大会も少しずつ開催していただけるようになり、生駒、六甲に続いてアクトレップさんにはお世話になりました。神鍋高原でも春から合宿や林間学校が悉くキャンセルとなっておりとても苦しい状況とのことでしたが、そんな中でも開催にご協力いただいたことに心より感謝申し上げます。
コースは前半は山を長い時間上り、その先は林道メインで下りは走り上りはひたすら歩く展開でした。最後あと数kmまで来てそのまま終わりなのかなと思いきや、少し上って神鍋山からの眺めを楽しめるコース設定は心憎い演出ですね。累積標高1880mとのことで、心身共にいい刺激が入りリフレッシュもできて、とても満足しています。
コース中では、何と姫ジョグRCさんが私設エイドまで用意して下さっており、本当に助かりましたし、ウルトラマラソンを思い出したりして楽しかったです。サプライズで嬉しさ倍増でした。
そしてここまで来たからには前々から憧れていた城崎温泉を訪れ、普段では泊まらないような本気の旅館にお世話になると共に、志賀直哉『城の崎にて』ゆかりの桑の木や城崎文芸館を見学したり、外湯を堪能したりしてきました。前回は2017年の香住ジオパークフルマラソンの後に少し寄っただけでしたので、今回再訪できたことはとても嬉しい時間でした。
こうして少しずつ少しずつ、やるべきことをやれば大丈夫なのだと確認しながら、大会を再開していき、人の流れも徐々に戻る中で、生活する人、走る人と支える人、皆が笑顔を取り戻していければと願っています。
今回の世界ジオパークトレイルランに関わって下さった神鍋高原、姫ジョグRC、アクトレップの皆様、極上の温泉で迎えて下さった城崎温泉の皆様、本当にありがとうございました!




前日
移動(大阪~江原)
家事と支度に手間取りいつも通りギリギリになるも無事に福知山行きのこうのとりに乗車できました。自由席なのに大阪からは一台に5人くらいしか乗っていません(尼崎からは数名乗車)。観光や飲食業界の置かれた厳しい状況を嫌でも感じます。


福知山で乗り換えです。歴史ある福知山マラソンも一度は走ってみたいです。


とりあえず今回の旅のお供はこの三冊です。三年前はタイムリーに見つけられませんでしたが、今回は成功しました。志賀直哉の『城の崎にて』は少なくとも三回目ですが、今回が一番まともに読めました。年のお陰かもしれません。生き死には若いうちはまともに考えない、遠い世界の出来事だからでしょうか。

久々に電車に乗っての長距離移動となります。外の緑がきれいです。こういう風景を見ていると、たまらなく100kmを走りたい気分が高まってきます。朝5時には走り出し、まじでこんなところ走るのか、あの行った先には何があるのだろうか、という独特の興奮に一日中曝されて迎えるフィニッシュの歓びたるや。スケールの大きさはウルトラならではの魅力です。何と言うか、全てがでかいのです。




江原駅にやって来ました。バス停のデザインがおしゃれです。時計台も。



中央通りは生活の場という感じでした。バーガーはいっとくべきだったかもしれません。本屋さんは割と面積が広かったです。




江原駅からバスに乗り25分くらいで無事に但馬ドームに到着です。平日はドームまでは行かないのですが、土日は寄ってくれるのでありがたいです。

前日受付完了です。Tシャツとゼリーが嬉しいですね。60kmの部に出られる方も結構おられてすごい気合いだなとビビッてしまいます。建物はかなり立派かつきれいで、あのサブマリン山田久志氏寄贈のグラブを始めとして知らない人はいないであろう伝説の選手達のサインボール等の展示等が充実していました。




宿のチェックインが遅いので付近を散策します。道の駅神鍋高原にて栃の実饅頭「ほんまもん」を単品でいただきます。名物らしく程よい甘さが高評価です。途中にあったコインランドリーは他界していたので要注意です。




さて、楽しみな夕食です。坂を戻って来て末広さんでビフカツ定食!4ヶ月半ぶりの外食は家では食べられないものを選びました。大正解で、牛肉の深く濃い味と薫りに「肉を食べたぞ!」という喜びが溢れます。お店のおばあちゃんは優しかったし、少年も立派にお手伝いをされていました。来てよかったなあ。ごちそうさまでした!




