
リチャード・モーガン著「オルタード・カーボン」上・下(パンローリング株式会社)を読みました。
- プロローグ的なものを少し
- 27世紀の世界
- ジャンルは、 SF? ハードボイルド?
- 主人公 タケシ・コヴァッチ
- 日本との関わり
- 再読のきっかけ
- タケシ・コヴァッチ・シリーズ
- Netflix でドラマシリーズ配信中
- まとめ
プロローグ的なものを少し
時代は27世紀、人類は近隣の複数の恒星系の居住可能惑星に進出している。
主人公のタケシ・コヴァッチは、そのなかのひとつハーランズ・ワールド生まれ。元軍人でエンヴォイ・コーズ(特命外交部隊)隊員だったのだが、その後恋人と共に強盗を働き、刑に服していた。
この時代、人の意識と記憶はデジタルデータ化され、「メモリー・スタック」という小さな記憶装置に収められて、首の後ろの頸椎近くに埋め込まれている。
タケシ・コヴァッチの刑は、身体(スリーヴ)からメモリー・スタックを取り出し、それを施設に収監されてしまう「保管刑」で、刑期は120年以上。
そんな主人公が、ある日見知らぬ場所で覚醒する。
保管されていたタケシ・コヴァッチのメモリー・スタックのデータは「ニードルキャスト」という光速を超えた通信によって、ハーランズ・ワールドから送信され、現地のメモリー・スタックにダウンロードされたのち、見知らぬ身体に装着(スリーヴィング)させられて、覚醒したのだった。
覚醒した場所は収監(保管)されていた惑星から180光年離れた「地球」の「ベイ・シティ」(サンフランシスコ)。
そして、タケシを覚醒させた現地の大富豪から「6週間前に私を殺した人間を見つけてもらいたい」という依頼を受ける。
物語は、ここから始まっていく・・・
27世紀の世界
大富豪の言葉「6週間前に私を殺した」の意味が解らないですよね。
しかし、人間のすべての意識と記憶がデジタル化されて「メモリー・スタック」に入っているという事は、それさえあれば身体(スリーヴ)は取り換え可能ということになります。
例えば心臓を撃たれて死んでしまったとしても、メモリー・スタックを別の身体(スリーヴ)に移植(スリーヴィング)すれば死ぬことはなく、またメモリー・スタックを破壊されたとしても、PCのようにその「バックアップ」があればやはり死ぬことはないという訳です。
すなわちこの27世紀は、ある意味「不死」が達成されている世界だという事になります。
ただし、代りの身体である「スリーブ」にしろ、メモリー・スタックの「バックアップ」にしろ、それらを維持していくのには莫大な金がかかり、「不死」を手に入れているのは一部の大富豪だけというのが27世紀の現実です。
ジャンルは、 SF? ハードボイルド?
27世紀の物語であり、人の意識と記憶が「メモリー・スタック」に収められているわけですから、サイバーパンク的な「SF小説」である事は間違いありません。
また、大富豪の依頼からもわかるように、大きな謎を解いていく「ミステリー」でもあります。
そして、タケシ・コヴァッチの経歴からもわかると思いますが、かなり「バイオレンス」な小説でもあります。
しかし、私が読んで一番感じたのは「ハードボイルド」だなという印象です。
主人公 タケシ・コヴァッチ
タケシ・コヴァッチは、犯罪を犯していることからもわかるように決して善人ではないのですが、ある種の「優しさ」があり、独自の「信念」を持って圧倒的な行動力で進んでいきます。
フィリップ・マーロウではないですが「タフでなければ生きていけない。優しくなれなければ生きている資格がない」を地でいき、そしてちょっとだけキザなところもハードボイルドです。
簡単に言ってしまうと、圧倒的なパワーでかっこいいヒーローです。
でもちょっとだけ情けないところもあったり、女性に弱いところもあったりと、そこも主人公のキャラクター設定がうまいところですね。
物語は、激しい描写と気の利いた会話が次々と押し寄せ、速いテンポで進んでいきます。上下2冊で700ページというボリュームなので一気読みは苦しいですが、ページをめくる手を止めるのに苦労すると思います。
日本との関わり
タケシ・コヴァッチの故郷、ハーランズ・ワールドは、日系企業が東欧の労働者を使って開発した植民星という設定なので、主人公のタケシ・コヴァッチの名前もそうですが、日本に関わる人名や、ニュー・カナガワなどの地名も出てきて、そこも楽しい部分です。
再読のきっかけ
この小説は2005年に日本でハードカバーが出たようですが、私は2010年頃に文庫本で読みました。
先日、ZOU (id:hayashinonakanozou2022)氏のブログ ⬇️ で、
【カサカサかかと】しっかり治しましょう【セミリタイア生活】 - セミリタイア始めます。アラフィフ独身男のブログ。
「脳や記憶を他の身体やサイボーグに移植出来るなら速攻で応募したい」という話が出てきて、この小説を思い出しました。
思い出すきっかけを頂いてありがとうございました 😊
その時に調べたところ電子化はされていないのかと思ったのですが、その後違う出版社から新版(2019年)が出て、電子化もされていることがわかり、今回買い直し・読み直しをしました。
タケシ・コヴァッチ・シリーズ
この小説は「タケシ・コヴァッチ・シリーズ」として3部作となっています。
とはいえ、「オルタード・カーボン」の最後が未完になっているわけではないので、単独で読んでもなんら問題ありません。
下記の②、③も主人公はタケシ・コヴァッチですが、時代も違っていて続編というよりは、シリーズものという感じですね。
① オルタード・カーボン 上下
② ブロークン・エンジェル 上下
③ ウォークン・フュアリーズ 上下
★小説へのリンクは最後に
Netflix でドラマシリーズ配信中
2018年に、Netflix でドラマシリーズが配信され、2020年にはシーズン2も配信されています ⬇️
www.netflix.com
Netflixでは、250年も刑期くらってますね 😄
2話ほど見てみましたが、それほど原作から離れているわけではなさそうです。
映像はディストピア的雰囲気満点です。
映画「ブレードランナー」へのオマージュが強く感じられました。
まとめ
訳者の田口俊樹氏が「訳者あとがき」のなかで、こう書かれています。
「どこを取っても超一流エンターテインメント作品だ。これがつまらなかったらもう読む小説なんてないよ、と本屋さんになり代わって言いたいくらい。」
久しぶりに読み返しましたが、まったく田口氏の言葉通りだなと思います。
ただバイオレンス的な描写はかなりあり、やたらと人は死ぬし、色々と飛び散ったりしてます。またセックス描写もそれなりに出てきます。
そのあたりが苦手でない方には、強くお勧めします! 😃
さ~て、次は「ブロークン・エンジェル」を読むか、Netflixの続きを観るか、どうしようかな? 😁