以下の内容はhttps://seiyasi.blog.jp/archives/26191841.htmlより取得しました。


2024年07月18日 05:00

ライブスタックの一夜④(2024/06/04・その一部始終・時系列記録)







の続きです。(本記事で完結です。)
セットアップは、正に「注文の多い料理店」のように、あれして、これしてと、やること満載でした。
こうした煩瑣なセットアップを経て、ようやくライブスタックに漕ぎ着けることが出来ます。


 ライブスタック・1対象目 「NGC5774,NGC5775」 
雲が切れ、凄い星空になりました。天の川が、雲のようにモクモクと空に懸かり、25㎝鏡の星像もシャープです。

この日の1対象目は、おとめ座の東端に位置する「NGC5774,NGC5775」です。
観望開始時点で、高度が37°と西に傾いてしまっていましたが、どうしても見ておきたかったんですよね。
空が澄んでいるから、高度が低くても、どうにかなるだろうと考え、導入しました。
観望リストには、
「NGC5774(6 1.5分角 この渦巻が面白い)NGC5775(Sbc 相互作用銀河 4分角) ※南西の相互作用銀河2個も一緒に IC1067他」
と記録しています。(最初の数字・アルファベットは銀河の種類を表しています。)

「NGC5774,NGC5775」を導入後、プレビューの露出時間を5秒にして銀河を見易くします。
続いて、ASIAIRメイン画面の左パネルの「Cross」を押して、十字線を表示させます。
画角の端に見えている「IC1066・IC1067」を、ディザリングのケラレがかからない程度の場所に置き、かつ、ダブル主演の「NGC5774,NGC5775」を、出来るだけ中央に寄せるようにして、画角を調整していきます。
ASIAIRは、プレビュー画面で、中心にしたい所を、マウスの左ボタンを長押しすることで、そこにもって行ってくれるので、とても便利です。

画角が決まったら、すかさず、オートガイド画面に遷移し、ガイドを開始します。
次に、ガイドの安定度合いを見つつ、ライブスタックの初っ端なので「Live」の「Light」の設定を行います。


6/5 0:25 ・・・・ 「Live」の「Light設定」
・1フレームの露光時間は「10秒」
最近は12秒にしています。露光秒数を長い方にもっていくと、銀河の淡い部分が出やすくなります。ただし、追尾精度が良くない場合、秒数を延ばし過ぎると、精細さに欠けるスタック画像になります。
・「Stack Duration」は、スタック枚数の上限を設定するものなので、「No Limit」にしておきます。
・「Save Every Frame when Stacking」にチェックを入れ、全てのフレームを保存するようにしておきます。保存フレームは、帰宅後に画像処理でLightフレームとして使用します。
・「Flat」「Dark」「Bias」にチェックを入れ、右側の矢印を押して、先に撮影しておいた各マスターファイルをセレクトします。
「OK」を押して「Live画面」に戻ります。
スクリーンショット 2024-06-05 002723
(※設定画面のスクショを撮り忘れていたので、スタック開始後にスクショしました)

0:26 ・・・・ 1対象目ライブスタック開始
ガイドが順調に行われていることを確認して、メイン画面の右パネルにある撮影ボタンを押し、スタック開始です。
スタック枚数5・6枚の辺りまでは、目に見えて像が明るくなっていきます。


0:29 ・・・・ 1対象目 11フレーム・スタック済
スクリーンショット 2024-06-05 002942
「おお~、出てきた。出てきた。」
「NGC5775」(中央下)と「IC1066,IC1067」(右上)が、よく見えてきました。
それに、小さな銀河が、幾つも見えてきています。
ただ、「NGC5774」(中央)の淡い腕が、なかなか出てこないので、この時点では、これは難物かも知れないと、ちょっと戦々恐々。
総露光2分に満たない時点なので、まだ、スタック画像は、暗くて、ノイズでザラザラです。


0:33 ・・・・ 1対象目 25フレーム・スタック済
スクリーンショット 2024-06-05 003317
総露光4分10秒時点です。
難物かと思われた「NGC5774」淡い腕も、少しずつ見えてきました。
また、「IC1067」(右上中央寄り)の外側に伸びた腕も出てきました。
「なかなか良い感じ!になってきた」

25㎝F4望遠鏡だと、だいたい総露光5分弱の辺りで、このように画像が絵になってきます。まだ、背景のノイズが勝っていて、SN比が悪いですが。
以前使っていた20cmF4望遠鏡だと、絵になってくるのは、もう少し先になります。