諸々考えてお店が混雑する前にと17時台に食事を済ませてお宿へと向かいます。水の流れる音も気持ちいです。


宿泊(名色荘さん)
そして今日のお宿名色荘さんに到着しました。まず奥様がものすごくいい方で安心です。それだけでも満点なのに更に近県のため兵庫県からの補助金2000円が出て何とわずか2200円で泊めていただけることに。部屋も個室で広さも十二分です。扇風機も灯りのカバーも懐かしの昭和スタイルで最高です。いいお宿に巡り会えました。




やはり来た以上は経済活動をということで道の駅神鍋のゆとろぎへ向かいます。広いお風呂は三月の鳥取以来ですか。ジャグジーで背中の筋肉が緩められて気持ちよく、すっかり上機嫌です。内風呂も露天もあり設備もきれいで言うことなしのお風呂でした。そして湯上りデザートにはらいらっくさんのラズベリーアイス!甘酸っぱさも牛乳のコクも本物で、嫌味が全くなく直球でうまい逸品でした。



まあ純粋に温泉を楽しみに行ったというのもありますが、エネルギーを貯めねばなどと言い訳して卵二個と手前のパン二つを食べてしまい血糖値を抑えるための散歩も兼ねていたのですが。

暗い夜道を歩きながら、マラソン前日の夜に歩いた色々な街、例えば柏崎や那須塩原のことを思い出したりしていました。どの街にも人々の日常があり、自分はいつも余所者として歩いているだけです。このままでいいのでしょうか。空気は涼しく、秋の虫の音も種類が多くて層が厚いように感じました。
レース当日
レース前
ここ二日ほど寝不足だったこともあり、22時半から5時半まで爆睡しました。今回の遠征から使用するガーミン245的にも7時間眠っていて、うち深い睡眠は30分程度とのことでした。寝ている間の心拍数はこんなに少ないのかとか、色々測ってくれていることに感心します(愛用してきたセイコーエプソンのWristable GPSのバッテリーが数日前に限界に達したのです……。)。
涼しい空気も稲の香りも心地よかったです。食料調達のためコンビニまでお散歩しました。ちなみに宿には60kmの部(7時スタート)に参加される方も多く宿泊されていたようで、既に静かでした。ローソンさんには十分な食料がありました(前日夕方は水が品薄でした)。




当日はあまり沢山食べても仕方ないのでこんなもんで止めておきました。卵とチーズもしっかり食べて糖質は全体で47g程ですが、これで十分でしょう。クリームチーズたっぷりのワッフルが豪華です。ごちそうさまでした。


経口補水液は惜しまず飲めるように粉も携帯しました。アミノバイタル粉は3時間辺りで摂取しよう、団子は遠足気分を出すためにも前半から積極的に食べよう等と確認します。遠足ですから食べることに余念はありません。

装備はほぼ六甲と同じです。アンダーアーマー青長袖、武庫川ユリカモメウルトラリュック、ミズノのタイツ、360度ポケットのランパン、ザムストのソックス、シューズはダイチです。前回捻挫が多かったことから、テーピングはニチバンを2.5重です。普段に加えて土踏まずを持ち上げるようにして、足首を硬めに固定しておきます。
会場はすぐ近くで、受付も済ませているので結構時間にゆとりがありました。当日は非接触での体温検査がありました。「その瞬間だけ熱が高かったらどうしよう……。」等という思いも杞憂と終わり、平熱判定でした。芝生で寝っ転がって開会式を待ちます。


開会式では豊岡市の神鍋高原の観光係の偉い方(だったかと思います)から、今年はただでさえ雪が少なくスキー場の営業も数日に止まった上に3月以降は林間学校や合宿が全てキャンセルになってしまい大変厳しい状況にある、今日こうしてトレイルランニングの大会ができて嬉しい、豊岡市ではまだ感染者が出ていないので、今日は山の中を安心して走ってほしいというご挨拶があり、胸に熱いものを感じました。
アクトレップさんからは、熱中症とロストに注意するよう説明がありました。コースがわかりにくいそうです。連日の猛暑はこの週末だけはやや和らいでいたので、熱中症はおそらく大丈夫だろうと思っていましたが、「参加者も多くはないトレイルだと迷子になるかも……。」と恐々としていました。二週間前の六甲ですらロストしていますし笑

第1エイドまで(スキー場手前まで、少しの上り下りと平坦な道)
スタート直後は、まず但馬ドームの周りをぐるりと回り、道路を渡ってから別荘がありそうな道を軽く上ったり下ったりします。学校行事でこういう所に来たことあるなあという懐かしさがありました。川沿いを少し進むと八反の滝です。序盤から涼しげな滝に心洗われます。ここから階段を軽く上ります。皆さん特段急ぎません。

