
石黒耀(あきら)著 「死都日本」(講談社文庫)Kindle版を読んだ。
単行本の発売日は2002年なのでちょっと以前の作品。
医師でもある著者が阪神淡路大震災に遭遇したことを契機に執筆を始めた処女作。
第26回メフィスト賞を受賞している。
542ページということで、読み応えある1冊。
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内容は・・・
九州の霧島火山帯で「破局的噴火」が起こり、南九州が壊滅。
北海道・沖縄以外の他の地域も火山灰による土石流など、致命的な被害を受ける。
火山灰は北半球全体にも影響を及ぼし、10年近くに及ぶ「火山の冬」を迎えて大幅な気温の低下により農産物にも壊滅的な影響を受けることになる。
果たして、日本という国は存続することができるのか?
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医師である著者が初めて書いた小説ということで、文学的というよりは、巨大火山の「破局的噴火」が起こった場合をシミュレーションしているような内容となっている。
火山学的説明の部分も多く、また本当にたくさんの人があっという間に死ぬ。
これは、読んでいて結構つらい部分で、何百万人もが死んでしまうような小説を読みたくないという方にはお勧めしない。
けれど、いつか必ずこれは起こるのだと思うと、恐怖と共に備えが必要なのだろうとは思わせられた。
データは詳細を極め、論理的な説明の部分も多い。
だが、後半にかけて、主人公の黒木准教授や菅原総理大臣などの、熱い男達の奮闘も心に沁みる。
この小説は阪神淡路大震災後の2002年に発刊されているのではあるが、2011年の東日本大震災を経験する前に書かれているということも、凄いことだと思った。
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ここに書かれている火山学的な知見や、噴火後の火砕流や火山灰の影響などは、大げさではなく本当に起こりうること。
いつかは「破局的噴火」は必ず起こる。
(何千年も先かもしれないけれど・・・)
あまりにも悲惨な状況が描かれるので人によってはお勧めしないが、読む価値のある1冊だと思う。