説の幻想的風景が交わり合ってやるせないのにめちゃくちゃ美しい本だった。特にラストの屋台崩しの後の美しさ!ぼんやりと浮かぶやすみが纏う人と人でないものの空気×照明を浴びて鈍く輝くブリキの鱗の光!あまりにも「物語」すぎて実在の光景と思えない美しさだった……。それだけじゃなく巨大水槽と泥を使った飛び道具的に楽しい演出もあって、本当に楽しかった!
あと、私が行った花園神社初日が唐さんが亡くなって最初の公演だったこともあり、熱気が異常で。いつも以上に飛ぶ掛け声、ラストに唐さんの歌声を流す粋な計らい、共に時代を生きたであろう年齢の男女がすすり泣く声が風に混ざって、霊感皆無の私だって唐さんがそこにいるって感じたんだよね。あれは本当に鮮烈な体験でした。
【次回公演】
唐組次回公演:「動物園が消える日」
●猿楽通り沿い特設紅テント
10月5日(土)6日(日)/11日(金)12日(土)13日(日)/18日(金)19日(土)20日(日)
10月26日(土)27日(日)/11月1日(金)2日(土)3日(日)4日(月・祝)
※ちなみに私の大好きな稲荷さんは出演しません
(ボボステだから←なんで???)(ボボステ超ハジケシートで行きます←なんで???)
②新宿梁山泊「おちょこの傘もつメリーポピンズ」(テント演劇@花園神社)
新宿梁山泊は金守珍主催で紫テントで公演を行う団体。紫テントは紅テントと違い桟敷席+段差有の椅子席で構成されているテントなので、桟敷だと腰が死ぬ民&低身長のため埋もれる民にかなり優しい。
同じ唐戯曲なんだけど、新宿梁山泊はよりエンタメ要素が強いな~~~って感じる。戯曲を朴訥、正しく伝えるというより、より広い層に唐十郎の戯曲を魅せるために味付けをしてる印象。演者も華やかなゲストを呼んでいたり、演出も画力強めな感じが多かったので唐戯曲とっつきにくいな~って感じたことある人は新宿梁山泊見ると印象変わるかも!色とりどりの幟がはためいているのもスタンダード劇場感あって粗野な感じとは一番遠いタイプのテントかも。
私が2024年の夏に観た「おちょこの傘もつメリーポピンズ」は中村勘九郎・豊川悦司・寺島しのぶという鉄壁すぎるつよつよ布陣。と、いうことは当然ながらチケットも激渋く当券抽選も全く当たらず、千穐楽当日に運よくフォロワーさんからの声掛けで行くことができたという奇跡の観劇でした。フライング×大雨演出というエンタメ爆発のエンディングもさることながら、トヨエツや寺島しのぶの大衆人気が高い華やかな芝居でよりピカピカ眩しい芝居ナイズされてた印象。ただ、屋台骨となっていた勘九郎さんの美しい活舌&早回しからは唐戯曲の持つ力強さと美しさも感じられて面白かったな。
【次回公演】
●東京都 赤坂サカス広場特設紫テント
新鋭若衆公演:2024年10月14日(月)〜2024年10月18日(金)
唐十郎追悼公演:2024年10月19日(土)〜2024年10月23日(水)
③劇団椿組「かなかぬち〜ちちのみの父はいまさず〜」(野外劇@花園神社)
椿組はテント・野外にこだわらず活動している劇団だったんですが、何と今年が最後の野外劇でした……悲しいけど滑り込めて良かった。