この後は少々道が分岐していますが、基本的に標識や地面の矢印がありますので迷うことはありませんでした。それよりも田んぼ道が暑くて……。それでも昨日電車から外を眺めて100km走りたいとか考えていたことを思い出し、まあよくある話だよなと切り替えます。この辺りはロードの走力がものを言いますので、特に疲れることもなく淡々と進みます。

そうこうしているうちに万場スキー場エイドに到着です。スタートから32分くらいです。ここを逃すと次は39kmまでトイレがないと注意があったので少々迷いましたが、スタート直後で出すものもないので不要と判断しました。マイボトルに水を注ぎ、のんびりしているうちに随分沢山の方に抜かれました。いつも思うのですが、この先は長いですしエイド自体数が少ないのに、皆さんよくあんなに短時間でエイドを通過できるな、と感心します。スタッフさんにお礼を言って出発します。

第2エイドまで(ひたすら山登り)
さて、ここからが本番です。ゲレンデから大杉山登山道に入るのですが、高低図を見る限り3kmで700mくらい上るようです。当然走れるはずもなく、だらだらと歩いては元気な方々に抜かれていきます。情けない姿ですが、別に頑張るつもりもないので割り切ります。


たしか登山道に入って割とすぐ、数分くらいに非常に分かりにくい分岐がありました。“口の滝”とかそういう場所だったと思います。矢印はどう見ても左を指しているのですが、そちらに行っても道がないようで、速い方が迷っておられました。結構な人数で溜まりましたが、どうにか早い段階で直進が正解ということに気付きます。先導して下さったランナーさん、ありがとうございました。


実際にコースが分かりにくかったのはここくらいで、特に後半は林道を走りまくるだけですので、ロストはそこまで恐れなくてよいと思います。
ここからの上りはとても走れたものではなく、急な斜面をえっちらおっちら上っていきます。時間を見ながら水分を摂ります。日陰も多くなってきましたのでキャップもリュックにしまいます。それにしても皆さん歩きも速いですね。割と太めの方でも自分より全然速くて驚きました。必要な筋肉が発達しているのでしょう。トレイルの上りではスクワットの動きで、疲労度軽減は概ねうまくいったと思います。
先ほどロストしかけた箇所から30分、10時15分頃でもひたすら歩いていました。途中一瞬走れるトレイルが出現したかと思いきや、すぐに上りに切り替わりますし、一体いつ終わるのだと思いながら地道にコース取りを考えます。


とはいえ歩き続けさえすれば段々頂上が近づいてくるのはわかるものです。空が見える部分が増えてきますので。10時25分には大杉山山頂に到着です。あの見えている所から上って来たぞという充実感と景色のよさもさることながら、とても静かだったのが印象的でした。都会とは全く違う時間がそこにあります。


ここから少し下りに切り替わるのですが、ここまでのんびり上ってきたせいか全く身体が動きません。目もどこを見てよいのやらといった有様です。今回の下りは特に遅かったと思います。この辺りの切り替えの速さ、正確さはやはり経験がいるのでしょう。



あまりの遅さに衝撃も受けつつ、それでも走れるトレイルも一部ありましたので、そのうち最高点に到達するだろうと気長に進みます。25分くらいで辺りが開けてきました。と言うか暑いです。


ここを上り切った所にスタッフさんがおられまして、あそこで折り返して戻ってきてねと指示して下さります。折り返して来られるランナーさんは皆さん笑顔で、単に走るだけではなく、山を楽しむアクティビティとして捉えておられることがお互いによく分かります。トレイルっていいなあと思いました。





頂上でゼッケンナンバーが自分より1つ前の方と少しお話ししたところ、トレイルは初めてとのことでした。それなのに下りが速くて全くついて行けませんでした。ゴール後に聞いてみたところ、スキー経験もあるらしいのですが、今はトライアスロンで活躍されておられるお方で、その運動能力の高さは特筆すべきものがあると思います。気さくに話しかけていただきありがとうございました。
上った後は基本下りになるのですが、ここでもあまりスピードが出せず、頂上では何人かいたランナーさんには置き去りにされました。独りになると途端にロストの恐怖に取りつかれるのですが、何とか無事に山を抜け切りました(頂上から蘇武岳展望台登山口エイドまではたったの6分程でしたが……。)。
第3エイドまで(基本林道下り。姫ジョグRCさんの私設エイドに感激)
14kmの蘇武岳展望台登山口エイドに来た時点で既に2時間3分を経過していましたが、急ぐでもありませんのでゆっくり休みます。ここで経口補水液パウダーを開けて水を充填します。更にコーラまでいただけて大喜びです。欲深いので栗どら焼きもいただきました。大会を開催していただけることに本当に感謝しています。