0:42 ・・・・ 1対象目 60フレーム・スタック済
スクリーンショット 2024-06-05 004244
スタック開始から、16分程が経過していますが、スタック枚数は60枚、総露光時間はちょうど10分です。
ディザリングを2フレーム撮影ごとに行っているので、整定までの時間が余分に掛かります。要はタイムロスしてしまいます、でも、ノイズ低減効果が高いので、3フレーム毎とか4フレーム毎とか、間隔を開ける方向にもっていくつもりは全くありません。

総露光10分にもなると、淡い部分など、見えてくるべきものは、だいたい見えてきて、画像が、かなり鮮明になってきます。
実際、現地では、「うおぉ~、スゲー!」と、大興奮していました。
これ以降は、少しずつ、SN比が高くなり、滑らかさが増していきます。


0:51 ・・・・ 1対象目 91フレーム・スタック済
スクリーンショット 2024-06-05 005121
総露光15分10秒時点です。
「炙り出し」にも耐えられる画像になり、最早、綺麗な銀河画像になってきています。
欲を言えば、「NGC5775」(中央下)の暗黒帯を、もっとハッキリと視たいのですが、そのためには望遠鏡の口径と、赤道儀の追尾精度の両方を上げる必要があるでしょう。


0:55頃 ・・・・ 次の観望対象の選定
最近は、総露光30分超の辺りまで、スタックを行うことが多いので、中間地点のスタック15分の辺りで、次に視る対象の最終決定をしています。

私は、Wordでリストを作っており、その日視る対象は、概ね絞っているのですが、観望時刻や気象条件を考慮して、次なる対象の決定をするという訳です。
また、複数候補の中から選定することが多いので、携帯電話で「NGC○○○○」というように検索をして、銀河等の形状や見え方を再確認し、より「そそられる」対象を選択しています。

因みに、恥ずかしながら、次が、作成しているリストの一部です。(6月4日以降に加筆した分のある現在のものです)
スクリーンショット 2024-07-16 222727
リストは、Stellariumで2分以上の銀河・星雲を表示して、そこから拾っています。Stellariumに表示される見かけの大きさのデータは、外周の淡い腕やハロを勘案していないことが多く、そこが難点ですが。
銀河については、カタログ番号の他に、種類(分類)、見かけの大きさ、特徴なども書き加えています。
また、天リフ・News・ブログ等で見て、リストに書き加えた場合は、そのブログ名等も記しています。
是非、見ておきたいという対象は、●に色を付けて、一目で分かるようにしています。また、●数が多いのが優先度の高い対象です。

この日は、この時間に、次の対象を「NGC6027(セイファートの六つ子)」に決定しました。


0:58 ・・・・ 1対象目 120フレーム・スタック済
スクリーンショット 2024-06-05 005908
総露光時間20分となり、スタック画像は、ほぼ完成形に近くなってきました。


1:07 ・・・・ 1対象目 150フレーム・スタック済
スクリーンショット 2024-06-05 010743
総露光時間25分時点です。
ここに来て、「NGC5774からNGC5775に繋がる淡い腕」が、何となく見えてきました。

お遊びで、アノテーションしてみました。
スクリーンショット 2024-06-05 010918


1:16 ・・・・ 1対象目 180フレーム・スタック済
スクリーンショット 2024-06-05 011613
ライブスタック中は、ほぼ、ノートPCの前から離れません。
椅子に腰掛けて、スタック画像を炙ったり、空を見上げて、流星を探したりと、とても贅沢な時間を過ごします。


1:25 ・・・・ 1対象目 210フレーム・スタック済 (スタック終了)
スクリーンショット 2024-06-05 012643
スタック開始から、ほぼ1時間が経過しました。しかし、総露光時間は35分です。
その間差は、ディザリングでのタイムロスです。
最近、1フレーム12秒にしたのは、銀河の淡い部分を出したいということもありますが、ディザリングでのタイムロスを、幾らかでも減らしたいという思惑もあってのことです。

スタック画像は、ノイズがかなり減って、星の色も出てきました。銀河も、十分に綺麗なものになりました。
「NGC5774からNGC5775に繋がる淡い腕」は、ハッキリとしませんでしたが、画像処理で、主要な4銀河は、綺麗に仕上がる手応えを感じました。
もう、これ位でいいでしょう。ということで、ここで撮影をストップしました。

ところで、ASIAIRでのライブスタックは、「スタック枚数を無下に多くすればいいというものではない」と、私は思っています。
風のある日や、追尾精度が悪い日などは、枚数を重ねることで、星が肥大するなど、却って像の悪化を招きます。
その理由は、星の流れたフレームもスタックされるからです。激しく流れたフレームは弾かれますが、結構流れているフレームでも、ASIAIRが気を利かせてスタックしてしまうためです。
この辺の設定が出来ればいいのですが、ASIAIRには無いんですよね。
よって、丁度良い頃合いを見定めることが肝要です。

