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間違った対立図式

昨年に引き続き、今年も政治の一大争点が減税なのは結構なことです。一部では減税派批判も盛り上がっているようですが、アンチも含めてファンですから(笑)、これもまた大変結構な話です。

面白いのは、減税派を批判しているのは社会主義者大きな政府派だけでなく、小さな政府を支持するリバタリアンを名乗る人たちも含まれていることです。どうやら世間では、小さな政府派には①「歳出削減が先」派と②「減税が先」派があるということになっているようです。「反減税派」のリバタリアンは①の歳出削減優先派を自称し、時には増税を支持する発言すらしています。彼らによれば、「減税派は無駄な支出は批判せず減税だけ主張するが、これはバラマキで逆に問題を悪化させる」のだそうです。

しかし、こういう減税派批判は実態とどれほどあっているでしょうか。少なくとも、渡瀬先生をはじめとする普通の減税派には「減税しか主張せず歳出の無駄を批判しない」という批判が当てはまらないのは間違いないでしょう*1。むしろ減税派は産業政策や社会保障費の無駄を厳しく批判しているというのが妥当です。多くの減税派が教育”無償化”は税負担化であるとして強く反対していますし、無駄な歳出の拡大には反対しています。減税派の特徴づけとして、減税しか主張しない人たちという特徴づけは明らかに正しくないでしょう。現実の減税派は歳出の無駄削減も減税も同時に唱えています。

自称歳出削減優先派に比べて減税派が規制改革に熱心でなかったり社会保障改革に後ろ向きだったりするとは到底言えません。また、反減税派は実際に何か行動を起こして規制改革について減税派より大きな成果を上げているなどということもありません(むしろ逆でしょう)。具体的提案もなしに嘆いてばかりなのは自称歳出削減優先派の方です*2。「歳出削減が先」派と「減税が先」派の対立という図式は現実を正しく表していないのです。

では、実際の「歳出削減が先」派と減税派の唯一の違いは何かと言えば、前者が減税に反対している(もしくは積極的に増税を支持している)ということだけです。例えば、「多くの人が指摘するように「取り過ぎた税金」なんてない。…(中略)…だから国民に返すこともできない」と主張し〔減税を主張する〕「国民民主を応援する学生は肉屋を応援する豚」*3だと罵倒する評論家や、「どこに減税する余地があるというのか」*4「今の状態で減税して赤字国債増やすのはクズの所業」*5で「残念ながら、当面は増税して使った分を払わなきゃね」*6と主張する匿名の方などは明らかに増税を支持しています*7

歳出削減優先派の方々は確かに「まず歳出削減が必要だ」と言いはしますが、特に具体策があるわけではなく、現実に実行不可能な急進的な提案をどうすれば実現できるのか手段を示さずにしたり、「民主主義では実行できないが」等と言いながら思いつきでその時々に(しばしば相互に矛盾した)適当な提案を言ったりするだけです*8。現実には歳出削減派は特に代替案を持っていないし、自分たちの提案が実現できるとは思っておらず、ただ単に減税に反対するための理由として理想論を持ち出しているだけです。

ですから、小さな政府派の中に「減税が先で歳出削減は後」と言っている人たちと、「歳出削減が先で減税が後」と言っている人たちがいるという理解は妥当ではないと思います。実際にあるのは増税派・現状維持派と減税派の対立だけです。現実の減税派は歳出削減派でもありますし、自称歳出削減派が何か具体的成果を上げているわけではないのですから、減税派は「お前たちは歳出削減を主張しないので真の自由主義ではない」などと言われても気にせずに自信を持って良いと思います。現実に存在しない間違った対立図式に惑わされないようにしなければなりません。

*1:例えば、反減税派は社会保障改革を重視しているようですが、渡瀬先生は医療費の自己負担引き上げにも賛成しておられます。というか、医療貯蓄口座導入によるもっと急進的な改革を支持しています(これは私もそうですが)。反減税派の主張していることで、減税派が後ろ向きな規制改革が何かあるなら教えてほしいものです。

*2:制限選挙を導入しろなどという提案にもならない噴飯物の提案をときどきXに投稿するのが提案のつもりなら話は別ですが、明らかに導入するつもりもなく本人も導入できるとも思っていない提案をXにつぶやくだけの行為は通常、何かの実現のために努力しているとは言いません。

*3:池田信夫氏の 2025年1月9日のX投稿

*4:(若)年寄 @リバタリアン地方公務員氏の2024年11月19日のX投稿

*5:(若)年寄 @リバタリアン地方公務員氏の2024年12月21日のX投稿

*6:(若)年寄 @リバタリアン地方公務員氏の2024年12月21日のX投稿

*7:この方は「増税補助金・給付削減、各種公共事業の廃止といったインフレ対策が必要」((若)年寄 @リバタリアン地方公務員氏の2024年12月1日のX投稿)とも書いておられます。ちなみに、この方は、「当アカウントは、「全ての増税に反対」に賛同し、その為に社会保障の大幅縮小を求めて」いると書いたポストを固定していますが((若)年寄 @リバタリアン地方公務員氏の2024年10月24日のX投稿)、これは明らかに増税を支持している一連のご発言と矛盾していないでしょうか。

*8:実際に実現する気があるのであれば、過激な思い付きをポストして自己満足するのではなく、詳細な計画を提案すべきですし継続的に提案の実現を訴えるべきです。




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