こちらの展望台からは氷ノ山なども望めます。 雄大な景色もさることながら、個人的には村岡ダブルフルってこんなところを走るのか……と戦慄を覚えていました。大人気の大会ですので、一度は走らなくては死んでも死に切れません。



いつまでも休んでいるわけにもいきませんので、前を目指すこととします。ここからはしばらくロードが続きます。しかも下り基調です。本来であれば見せ場となるはずなのですが、何せサボりたいという熱い思いがありますので、ちょっとでも上りが続いたら早々に歩いてしまうというざまでした。


山を上ってから大きく下る展開は昨年の白山白川郷ウルトラマラソンと共通ですので、懐かしい思いを抱きながら走っていました。あの時感じた喜びやダイヤモンドダストのように舞うトンボの光といったシーンが鮮やかに脳裏に蘇ります。自分にとって2019年のベストレースでした。また必ず走らせていただきたいと願っています。


第2エイドと第3エイドの間は10km空き、コース的にもやや飽きを感じるところではあります。下りだからまあいいかという感じで進んでいくと、前のエイドから35分くらい行った頃でしょうか、何やらエイドらしきものが見えるではありませんか。まさかと思ったのですが、何と姫ジョグRCさんが私設エイドを出して下さっていました。うわあ、ウルトラマラソンみたいだあと胸を打たれます。

よく冷えた濡れタオルで迎えていただき、更には団子、ゼリー、クエン酸コンク、素麺と至れり尽くせりで感謝しかありません。篠山マラソンや姫路城マラソンでも応援されていること、昨年この大会に出場してここにエイドがあればと思ったこと(昨年は第2エイドで手づかみのコーンフレーク?が提供されたとのことです笑)など楽しくお話しさせていただきました。本当にありがとうございました!



エイドで休憩していると60kmのトップ選手がものすごいスピードで通り過ぎていきました。この先の林道の下りでも数名に軽やかに抜かれています。くどいようですが皆さん速いです。
林道は石を踏んだりしますし、コース取りはそれなりに気を遣うため、今一つスピードに乗り切れませんでした。後からは女子選手が迫って来る気配を感じる始末で、やたら遅かったと思います。トレイルシューズの重さもあるのでしょうが。まあ、でかい石だけは踏まないように注意したので、捻挫がなかったのはよかったです。
ステップは細かく、ピッチは高く、身体の後ろに置くくらいの意識は試していました。その意識自体は悪くありませんでした。一応体重移動メインの腰低意識で進めたかと思いますし。
私設エイドから40分弱くらいでしょうか、12時25分頃に第3エイドに到着です。
第4エイドまで(林道上り。ひたすら歩く歩く)
水を補給すると共にトマトとドーナツをおいしくいただきます。手洗い、被り用の水も用意して下さっており、頭をすっきりさせることができました。暑い季節は飲むだけではなく外から冷やせると効果が大きいです。このコースはあまり水辺を走らないので、身体を冷やすチャンスがほぼないのです。
持参したアミノバイタル粉も飲んでおきます。残り2時間程度という見通しだったので、ここらで使っておこうという算段です。予定通りですね。


男子トイレは使えたので、こちらで休憩を入れます。実は下っている間、トイレに行きたくなっていたので助かりました。全体で5時間半という見通しですので、そのまま押し切ることも可能なのですが、この日はトイレが近かったです。前日の水分補給は経口補水液メインにしておいた方がいいかもしれません。なお、100kmウルトラなら前半と中盤で一度ずつくらい立ち寄って後半は押し切るスタイルです。
少し下ったと思ったら上りに切り替わります。この上りが思った以上に長く、いつまで経っても終わりません。最初は少し行ったらまた走ろうと考えていたのですが、そのままずるずると歩き続けてしまいました。だって行けども行けども終わりませんから……。完全になめていましたが、4kmで400mくらいは上っているのですね。