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ここまでのスタック画像を、比較できるように並べてみました。
画像が、最初は急激に、その後、徐々に綺麗になっていく様子が分かります。
(1フレーム10秒露光)
スクリーンショット 2024-07-17 121052
Stackd 11      Stackd 25      Stackd 60      Stackd 91

スクリーンショット 2024-07-17 121521
Stackd 120     Stackd 150    Stackd 180    Stackd 210

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おまけの、画像処理後の画像です。
中央のNGC5774と、左下のNGC5775は、相互作用しており、NGC5774からNGC5775に向かって腕が伸びています。
右下の棒渦巻銀河
IC1067は、見かけこそ小さいものの、腕の巻がハッキリしていて綺麗です。
因みに、この4つの銀河に係る、Stellariumの距離データ、赤方偏移データは、いま一つ信頼性に欠けるので、位置関係は定かでありません。

                                                                           
〔NGC5774,NGC5775,IC1066,IC1067〕
おとめ座
距離:NGC5774(中央)=7,540万光年(Stellariumデータ不正確により、赤方偏移からの換算。)
NGC5775(中央左)=8,190万光年( 〃 )
IC1066(右下の下)=7,690万光年( 〃 )
IC1067(右下の上)=7,590万光年( 〃 )
20240605 01NGC5774NGC5775
NGC5774,NGC5775,IC1066,IC1067 2024.06.05  00:26-01:24 (ASIAIRライブスタックDark,Flat,Bias補正
秋田県由利本荘市 南由利原
SkyWatcher BKP250/F1000
SkyWatcherコマコレクター(×0.86)  +IDAS NGS1(48mm)  +ZWO ASI585MC(Gain280 輝度?)
SkyWatcher EQ6R,オートガイドSkyWatcher EVOGUIDE 50EDII+ZWO ASI120MM-MINI
画像処理:10秒×182=30分20秒,PixInsight(WBPP=Dark・Flat・Bias補正,BXT),FlatAide ProRawTherapee(黒レベル,彩度他)DeNoise AIPhotoshopCC(ハイパス,カラーバランス,彩度)
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 1対象目と2対象目の間の「ピント合わせ」 
1対象目のライブスタックが終了したら、2対象目のスタック前に、必ずピント合わせを再度実行するようにしています。
この日は、望遠鏡を外に出して、かなり時間が経っていましたが、通常は、まだ温度順応の途中で、ピント位置が変わっていると考えられるためです。
実際、1対象目の後半辺りになると、ピントが甘くなっているなと感じることが多々あり、バーティノフマスクを当てると、EAFの数値カウンターで20~40位ピントがズレていることが多いです。
ということで、これをルーティーンにしています。
その後は、甘くなってるなと思った時に、適宜ピント合わせを行っています。


 ライブスタック・2対象目 「セイファートの六つ子」 
1対象目のスタック終了とともに、雲に覆われてしまいました。が、南西の空だけ雲が切れていたので、観望強行です。
2対象目は、へび座(頭部)の北部に位置する銀河群「NGC6027~セイファートの六つ子」です。
約2億光年先の銀河ということなので、見かけが皆1分以下で、本当に小さいです。

1:36 ・・・・ 2対象目ライブスタック開始
雲が懸かって、ガイドのスターロストが何度も起き、西に低くなったアルクトゥルスも明るくなったり減光したりを繰り返していました。
悪条件下でのライブスタックの始まりです。


1:41 ・・・・ 2対象目 18フレーム・スタック済
スクリーンショット 2024-06-05 014206
総露光3分時点です。本当に小さくて、淡い銀河なので、ノイズに埋もれてしまいそうです。


1:53 ・・・・ 2対象目 60フレーム・スタック済
スクリーンショット 2024-06-05 015408
総露光10分となり、六つ子が、ハッキリしてきました。
でも、薄雲が懸かった時特有の赤いモヤモヤが、画面全体を覆っています。

2:25 ・・・・ 2対象目 172フレーム・スタック済
スクリーンショット 2024-06-05 022555
2時を過ぎた辺りで、ようやく空が晴れ渡りました。でも、時すでに遅し。
薄明開始が2時17分でしたが、開始後も粘ってスタック枚数を稼ぎました。

対象が小さいので、あまり感動はありませんでしたが、視たという既成事実は出来ました。
スタック画像があまりに貧弱だったので、「こりゃ、画像処理してもモノにならんかも知れんな」と、ちょっと落胆。

