
グレッグ・ベア 著「天空の劫火」上・下(ハヤカワ文庫SF)を読みました。
SF界の「ビッグスリー」とも呼ばれる古典的大家、アーサー・C・クラーク、 アイザック・アシモフ、 ロバート・A・ハインラインらよりも、時代は下って1980年代から90年代に活躍したのがこのグレッグ・ベアという作家。
私は、アシモフの「ファウンデーションシリーズ」の続編のなかの1作を書いた作家という事で名前だけは知っていましたが、一作も読んだことはありませんでした。
ヒューゴー賞を2回、ネビュラ賞も5回受賞している作家ですが、日本ではそれほど大人気というわけではないのかな?
「ビッグスリー」やフィリップ・K・ディック、ジェイムス・P・ホーガン、テッド・チャンなどは、知り合いから勧められたり、作品について語り合ったり、ネットなどで名前を見かけたりという事が多々ありましたが、グレッグ・ベアについてはこれまでそういう機会がなかった為に読まないままだったのでしょう。
ベア自身は2022年11月に惜しまれつつ亡くなり、早川書房が2023年に作品を一気に電子化したという情報を受けて、ようやく注目したというところです。
★★
今回初めて読んだのが「天空の劫火」上下巻だったわけですが、かなり壮大な物語です。
まず、木星の衛星エウローパ(本文記載通り)が突然消滅し、アメリカのデスバレーに小山ができ、その中から英語を話す😮 異星の生物らしきものが見つかります。
またオーストラリアでは全く別の謎の物体も見つかり・・・
と、冒頭を読む限り「異星人とのファーストコンタクトものか?」と思うのですが、その後話はどんどん大きくなっていき、下巻にかけて読者の最初の想像を裏切りながら進んでいきます。
⚠️⚠️⚠️ ちょっとだけ重要な内容に触れます ⚠️⚠️⚠️
興味深いのは、劉慈欣の「三体Ⅱ」でもメインテーマとなっている「フェルミのパラドックス」(地球外に文明がある可能性は高いと思われているが、なぜ現在までその文明との接触がないのか、という矛盾)のひとつの解がこの「天空の劫火」でも示されている点でした。
私は、昨年「三体Ⅱ」を読んだばかりだったで、このテーマの重なりにはちょっと驚きました。
「三体Ⅱ」(2008年)よりも、この「天空の劫火」の方がはるか以前(1987年)に書かれています。
アーサー・C・クラークや小松左京が好きだと言っている劉慈欣氏ですから、当然グレッグ・ベアも読んでいるでしょう。「天空の劫火」からヒントを得た部分があるのかもしれませんね。
★★
少しだけネガティブなことを書いておくと、上下巻の長い小説で、ちょっと途中「だれる」というか冗長な印象もあります。
ベア自身の書きぶりとして、周辺の説明が丁寧ではあるのですが、アメリカの地名などが延々と出てくる描写はちょっと読みにくいのは確かです。
また、私の頭ではどう読んでも前後が繋がりづらかったり、意味が良くわからないところもありました(翻訳の問題かもしれませんが)。
★★
とはいえ、ハードSFらしいと言えば、いかにも「らしい」作品で、壮大な世界観のハードSFが好きな方にはお勧めだと思います。
私はよく知らないまま、この「天空の劫火」を読んだのですが、続編として「天界の殺戮」上下巻があるということです。
(「天空の劫火」は続編を読まなくても、きちんと完結しています)
早速「天界の殺戮」も読もうかと思ったのですが、ちょっとお腹いっぱいな気もするので、しばらく他の分野の本を読んでからにしようかな、というところです。
★ひとつだけ注意ですが、Amazonの上巻のレビューには、完全に「ネタバレ」で書かれているものが上位に出ています。
「ネタバレ」されたくない方は、読まない方が良いと思います。