林道の歩きはせめてピッチを意識して遅くなり過ぎないようにはしました。距離が進まないせいかそれなりに疲れた気分になりますが、実際は脚にも心肺にもそんなにダメージはなく、終盤も元気なんですよね。なら走れよという感じですが。展開的には奥熊野いだ天の終盤くらいのはずですので、半分くらいは走るべきだったとは思います。実際に、この区間でも走って上っておられる方が何名もおられ、抜かれる際には心から尊敬しつつ応援していました。
上りで頑張ると脚がやられてしまうのではとビビって早々に投げるので、その先は楽ではあります。ただ、折角の走力向上の機会の活用法としては誉められたものではありません。もう少し短い距離で、上りを頑張ってみる大会を設定した方がいいのかもしれません。現状打破のためには、少しずつでも姿勢を変えていかなくてはと、終わってから思いました。
60分近く歩き続けて13時22分にはようやく第4エイド、三川山林道分岐エイドに到着です。
第5エイド、フィニッシュ(最後に見晴らしのいい展望台)
「上りはここで終わりですよ!」とお兄さんが明るく迎えて下さります。よかった、もうこんな情けない歩きを白日の下に晒さなくても済むのかとほっとします。坂を歩きまくった鬱憤を晴らすかのように水を飲みまくります。経口補水液パウダーも二袋目を空けました。


この辺りまで来ると結構皆さん安心されているのか、エイドでも割とゆっくりされている方が多い印象でした。頑張り過ぎて休んでおられる方もいました。60kmの方でしょうか。ここまで相当頑張っておられたのだなあと、無事を願っていました。
第4エイドの後は林道を下るのですが、先ほども書いたとおり、足元が危ないため走りながら写真を撮る余裕はありませんでした。何人かはパスできましたが、比較的得意なはずの下りでも思った程詰められないので少々やきもきしました。まあそれでも重心移動で下りていくだけで疲れませんので、上りに比べたらご機嫌ですよ。

23分くらい下った辺りで民家のあるエリアに戻って来ます。ここからしばしウォーキング指定区間となりますので、休憩しつつ写真を撮ったりします。緑の中をゆっくりと進める時間は贅沢です。道の駅神鍋まで3kmという標識が見え、ああ帰って来たのだなあという感慨がありました。



左折して旧道を通り、舗装路を上ります。上りは少し歩きましたが、基本元気ですし、個人的には距離が長ければ長いほど有利ですので、この辺りでは何人かパスしました。右折したところで第5エイドのマウントクックに到着です。
ここが最後のエイドということで、しっかり水分を補給し、ゼリーもいただきます。何と被り水が用意されていましたので、思い切り頭から水を浴び、太腿にもかけたりします。ランナーを待っていて、送り出して下さるスタッフさんのお陰でここまで来ることができました。



がっつり休んでいるうちに後ろから来た方、少なくとも3名には抜かれたばかりか随分と差を付けられてしまいました。ロードならすぐに抜けるだろうくらいに思っていましたが、ここからもうひと踏ん張り、山の中へと入っていくのですね。
一か所、心理的には真っ直ぐ進んで帰りたい!という気持ちになる所で左に150度くらい折り返す場所がありました。むしろ間違っているのではないかと不安になりましたが、少し進んだところに案内がありましたので一安心です。
おいおいまだ上るのかよ、最後くらい気持ちよく走らせてくれよなどとケチなことを言っていてはいけません。神鍋山から最後の眺望を楽しめる、心憎いコース設定となっているのです。どうせほとんど歩きですので、この時と景色を味わおうではありませんか。


頂上の方まで辿り着くと、マウンテンバイクのコースと重なっているので左側通行といった指示があり、自転車でこんなところを走れるのかとまたまた感心します。草で足下が見えにくいところもありながら、安全に楽しく坂を下っていきます。

スキー場の建物の辺りも草が茂っていてそれ程速く走れなかったのですが、大差をつけられていた女子3位の方に追いつきました。少しお話ししたところ、怪我や熱中症ではなく単にばてただけとのことでよかったです。
警備のおじさまの誘導で道路を渡りキャンプ場に入ったらウォーキング指定エリアです。昔子供会のキャンプとか行ったなあ、星を眺めたり、キャンプファイヤーで歌ったり、あれもいい経験だったなあと遠い昔のことを思い出します。
後はグラウンドを左に見ながら進んでいるうちに但馬ドームの姿も視界に入るようになり、ただいまモードに入っていきます。スタートの時はドームの外周を走ったけど、よもや最後に下まで行かされることはないよなと若干の疑念が浮かびましたが、杞憂で済みました。右折してグラウンドの外周を走り、最後は加速して満面の笑みでフィニッシュです。