この作品、私の今年観劇ベストになりそうな勢いで良かった!!!!!日程の都合で1回しか見られなかったのが本当に本当に残念すぎて。*7テントと野外劇の良いとこどりな作りがまずとても良く、券引き換えスペースすらも素朴さを残しつつギラギラ提灯がいくつも点いててアニメに出てきそうな田舎のお祭りの雰囲気が異世界へ誘う感じがしてよかったな。
テント作りだけど中に入ると桟敷席や所謂the舞台がなく、前列も椅子。そして座席の前には広く広がる砂利の地面と木と奥に広がる宵闇。テント劇との大きな違いとしてとにかく音が広く抜けていく。それが広大な作品世界とマッチしてるのよ!あと、終演まで耐えることなく煌々と松明が燃えていたのが非日常感を色濃く描いていて超良い*8。そんな境目がなく舞台と呼べるか怪しい荒っぽい環境の中、あやかしのような派手なメイクと鮮やかな衣装の猿楽一座を担当する演者が陽気にビールやらチューハイやら水を売り歩いてるの!!!中にはシャム双生児がいたり、孫悟空がいたり。この時点でもう世界観が良すぎて大興奮!!!公演が真夏ど真ん中だったけど、そのタイムスリップしたかのようなレトロで旅一座然とした雰囲気と、剥き出しで広がりのある野外スペースがうだるような暑さすら演出に変えていてアトラクションだった〜〜〜!!!何よりそんな空気の中で煽るキンッキンに冷えたビール!!!!!キマっちまうでしょうが!!!!!まじで気持ち良すぎて開演する前から脳が溶けてしまった。
開演前から最高だったのに、芝居も超超最高で!!!中上健次が力強く紡いだ南北朝の粗野で粗暴で情熱的な世界を、演出の青木豪*9が極彩色のエンターテイメントで描いていて息つく間もない怒涛の展開!!!決して明るい話ではなく、リアリティのある強姦シーンや強奪、差別、血みどろ(汚しても舞台の掃除が楽チンなので舞台上まじの血みどろ)シーンもあるのになぜか妙にあっけらかんとしていて”””生命の強さ”””が神話となって輝いていて……!更には山本亨さん*10が背中に炎を背負ったあと一直線大空に飛んでいくものだから景気の良さに大喜びしてしまった。力isパワーのエンタメ大好き。いやぁ、暴力と性で満ちた盗賊一味と復讐に燃える姉弟というハードなテーマを猿楽一座の鮮やかな舞で色付けした、極彩色の地獄で超良かった……。またこの猿楽一座がキュートなのにどこかドライで、この世のものでないような妖しさをまとっているのが真夏の夜に見た幻みたいでグッと来ちゃった、忘れられないな。
悪党が信念&美学を最後まで曲げず中途半端に改心しないのがとても私好みで、環境と演出の相性も最高、本当に椿組の野外劇これが最後なんて残念すぎる!!!こんなに濃厚に人間の生を感じる芝居なかなかないよ!!!終わらないで!!!またやって!!!!!と秋になった今でも駄々を捏ねたくなっちゃいます。はぁ、みんなたちにも見てほしかった。
④ 吉野翼企画「身毒丸R」(野外劇@西戸山野外円形劇場)
たまたま開いたTwitterのおすすめ欄に出てきて知った。いらない機能だと思っていたけど、たまにはめっちゃ良い働きする。なんとこの劇場、コロナ禍もあってなんと6年くらい使用されていなかったらしいんだけど、円形で見やすく段差もしっかりしておりまじで超良い野外劇場!!!緑に囲まれたタワマンの真下&新大久保から徒歩距離という立地も面白いし、こんな長い時間眠っていたの損失すぎない!?!?
