この記事は「みいちゃんと山田さん」2巻収録のお話「ニナちゃん36歳」のネタバレがあります。未読の方はご注意ください~
Xを中心にバズりちらかした話題作「みいちゃんと山田さん」。私はインディーズ時代にちらっと読んだことがあったので存在は知っていました。
Xでは自認みいちゃんとか自認山田さんとかムウちゃんの話題で大いに盛り上がっており、私はそれを「この作品こんなにバズってるんだな~」とのほほんを見ておりました。続きもなんだかんだ気になっていましたし、やはりミーハーの性として話題作は読んでおきたい…ので、そのうち買うか~くらいのテンションでいたわけですがそんな私の目に「みいちゃんや山田さんよりニナちゃんに一番共感した」という類のポストが飛び込んできました。……ニナちゃん?そういう子いたっけ……?
軽く検索をかけてみるとどうやらニナちゃんは所謂”ギリ健”グレーゾーンのキャラらしく……そんな彼女がみい山コンビと同じ職場で働いたあとのお話が2巻に収録されているということがわかりました。
このお話に興味を惹かれた私はみい山を5巻まで購入してみることにしました。まさかのニナちゃん入口です。びっくりだよ。
……で、読んでみた結果、これが噂通りの良い話でした。
本編でのニナちゃんの状態については割愛しますが、この時点で結構共感できるとこあるぞ……となりました。私もここまでではないですが(と書くとまんま本編のニナちゃん→みいちゃんへの思いと一緒ですね)感情的にはなんとなくわかる部分はあります。あと空間認識能力が低いっぽい?とことか。
「ニナちゃん36歳」は最終的にはあのお店を飛んでしまったニナちゃんが36歳になってからのお話です。
まずこのお話でいいなあと思ったのは、別にニナちゃんが劇的に成長しているとかそういうわけではないところです。ニナちゃんは相変わらず前職のクセは抜けないし、相変わらずミスはするし、一般常識的にはあまり職場の人に言わないほうがいいであろうこともつい言ってしまいます(水商売のこととか、かつての同僚が殺害されたかもしれないこととか)。仕事中に私用のネット利用もするしね!今の仕事も別に向いているわけではない……「もう転職活動はしたくない」という思いからこの会社に骨を埋める気持ちで頑張ろうとしています。
全部が全部そうではないとは思うのですが、こういうグレーゾーンの人のその後としてはパートナーと巡り合って結婚したり特性にあった仕事が見つかって周りに認められて…なんて作品が多いのです。フィクションなんだからそれでいいとも思います。何もフィクションの中までも現実見せなくていいじゃないとも思いますよ。思いますけども……その手の作品を読んでどこか置いていかれるような気持ちと言うか、もっとはっきり言ってしまえばどこかがっかりしてしまう経験が何度かありました。
個人的にパートナーの存在にはそこまで違和感がないというか、パートナーがいたとて特段幸せではなかったりパートナーもまた別種の何かを抱えていたりするのを身近で見ているのでそちらはあまり拒否感がないのですが……向いている職、居心地のよい職場という存在にはまだ夢を見てしまう自分がいるようです。
某恋愛漫画でも、ラストでまた大好きな人と再会して結ばれることより、その前のあれだけ労働で苦労していた主人公が新しい職場には笑顔で馴染んでいる描写の方が置いて行かれた感が強かったです。(そもそもあの作品は恋愛メインであってお仕事要素はサブと言われればそれまでなのですが)
さて、そういう傾向が強いこの手の作品の中で「ニナちゃん36歳」の描写は現実的かつ希望が見えて個人的には少し救われたような気持ちになりました、という話です。余計な要素が多くて申し訳ございません。
上にも書いたように他の同世代の人間よりは苦手が多いニナちゃんが、ニナちゃんのままどうにかあがいて社会で生きていこうとしている。パートナーはおそらくいないし、この仕事がめちゃくちゃ向いてるわけではない、でもニナちゃんは頑張っています。そしてそれを期待して支えてくれる人がいて、ニナちゃんは初めてどの職場にも私に期待してくれる人がいることに気が付きます。これってとてもすごいことです。なんかこう~若干スピみたいな言い回しになってしまうのですが、頭で知識としてわかっていることとそれが「〇〇ってことなんだ」と実感するといいますか、ストンと落ちてくる感覚としてわかることって大分違うじゃないですか…?去年あたりに発達障害の自分だけど最近ようやく〇〇ってことが実感できるようになってきた~とか、他者という存在を認識するのが遅かったとかその手の類のポストがバズっていた記憶がありますが、おそらくニナちゃんのこれもそういうことに近いのではないのかなと思います。私にもこの手の感覚は覚えがありますし、お恥ずかしいことに20代後半に差し掛かった今でも新鮮に”わかる”ことが多々あります。その基準で考えると、ニナちゃんのもらった言葉と気付きはどんなに希望に満ち溢れたものか……と私もつられてほろっとしてしまいました。
そしてその期待に気づいたニナちゃんの心境「そんな人達に報いるために頑張りたい」これこれこれこれ!!!!!!!!!!!!!!ニナちゃんよく言った!!!!!!!!!あのニナちゃんがですよ……。
この先ニナちゃんがどうなるかはわかりません。こう思っていても、また飛ぶかもしれませんし、結婚したりするのかもしれませんし彼女より先に会社がダメになる可能性もあります。助けてくれる上司もいつかはいなくってしまうでしょう。景気によってはリストラとかもありえます。希望的観測をするなら出世するかも……?人生は常に予想外の連続で、誰も予想なんて出来ません。そしてメタ的なことを言うのならもう既に「みいちゃんと山田さん」本編軸から降りてしまった彼女の今後が描かれることは恐らくないでしょう。それでも、せめて一読者である私だけはニナちゃんが上司にかけられた言葉とそれを受けての彼女の感情を覚えていたいと思います。ニナちゃん、私もどうにか生きていきます。