ゴール横にある被り水で全身を冷却し、記録証を受け取ると共に給水で水をがぶ飲みします。スタッフさんは生駒トレイルの際にもお世話になった方だと思います。大会を開催していただきありがとうございます、次は京都北山トレイルになると思います、どこも厳しいですが少しずつ大会の日々が戻って来ますように、等々思いの丈を延々とお伝えしました(注:距離は十分に取っています)。
補給は全体にうまくいきました。経口補水液の粉を二つ持参したお陰で惜しみなく飲めましたし、マイボトル給水もうまく使えました。距離ではなく経過時間を目安にこまめに飲んで吸収も問題なしです。お腹が空く前に餅をパクパク食べたのもよかったようです。ジェルは一つ余りましたが、お守りみたいなものですので十分でしょう。終了後もスムーズに補給できました。


ありがとう但馬ドーム
後日知ったのですが、女子優勝のタイムが4時間28分30秒と尋常ではなく(1時間以上差をつけられています)、一体何者かと思ったところ、100km日本代表経験の太田美紀子選手でした。いやはや凄いお方も出ておられるのですね。今後応援させていただこうと思いました。
男子優勝(ぶっちぎりの3時間59分10秒)の大村弘明選手も大学駅伝ご出身で、これからもきっとご活躍されることでしょう。若手のホープとして、輝いていただきたいですね。頑張ってください。
アフター
当日(城崎温泉に宿泊)
道の駅神鍋の温泉ゆとろぎの割引券があったので迷ったものの、夜は城崎温泉ですのでそちらを堪能しまくることにして、予定より一本早いバスに乗りました。とは言え、豊岡までの乗り継ぎも上手くいかなかったため、しばし江原駅周辺で時間を潰すことになります。昨日とは逆の西側に行ってみることとします。

ガンピー穀物倉庫さんがあったため、追加打ち上げを行います。ヒラヤミルクは以前GMOの一色選手がツイートしていたと思います。程よい自然な甘さがおいしいです。久保田のアイスキャンディーはご褒美感豊富。土佐だろ、山陰の品を選べよという声も聞こえてきそうですが、うまければよいのです。買ってよかったなあ。




そしてついにやって来ました。城崎温泉。遠征はいつも街中の安いホテルで適当にという自分にとって、温泉旅行など特別中の特別な体験です。





お宿は三國屋さんでしたが、構えから玄関から館内のご案内から既に敷かれている布団から畳の香りまで何もかもが本物過ぎてどうすればいいのか分かりません。自分という存在の場違い感が甚だしいです。とりあえず普段やらないお茶とお菓子を味わう儀式で落ち着こうとします。普段やらないことで落ち着くのでしょうか。



このお宿を汚すわけにはいかないと荷物の置き場や開き方にも気を遣いつつ、携帯の充電やWi-Fiの具合、館内の案内や宿泊約款の確認等を進めているうちにどうにか心を落ち着けることができました。夜遅くに食事を取るのは難しそうだと気付き、とりあえずタオルと洗濯物を持って外へと繰り出します。わざわざ靴を持ってきて下さることにも恐縮しきりです……。
夜の城崎温泉もいいですね。いつ来ても情緒が溢れていますよ。城崎温泉と言えばこちらの大谿川沿いの柳通りがシンボルですね。




夕食はすけ六さんで但馬牛ずしをいただきました。まずはお肉を単体でよく味わいます。甘さも口の中に広がる牛肉の香りも素晴らしいです。光輝く米、卵と共に食べるともう絶品。お寿司屋さんの赤だしはどうしてこうもうまいのか。家では絶対に食べられないものを楽しむのが旅行の醍醐味です。ごちそうさまでした。



宿泊客には外湯パスが支給されており、何と7件の外湯が入り放題なのです。早速柳湯さんと地蔵湯さんで汗を流すと共に全身をほぐしてきました。走った後の風呂は格別です。外湯パスは翌日15:30まで有効なので焦る必要はありません。そして渋い色のファミマでコーヒー牛乳を購入します。血糖値が怖くて旅行に行けるかという話です。



コインランドリーから帰還後、内湯の貸切風呂も堪能しました。ゆっくり入れるのでとてもよかったです。さて、今夜はどれだけ気持ちよく寝られるか楽しみでなりません。畳の香りも静けさも何もかもが日常と異なります。寝るのが本気で楽しみというのは人間の最も幸福な状態かもしれませんね。今日も一日楽しかったです。おやすみなさい。
翌日(城崎温泉観光 『城の崎にて』桑の木、外湯、城崎文芸館)
6時間「無」になっていました。目指すはイモリの現場です。大阪とは涼しさが違います。こんな朝早くから温泉街を走れるとは何と幸せなことでしょうか。









