2026年4月入学の東京大学大学院情報理工学院コンピュータ科学専攻 修士課程の夏入試(2025年8月実施)に合格しました
理学部情報科学科の学生なので「内部」にあたる受験生です。
同じ理学部の数学科・物理学科や、同じ情報系の計数・電情は激しい選抜や研究室振り分けがあるのに対して,情報科学科の院試は内部生は概ね希望通りに通るというものと言われています。
ただし、聞くところによると「院試で内部に優遇措置はかけておらず、純粋に点数で区切っている。試験内容的に内部の学生が有利だから内部の合格率が高いだけ」であるようです.過去には得点率が3割程度だった内部生が不合格になったという話もあるようなので,点数は取る必要があります.
また,各研究室には人数の上限の目安のようなものが設けられているとされています.この値は公開はされていませんが,以前の代の所属人数を見れば概ね把握できます.独自に調査をしていた同期によると,内部生の志望は概ねこの定員に収まるようにバラけていましたが,一部超過しているところ,定員ちょうどである研究室などはありました.このような研究室を志望する学生はより熱心に院試勉強をする傾向があります.
筆記試験
筆記試験(点数に換算されるもの)は以下です
- TOEFL(120点)
- 情報理工学院共通の数学の試験 (300点)
- コンピュータ科学専攻の専門科目試験(800点)
合格点のようなものは分かりませんが,内部生の得点の平均・中央値は 850 点前後だったのではないかと予想しています.(よく他人の点数を過大評価するタイプの人がいますが,私はそういったタイプではありません.)
以下,筆記試験に関連する体験記です.
院試ゼミ
学科同期が,7/28から8/14まで週3日のペースで院試ゼミを開いていた。過去問を2年分ずつ各自が解いて来て,情報交換を行うという形式のものだった。私はこれに一回参加した。
TOEFL
5月17日に受けた。
出願が6/5にあり,それまでに結果を送る必要がある。結果が出るまで2週間程度かかる可能性があるとされているので,この受験日はデッドラインギリギリになる。
同期は春休み中や4月に受けている人が多かった。
手続き関連
- ネット上に転がっているクーポンを入れると割引される.私は謎のインド企業のおかげで 15.6 USD 割引された.
- Send scores to institutions をする必要がある.Send scores to institutions は MyTOEFL Homeからだと25 USDかかるがMyTestsからだと無料.
対策
- TOEFL公式が出しているサンプル問題(2時間)を試験前に解いた
- 学科同期がdiscordに書いている知見を見た
結果
- Writing 21
- Listening 21
- Speaking 15
- Writing 19
合計 76 / 120
感想
いつもと同じ程度の英語の分からなさ・出て来なさ具合だったので、実力相応の結果なのだと思う.
同期の平均や中央値は,これよりは高く,これより10点は高くない程度という印象だった。
TOEFLの点数はひととおりの対策をすると学部入試の英語の点数と大体同じになるという噂もあるが、ある学生は完全に対策無しで受験して学部入試から40点近く点を落としたそうだ。
共通数学
8月19日に受けた。
前提
共通数学は100点×3問からなり,それぞれ線形代数、微分積分、確率統計の分野から出題される。
対策
- 院試ゼミに一回参加し,2020, 2021年の数学を眺めて少し解いた
- 過去問の線形代数の大問を見て,学部1年レベルの線形代数の復習
- 過去問の微分積分の大問のうち,常微分方程式の回でないものをいくつか解いた
結果(自己採点)
- 線形代数 55
- 微分積分 10
- 確率統計 85
合計 150 / 300
感想
微分積分の大問では,Riccati 型微分方程式をテーマとした問題が出た.
私は常微分方程式に関して無知(知っていることは,何か色々なタイプがあるらしいということと,学部1年の物理でやった減衰振動くらい)で,各設問30秒ほど考えて諦めた。
出題傾向的に今年は常微分方程式でない問題が出ると思ったことと、あと単に常微分方程式に興味が無かったため、勉強はしていなかった。学科のカリキュラム・方向性上、同期も常微分方程式に明るい人間ばかりではなかったが、取れたのが小問一つのみというのはその中でもやりすぎだったようだ。
同期の平均や中央値は,これよりは高く,これより50点は高くない程度という印象だった。
計数数理の学生には(例年通り?)全完セットだったようだ.
