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今年出た本

一年間の仕事を振り返る

あっという間に2025年が終わります。今年は本を出したり学会発表をしたり、複数の大学で非常勤をしたりで忙しく過ごしていました。最後にこの一年の仕事を振り返ってみます。

 

教科書

『ミニマムドイツ語12』、『ミニマムドイツ語フェアシュテーン』(朝日出版社) 1月

text.asahipress.com


『ミニマムドイツ語12』のほうは初級総合教科書。2019年に出た最初の『ミニマムドイツ語』をベースに、今回はさらに2章を書き足し、接続詞、副文やzu不定詞、さらに接続法II式までをカバーしています。各課は、文法解説、会話文、グループワーク、練習問題から構成されていて、さらに付属練習問題や小テストも教授用資料として配布しています。

『フェアシュテーン』のほうは、当時同僚だった大喜祐太さん(現在関西学院大学)との共著で、読解や文法を中心とした教材です。こちらも2年前に出した『ミニマムドイツ語レーゼン』をもとに、さらに2章を書き加えています。

去年の夏から秋頃はこれら2冊の教科書の原稿に追われてかなり忙しく過ごしていました。すでに刊行されている本の改訂なので大した作業ではないとたかをくくっていたのですが、実際にやってみたらけっこう時間を取られました。

また、この2つの教科書のために今年2月には解説動画を撮影して編集しました。各課10分以内の短いものですが、2冊合わせれば24本にもなるのでそれなりに手間がかかりました

 

翻訳(共訳)

『フランクル初期論集 1923-1942』(ミネルヴァ書房) 3月

www.minervashobo.co.jp


コロナ前の2019年頃に先輩の林嵜伸二さんから誘っていただき参加した企画でした。一年くらいで完成の予定でしたが、たぶん2022年初頭くらいに翻訳を完成させて出版社に送ったものの、それから2年間まったく音沙汰がありませんでした。もう出ないのかなとほぼ忘れていた昨年秋頃にゲラがとどいて、年末から3ヶ月くらいで一気に訳文チェックや校正をしました。

私が担当したのは、後半の60頁ほどでした。「1930−1942 若き医師時代」および「1938−1939 新たな心理療法をめぐる奮闘」の章の大半を訳しました

精神分析や神経症の治療に関する論考はおもしろくて翻訳作業も楽しかったのですが、やっかいだったのは外科的な処置を扱った論文でした。薬品の名前や脳の解剖学的な名称などをどう日本語訳するか、探すのも大変だし、何が妥当なのか判断するのも苦労しました。先に書いたように原稿を送ってから修正までにかなり時間が経過していたため、2年も過ぎて訳文を見直すとまったく自分で書いたものとは思えなくてかなり違和感がありました。誤訳も多く、たくさん修正を加えました。

一つ残念なのはせっかく訳したのに、ホームページや本のカバーには、各章の担当翻訳者の名前はなく、監訳者二人の名前しか出てこないことです。図書館等のデータにも出てきません。本を開いて訳者紹介のページを見ないとわかりません

 

学会誌

『ドイツ文学論攷 第66号』阪神ドイツ文学会 3月


編集委員として参加した雑誌です。編集委員を2年務めましたが、ちょうど私がある程度知っている分野の新刊書が出ていたので、おもに書評を書いていました。

今年の号では、京大の籠碧さんの『狂気のイメージ シュニッツラー、デーブリーン、ツヴァイク』(松籟社、2024)の書評を寄稿しました。私は狂気と19世紀前半の文学について授業をしていますが、籠さんの本は19世紀末から20世紀初頭の時代を扱っています。狂気、あるいは常軌を逸した個性への過剰な期待や意味付けを批判する、まさに現在の問題を扱った研究書だと思いました。

 

翻訳(単訳)

『魂の文化史 19世紀末から現代におけるヨーロッパと北米の言説』(人文書院)7月

www.jimbunshoin.co.jp


こちらもコロナ前から始めて5年くらいかかった翻訳です。原題は『Die Seele im 20. Jahrhundert. Eine Kulturgeschichte 二〇世紀の魂:一つの文化史』なので作業中、担当編集者さんとのやり取りでは『二〇魂』と呼んでいました。

本書は魂概念が19世紀、20世紀においてヨーロッパと北米でどのように語られてきたか、その言説の歴史が詳述されます。19世紀ドイツにおける自然哲学、宗教学、ナショナリズムなどの議論から始まり、オカルティズムやユングの元型論などを経て、20世紀以降は北米におけるスピリチュアリズム、民間信仰、ネイチャーライティングなどへと話題が広がります。

もともとの研究テーマであるカール・デュ・プレルやキーゼヴェッターらのオカルティズムが言及されていることから、私は本書に関心を持ちました。じっさいに通読してみると、読み応えがあったのは後半の9,10章で『ハリポタ』やパワーズの『オーバーストーリーズ』、カーソンの『沈黙の春』や『海辺』が取り上げられる箇所でした。

翻訳に苦労したのは、アメリカのヒッピーカルチャーやスピリチュアリズムを扱った章でした。「魂の言説は大学を去った」と本書でも言われていたように、魂を論じた本(本書で言及されている文献の邦訳書など)はまさに大学図書館ではなく、自治体の図書館や古書店で探さなければなりませんでした

翻訳作業に取り組んでいたのは2021年から2024年春ごろの期間でした。

春休みと夏休みを主に使って、1章あるいは2章くらいを訳して担当編集者さんに送るというサイクルを3年くらいやって、なんとか24年の春に全体を訳し終えました。その後夏休み期間で原稿を全編読み直して入稿するつもりでしたが、ちょうど教科書の仕事と重なってしまい、少しずらして秋に入稿できました。初校のチェックを冬休みに始めましたが、これも『フランクル初期論集』と重なってしまったので少し時間がかかり、春休みは校正とあとがきの執筆に追われました。初校とあとがきで時間を取りすぎたため、再校以後の作業は春学期中に進めなければならなくなり、5月頃まで毎日ゲラを持ち歩き、読み直す日々を過ごしていました。6月に校了となり、7月半ばにやっと本が出来上がりました。

このブログには翻訳作業の進行や各章のおもしろいところなどをまとめようと思っていたのですが、いざ本が出てしまうともう中身を改めて読む気が失せてしまいます。もう少し時間が経ったら落ち着いた気持ちで読んで楽しめるようになるかもしれません。まあ、概して自分で書いた本というのはそういうものだと思います。

 




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