温泉街を離れてから結構上った感が出て来た辺りで桑の木に遭遇しました。おお、これがそうなのかという感慨があります。イモリの現場はもっと上流とのことで300m程進んでみました。一撃のもとにとは、どんなでかい石だったのだろうかと思います。今回改めて読んでから、道で死に瀕しているミミズ等を見ても感じ方が変わりました。





その先もしばらく上ってみたのですが、(当時とは道路の開発状況も異なるとはいえ)どんどん川とは離れていきましたし、何より志賀直哉の当時のコンディションを考慮してもちょっとないだろうなという感じになってきたので折り返します。宿から4km程くらいです。




気持ちよく駆け下りて温泉寺まで戻って来ました。香りがたまらないです。6時台ならまだ車は多くないのですが、7時台にもなるとかなり交通量が増えますので、走るなら朝しかないだろうなと思います(城崎温泉は車がガンガン通るので、お店に入りにくかったり写真を撮りにくかったりする結果、結構多くのお店をスルーしてしまいました。山手線の電車に跳ね飛ばされたのは志賀直哉ですが、現代の彼ならスマホを見ながら歩いてこちらでも跳ねられるかもしれないなあとか思っていました)。



続いて極楽寺さんの庭園を拝観させていただきました。まだ人がいない時間ですので、枯山水の石庭を存分に凝視します。朝から禅寺の空気に浸れて新たな気持ちになります(なお、あまり深く考えずに南無阿弥陀仏と手を合わせていましたが、ご本尊は阿弥陀如来でしたので、結果的には合っていました)。






山門横には沢庵漬けの沢庵禅師の文学碑もありました。温泉が好きで、こちらの極楽寺さんを宿としておられたらしいです。

こちらも『城の崎にて』で少し触れられている(登場するというより、行こうと思った途中で事件が起こるという扱い……。)東山公園です。トレイル風の上りの先には円山川が見渡せる展望台があり、折角なので上ってみました。ガスが出ていますが、これはこれで味がありました。城崎ロープウェイも視界に捕らえ、よし後で行くぞと楽しみになりました。







ここまで来たからには城崎大橋も渡って円山川を身近に感じてみました。渡った先には稲の緑が広がります。4月から5月にかけてはコウノトリの雛が見られるらしく、地元の方は6月の巣立ちを遠くから温かく見守っておられるとのことです。稲穂の香り、伝わりますか(なお、残念ながら漕艇場まで行く時間はありませんでした)。




80分で11km程走った後は内湯の貸切風呂ですっきり。お湯も熱過ぎずに丁度よく、一人でのびのびと入れてとても良いです。昨日の疲れもいつもより軽く感じました。



旅館の朝食には一つ一つの料理をゆっくり味わうことの大切さを教えられました。お味噌汁の一口目から、身体に染み込む柔らかさが違います。温泉卵の黄身は見たことないくらいの完璧さ。夢中で食べていたため、写真もほとんど撮れませんでした。和食はやはり素晴らしいです。普段の食事は栄養さえ摂れればよいというスタンスで、味も口当たりも粗いですので、別世界でのお食事に衝撃を受けます。ごちそうさまでした。




朝食を終えて部屋に戻ると、お布団も上げていただいており、すっかり出発の準備まで整えていただいていました。散らかしていたので恥ずかしかったです。お宿にはお金を払えば泊めていただけるのですが、やはりそれ以上に品格と言いますか、泊まる側にも相応の資質が求められるということを思い知りました。この年になって言うことでもないですが、もっとしっかりしなくてはなりません(ちなみに悪名高きGo To Travelの力で税込み13,750円が8,418円でした)。

城崎ロープウェイを目指して木屋町通りを行きます。あの木屋町通りとはおそらく無関係、だと思っていたのですが、後で買った『城崎文学碑ぶらり散歩』によると、何と京都の高瀬川ほとりの木屋町通りに似ていることから名付けられたらしいです。向井去来の歌碑にも出くわして楽しい散策ができます。




ロープウェイは臨時便もあり親切です。待ち時間を使って、お隣の関電初代取締役社長太田垣士郎翁資料館にも入ってみました。黒部ダム、大町トンネルのお方ということで、次に黒部に行く時には記憶がつながります。