演目は寺山修司の「身毒丸」です。そもそも野外劇と寺山修司相性が良いと思うんだが、タワマンの真下で見る身毒丸やばすぎるでしょうよ。幸福の頂点みたいな家族の箱の真下で、壊れてしまう機能不全家族を観るの最悪で最高。これは立地の勝利がすぎる。この芝居を見下ろす高い箱には一体何組の父母子美しく揃った家族合わせのカードがあるんでしょうね。
私が野外演劇を好きな理由のひとつに演出の無限さ自由さがあることは前述してますが、この作品は他の作品と比べてもおもちゃ箱みたいに色んなこと演出がたくさん飛び出してくるので本当に楽しかった!予想しない場所から時計と犬が現れた瞬間の驚き、思いがけず背後から聞こえてきた父の呪いの声の不気味さ、タワマンのエントランスに繋がる二階部分から顔を出しそのまま縦横無尽に駆け巡る無邪気な家系売り……ワクワクがたくさんだし観ている側も様々な感情がシチュエーションによって引き出されるの!!!特に好きだったのがマッチを使ったダンスの演出なんだけど、照明をオフして深い闇を作り出しダンスの蠢きに合わせそこかしこで突然燃えては消える炎の揺らめきと風に乗って段々と届いてくる硝煙の香りが幻想的でめちゃくちゃ興奮した〜!夏の夜と火薬の匂いって、花火とかお盆とか蚊取り線香とかあらゆる記憶に結びついて超ノスタルジック。
東京都内の野外だとどうしても完全に真っ暗にはできないんだけど、完全暗転が必要なシーンで、闇から現れた母売りの男が観客に瞼を閉じて暗転を作るように促してたのも印象的な演出だったな。それがちょうど母地獄の前でまるで瞼の裏に残る母を探す身毒丸を追体験するようで超良かった!その場面へのいざないとして母売りの男から「今日は星は見えないが人の営み灯りが眩しいので」みたいな台詞があるんだけど、煌々と灯るタワマンの明かりを「人の営みの灯り」って表現するのが寺山修司の戯曲の世界観と合いすぎてて痺れてしまった……!野外の醍醐味!
私の行った公演がほぼ満月で月がタワマンの側を動いていく時間経過も、チケットがない近所の少女が二階スペースから観ている光景も、そして私が行く前日が大雨の中の公演だったことも全部一期一会の体験なのが超良い。吉野翼企画の「身毒丸」は野外という一期一会の特性を最大限に味方につけているが印象的だった〜〜〜!!!
明日、明後日、
— 絵空箱 吉野翼 (@esorabakoTasuku) 2024年8月16日
『野外劇 身毒丸R』にご来場頂く方々は、ネタバレ注意。
と、いっても、このシーンは身毒丸を知ってる人には、あまりにも有名な伝説のシーン。
身毒丸の演劇作品では大体のチラシで、この台詞が煽り文句になっているほど。
の、どしゃ降りVersion!
雨ならではの迫力! pic.twitter.com/r6AYUrstRS
【次回公演】
赤坂舞台芸術祭2024 紫テント×crossing 参加作品crossing D公演:「天井天下異聞奇譚」
●東京都 赤坂サカス広場特設紫テント
2024/10/26(土)
というわけで、普段人に憑く妖怪*11の私ですが、2024年は積極的にテント・野外演劇に行って観ました〜〜〜。多分それでも全然作品に触れられてないのでおすすめとかあれば是非マシュマロで教えてください!!!現地で自分の目で観ることを大事にしているので、終わった演目でなく今後やるものを教えてほしいです!!!
とりあえずこの秋は唐組新作は確定、赤坂芸術祭紫テントもタイミング合えば行きたいな*12。というわけで、まだまだ若輩ですがテント・野外演劇の楽しさをもっと知っていけたらと改めて思った「テント・野外劇って超楽しいな」な2024春夏の記録でした。
*1:元々は歌舞伎の用語。舞台の建物が崩れたり倒れたりする場面を見せる仕掛け。
*2:後述の感想にもある椿組です
*3:新感線にも出演歴がある激シブ重鎮俳優さん
*4:野外・テント演劇は開演前に演者が酒を売り歩く公演も結構あるよ!
*5:おちょこの傘持つ〜のときは当日急遽お声がけいたたいのでタイトロングスカートだった笑 階段かなり危険です!
*6:コロナ禍に際して違う形式でやったこともあります
*7:この辺の日程がキスマイ、野田地図、大人計画と欠かさず見ているエンタメの乱立&仕事繁忙期だったのです
*8:途中で黒子が薪を足しに来るので炎が弱まることがない
*9:両国花錦闘士や新感線の演出もやってるスキンヘッドの演出家
*10:新感線などにも出ている超大物激渋俳優
*11:どの現場でも特定の人物個人を追いがちなおたく、他人の人生を消費して楽しむ妖怪
*12:どうしてもキンプリのコンサートが始まるので……