おそらくこの1ヶ月で一番立ち位置が変わった楽曲。
『四半世紀-ep』シリーズ…今までの「シカゴ」「辛くないハッカ」「おいでませ四半世紀」、そしてこの後に出るであろう「Youlinyang」にしてもある程度プロットを用意してから下書きし、さらに清書する、と言ったプロセスでブログを書いていたのだけれど、今回はそのプロットを全部ご破産。なぜならば、たった1ヶ月の出来事なのだけれど、この曲の持つ魔力と言ったものがいよいよ解放された気がする…そしてそれは弾き語りのなかで完成されて来た、というのが大きな理由。2025年12月現在で、一番岸本さんのポテンシャルを開放する楽曲になっている。
初披露はソロライブ【おいでませ四半世紀】。前回の「おいでませ四半世紀」と同様に、ライブの中核となるセクション、その一曲目に披露された。
その時から、構成の特異性は際立っていた。なにしろ、AパートとBパートで全くと言って違う楽曲となっているのだから。プログレと言って仕舞えばそれまでなのだけれど、このような “真っ向から奇を衒ったように見える楽曲” に “真っ向から挑んだ” こと、そのこと自体がそもそもの驚きだった…それこそ、アーティストぶってると揶揄されやすいだろうし。
そんな「泣きたくはない」、対バンイベントで披露するにしても相手の観客側が決して盛り上がる保証があるわけではなし、反対に短い出演時間だと白けて客席を冷ましきってしまう可能性すらあるので、暫くはやらないのではないか…そう思っていたのだ。
が、それはまさかの方向性…弾き語りでのパフォーマンスという形で、その読みは裏切られることになる。
豚キムチの曲、もとい #泣きたくはない …なのだけれど、60try部の時に本人すら間違えて仮タイトルの「オレンジ」と話してしまうくらいには “オレンジ感”がある曲。
— サネカタ@どりーまー / 花一族 (@syura9B) 2025年7月26日
何気に弾き語りでは初披露で、中間部分の展開はなかなか挑戦的。#岸本ゆめの #川崎 #タワレコ #噴水広場 pic.twitter.com/jV0ItC00aw
今回のギターの音色、この曲に合わしたんかな?ってくらい合ってるのよね…ほんと、ギター1本でも曲を表現することに抜かりなさすぎる。
— サネカタ@どりーまー / 花一族 (@syura9B) 2025年7月26日
そして、こんな一筋縄じゃない曲を受け入れてくれる初見の皆さんの民度の高さ…そしてホンマ良い曲 #泣きたくはない #岸本ゆめの #川崎 #タワレコ #噴水広場 pic.twitter.com/6b1HSmtdU9
そしてこれ以降、間のMAPAの対バンでも一回だけ披露されつつ、「泣きたくはない」は弾き語りで披露される機会が多くなる。ここから【避難囂囂】までの期間の披露はまさしく修行と言っても差し支えなかったと思う。そしてその成果は、【避難囂囂】において見事に爆発した。
弾き語り現場が全編が載ってる動画!!!