ロープウェイ大好きおじさん、今朝東山公園から眺めたゴンドラに乗り山頂へと向かいます。スタッフの若い女性が親切かつ感じのよい方で、荷物を預かっていただけましたので身体も軽いです。途中の温泉寺駅で降車もできるのですが、時間がなかったため見送りました。真言宗のお寺さんということです。




展望台からの円山川と温泉街の眺めは山の上ならではです。徒然草でお馴染み吉田兼好の歌碑も城崎の街を見下ろしています。流石は1400年の歴史を誇るといわれる温泉地です。







気になっていた城崎文芸館にも行けました。外には、志賀直哉の国内唯一の自筆文学碑があります。館内は撮影自由で、サイズ的にも大き過ぎず、疲れずに回れるのがとてもよいです。金沢三文豪の記念館もですが、こういう文化施設は好きです。




マニアックだなと感心したのが現在の桑の木が三代目であるという情報と桑の葉まで展示してあったことです。電車にはねられた経緯やトーストのエピソードまでありました。直筆原稿が貴重なものであることは改めて言うまでもないですね(志賀直哉の名前を聞くといつも太宰治を思い出してしまいます。たしか、暗夜行路の苦悩なんて大したことねえよってどこかに書いていませんでしたっけ)。











こちらで購入した『城崎文学碑ぶらり散歩』と『城崎こよみ』は、今回の記事を書く際にも大変参考になりましたし、次はここをこんな風に見てみたいなと思える良書でした。コンパクトに必要な情報がまとまっていてお手頃です。

さて、まだ観光は続きます。その間歩きっぱなしではなく、外湯パスのお陰で夏の日にかいた汗を外湯で気軽に流せてありがたかったです。鴻の湯さんは庭園風呂が売りで、明るい時間に露天に入れるのは何とも贅沢です。久しぶりに来られてよかったです。
一の湯さんの洞窟風呂はよき趣向ですね。今回は外湯を4つ回れました。休みと改修中の2つは元々無理なので上出来といいたいところですが、最も歴史の長いまんだら湯をスルーしているとは何事かというツッコミもあろうかと思います。次回のお楽しみに取っておいたということにしましょう。



湯上がりに何をいただくかは大変頭を悩ませる問題ですが、ちから餅さんの65年のバニラソフトは確かに甘くてうまかったです。65年もの間こちらで親しまれてきたとあれば見逃すわけにはいきません。



円山菓寮さんの蟹の絵入りチーズタルト、遊び心に惹かれて買ったのですが、チーズがたまらなくうまかったです。常日頃チーズばかり食べている私が推すので間違いないでしょう。これは大満足でした。


ミルクドーナツも勿論よかったのですが、黒豆茶は予想以上の豆の味の濃さで気に入りました。丹波と言えば黒豆ですね。普段の生活でも黒豆茶を導入したくなりました。

但馬牛メンチカツ、世に蔓延るカツとは名ばかりのメンチカツとは一線を画する、肉の味を楽しめる逸品でした。かりんとう饅頭も食べて観光完了です。但馬牛肉そぼろはどうやって食べようかなと期待に胸が膨らみます。




帰りは神戸経由のはまかぜです。さっき渡った城崎大橋に見送られて城崎温泉に別れを告げます。疲れ以外にも諸々緩んで眠くなりました。また元気にやっていけそうだと考えていました。楽しい時間をありがとうございました。


まとめ
いかがでしたでしょうか。長文にも関わらずご覧いただきありがとうございます。各地の大会は開催できない状態が続いており、私個人としても外泊は3月以来、外食も4月頭以来という経験になりました。こうして移動して各地で景色や食べ物、温泉を楽しんだりできる日々は、大会を開催して下さる方、受け入れて下さる地元の方のご理解と寛容な心とご尽力のお陰で初めて成り立つものであり、決して当たり前のものではないのだと改めて身に染みて感じられる時間でした。
トレイル自体は42kmという程よい距離で、山登りあり林道ありスキー場ありのコースは経験値を稼げる上に非日常の世界に浸れる楽しいものでした。やはり大会の持つ魅力は、現地で駆け回ってこそ強く掴めるものです。出る以上、次はもっとちゃんと走れるように鍛えていきたいですね。
今回の世界ジオパークトレイルランに関わって下さった神鍋高原、姫ジョグRC、アクトレップの皆様、極上の温泉で迎えて下さった城崎温泉の皆様に、心からの感謝をお伝えできればと思います。本当にどうもありがとうございました。