スタック終了後は、スタック画像を全画面表示にして、記念?のスクショを撮ります。炙り具合の違う2枚をスクショするようにしています。(1対象目は、これを忘れてしまいました)

(ASIAIR画面のスクリーンショット)  10秒×173 
スクリーンショット 2024-06-05 022948

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おまけの、画像処理後の画像です。
雲懸かりでの撮像なので、ノイズが酷いです。

                                                                           
〔NGC6027(セイファートの六つ子)〕
へび座
距離:NGC6027(下から2つ目の銀河)=1億9,860万光年(Wikipediaより)
NGC6027A~D=NGC6027とほぼ同等(Dは赤方偏移から9億光年とされている)

画像処理後「画像」
20240605 01NGC6027(セイファートの六つ子)
NGC6027(セイファートの六つ子) 2024.06.05  01:36-02:25 (ASIAIRライブスタックDark,Flat,Bias補正
秋田県由利本荘市 南由利原
SkyWatcher BKP250/F1000
SkyWatcherコマコレクター(×0.86)  +IDAS NGS1(48mm)  +ZWO ASI585MC(Gain280 輝度?)
SkyWatcher EQ6R,オートガイドSkyWatcher EVOGUIDE 50EDII+ZWO ASI120MM-MINI
画像処理:10秒×137=22分50秒,PixInsight(WBPP=Dark・Flat・Bias補正,BXT),FlatAide ProRawTherapee(黒レベル,彩度他)DeNoise AIPhotoshopCC(ハイパス,カラーバランス,彩度)
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薄明が始まり、北東の空が、薄明るくなってきました。
よし、終了! ということで、マウントを「Go Home」します。
BKP250、EQ6R、585MC、みんな、お疲れさまでした。よくぞ頑張ってくれた。

スクリーンショット 2024-06-05 023056


 撤  収 
さあ、撤収作業開始。撤収は、約30分で完了します。
各機材は、車の所定の位置に、元通りに積み込みます。ここが大事!かな。忘れ物を防止できます。
実は、私、各ケーブルの並び方まで決めていて、その通りに箱に収めます。几帳面と言うか、AB型と言うか、何なんでしょうね・・・


 ライブスタックの一夜を終えて 
夜が短い夏場の観望ということで、観望件数が少なく、さらには雲と薄明に祟られて、尻切れトンボ状態で終了となったことから、さぞ、不完全燃焼だっただろうと思われるかも知れません。
なるほど、遠征地まで往復3時間、セットアップ・撤収に3.5時間、晴れ待ちで1.5時間と、計8時間かけて、約2時間で2対象の観望でしたからね。効率からすれば最悪です。
でも、そこそこ満足なんです。
何せ、重厚感溢れる望遠鏡一式をどっかと鎮座させ、それで1対象目のスタックが出来れば、満足度はほぼ80%になっているのですから。
これは凄いという銀河で、「うひょー」と言う声が2つくらい出れば、もう満足度は120%にもなります。
空戻りやボウズは嫌ですが、新たな銀河と出会えさえすれば、そこそこ満足なのです。


 25cm鏡のススメ 
ところで、人が望遠鏡を買って、星を見たいと思った時、頭の中に思い浮かべるのは、色鮮やかな星雲か、渦を巻いた銀河かの、どちらかだと思います。
私は後者だったので、2021年10月、電視観望用に最初に買ったFRA400で、M51を見た時は、暗くて小さくて、かなりガッカリしました。焦点距離と口径から言って、どだい無理だったのですが。
そのため、FRA400購入から、わずか4カ月後には、BKP250/1000を発注していました。
この25cm鏡は、これまで本当に数々の綺麗な銀河を見せてくれました。
2年ちょっと前には8万数千円だったので、こんな格安望遠鏡であるにも関わらず、この望遠鏡を持ったことで、明るくかつ焦点距離が伸び、観望対象が数倍、いや十倍以上に広がりました。また、星像も申し分ないと私は思っています。
今では、価格が10万円を超えてしまいましたが、依然としてコスパが最高の部類に入る良い望遠鏡です。
製造元や販売店の回し者ではないのですが、重いとか、光軸調整が面倒とか言わないで、赤道儀もEQ6Rクラスがあれば支障なく運用できるので、皆さんも25cm鏡で「デッカイ宇宙の大空間に浮かぶ、遥か遠くの銀河」を見てみませんか。面白いですよ。

いずれは30cmF4鏡をと、頃合いを見計らっている私がススメるのも何ですが。







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