専門科目
8月20日に受けた
前提
専門科目は200点×4問からなり,形式言語,アルゴリズム,ハードウェア,OS (処理系・機械学習の年もあり) の分野から出題される.
対策
- 院試ゼミに一回参加し,2020, 2021年の問題を眺めて少し解いた
- 過去問の形式言語の大問が面白かったので色々解いていた
- 過去問のアルゴリズムの大問を一つ解いた
- 過去問のハードウェアの大問を一つ解いた
- 過去問のOSの大問を見て,忘れていた知識を復習
結果(自己採点)
- 形式言語 150
- OS 60
- ハードウェア 200
- アルゴリズム 200
合計 610 / 800
感想
形式言語の大問の最後の小問は,解法がシンプルでありそれなりに解かれていた.私は方針を誤り,長い時間を掛けたものの時間内に解けなかった.
OSの大問では,ページングをテーマとした計算問題が出たが,うまくイメージがまとまっていなかったため,ケアレスミスのような知識不足のようなミスでかなり失点してしまった。
アルゴリズムの大問については,最後の小問をやり残した人が多かったように見受けられた。
同期の平均や中央値は,これから ±50 に収まる程度という印象だった。
(余談:アルゴリズムの大問を作成している教員が昨年・一昨年とは異なることが容易に想像できた.)
面接
研究計画書
6/5の出願の際に,研究計画書を出す必要がある.この学科では卒論の配属はB4の前期では決まっておらず,代わりに演習Ⅲという授業で3つの研究室を一ヶ月ずつ回ることになる.演習Ⅲで志望研究室を訪問した際のテーマに沿って研究計画を書いた.
念のため体裁を整えておこうと思って,引用のフォーマットを見本に揃えるなどに注意したが,気にしている人は多くなかったので問題ないのかもしれない.
面接
8/25 にZoomで行われた.他の参加者の名前が見えないような,普段と異なるモードで実施されていた.
指定時間(11:50)までに待機室に入るよう指示されていたが,待機室が待機室らしい見た目をしていなかったため,待機室に入れていないという勘違いが生じていた。

研究室の分野・方向性ごとに3つの面接室が設けられており,順番になると突然そこに呼び出される形式だった.面接は5分ほどで終わった.
質問内容
- 志望理由を1分で
- この研究計画の後の野望はあるか?
- 修士課程の後の進路
野望を聞かれるのが珍しいと思ったが,このような経緯によるものだった.

おわりに
微分方程式やOSの筆記試験の結果を考えると自分のパフォーマンスは褒められた内容ではなかったように思いますが、志望の研究室に合格できたようで良かったです。
受験者の方へ
外部の方
試験範囲が理情の必修科目に含まれているため内部生は得点を取りやすいと言われていますが,問題そのものはオープンなものにするよう配慮がされていると感じました.
- 形式言語の大問は,Sipser(?)などのオープンな演習問題と類似した問題が毎年出されており,対策がオープンな資料で完結します.透明性確保の意味もあって,この大問が毎年実質的に固定された枠として置かれているのではないかと思います.理情では2年秋学期に「形式言語理論」という授業があり,その期末試験で同種の問題も出されますが,それ以降は形式言語理論の演習問題を解くことはなく,院試で改めて取り組むことになります.
- アルゴリズム・離散数学は、同じ情報系の学部でも大学や学科によって授業で扱っている内容がそれなりに異なるという印象を持っています.理情の3年春・秋学期では現在はグラフ理論を切り口とした離散数学/計算量理論の授業が行われており,2024, 2025 年はそのような問題が出題されました.一方,2026年の問題はそのようなものではなく,理情の学生は2年生までの基礎的なアルゴリズムの授業の知識および常識・素養で取り組んだことになります.
- OS・ハードウェアの大問では,授業の方針や選んだ資料によって扱うかどうかが変わり得るような知識の要求を減らすような配慮がされていると思いました.
内部の方
- TOEFLは春に受けている人が多かったと思います.過去にTOEFLが40点台だった人は面接の時に説明を求められ、「時間をかければ論文の英語を正しく読むことはできる」などのように答えたそうです.
- 6月には共通数学や専門科目の対策を始めている人が例年多いと思います.
- 詳細はぼかしますが、年に1人程度、点数不足あるいは手続き不備によって内部生が不合格になるケースもあるという噂もあります.そのようなことが無いよう願っています.