このライブでの「泣きたくはない」は、「辛くないハッカ」と並んでベストアクトと言える。言って仕舞えば、“アーティスト岸本ゆめの” をどこで区切るかと言われれば、この曲が終わった瞬間の、あの観客全員が圧倒されて静まり返った、あの中にあったと思う…あの張り詰めた空気感、どうにも次のリアクションが分からなくなる、何時迄も余韻に浸っていたいと思う、あの静寂こそアーティストの業と言って差し支えない証左だろう。
そう、今まで形を潜めていたアーティストの岸本ゆめのさんだ。
このライブが素晴らしかったのは、もちろんハシグチカナデリヤさんと杉本ラララさんという両ミュージシャンが素晴らしかったのはもちろんなのだが、あまりに多くの示唆があったこともある。それは、“エンターテイナー” と “アーティスト” の違いと言っても良い。
ハシグチカナデリヤさんは “エンターテイナー” よりの凄腕のミュージシャンで、その場にいる観客を絶対的に盛り上げることができる…外部から煽っていって全体を沸かせていく、そんなイメージ。
反対に、杉本ラララさんは “アーティスト” よりの奇才で、パフォーマンスのなかで自分の世界観にズルズルと引き摺り込ませ、観客を心底から感動で震わせていく、そんなイメージ。
この “エンターテイナー” と “アーティスト” はハッキリとした区分ではなくて、例えば「エンターテイナー:アーティスト=8:2」と言った感じの割合的なものではある。どちらかに偏っていれば良いというものではなくて、程よいバランスであれば良いし、尤もそのバランスが綺麗な人ほど売れているのではないか、もしくは合ってるバランスを見つけた人が売れているのではないか、とも思う。
翻って、今までの岸本さんは古巣時代から “エンターテイナー” よりではなかったか、という争点が浮かび上がった。いや、寧ろ “エンターテイナー” を自覚して演じていたというところもあるだろう。そもそも古巣のつばきファクトリーの楽曲はアーティスト的な要素が大きい…そういうところが好きだし、それをアイドルでやってしまうところにより惹かれているし…これはスキルの問題じゃないから、余計に離れられないわけですね。
そんな、“アーティスト” な側面をとことん楽しめたライブ。いやぁ、ホント良いライブだったな…
そんな古巣で言えば、全員がそれぞれアーティスト性を持っているものの、やはり浅倉樹々さんや福田真琳さんの “楽曲の世界観への惹き込み力” というのは群を抜いているものがあった。そしてその中にあって岸本さんは、“エンターテイナー” として多く振る舞っていたと思う。いや、そんな “アーティスト” 集団の中にいるからこそ “エンターテイナー” としての特異性に惹かれていた、というのも大きい。やっぱ、そもそもが存在として興味深すぎる。
卒業して以降も基本的にはこの “エンターテイナー” 気質は変わらなかったと思う…というより、最大の武器になっていた、と言っても過言ではないし、これを観に来ている人々が多数だったはずだ。
しかし、そこに来て「泣きたくはない」という楽曲が産まれた。
この単純ではない、ロッカバラードが岸本ゆめのの “アーティスト” としての側面を解放させてしまった、そのエポックメイキングで画期的な瞬間が【避難囂囂】だった…
そう、“だった” 、のだ。本当の意味で、この曲がその真価を見せ始めたのはこれ以降、毎週のように行われた、弾き語り現場の中だった。
悴んだ指を温め直して丁寧に始めるのは最近の超絶推し曲 #泣きたくはない 。
— サネカタ@どりーまー / 花一族 (@syura9B) 2025年11月29日
兎にも角にも、ビジュアル、ギター、歌、その全てがいい。余りにも感情が乗りすぎていて、歌の世界観に引き摺り込まれそうになるもんなぁ…熱演。#岸本ゆめの #歌舞伎町 #もっちゃんすとりーと pic.twitter.com/9LTeIjjVaM
岸本現場でとにかく話題の、#泣きたくはない パフォーマンス向上率エゲツない件、その大元はこのミドル部分の激しさにある。
— サネカタ@どりーまー / 花一族 (@syura9B) 2025年11月29日
“清くキモく美しく笑った” の一節…ここの絶唱からの後半への回帰の美しさ…これこそがポテンシャル100の #岸本ゆめの …是非堪能して!#歌舞伎町 #もっちゃんすとりーと pic.twitter.com/2OVHtnj3Yx
兎に角、毎回のように演奏されるなかで、どんどん完成度が高くなっていって、ここに載せている和牛特区弾き語りでは、「え、これでお金払わないの、おかしくない?」というレベルまで行ってしまった…
外でライブ https://t.co/84snMVWoUM
— 山田社長(ヤムエンターテインメント) (@YUMYamada) 2025年11月29日
途中からではあるものの、「BLUEMOON BLUES」以降のパフォーマンスが残っているので、是非。
いや、今までだって岸本さんの色々なライブに行ったし、お金も払って来たのだけれど、しかし岸本ガチファンの我々はともかく、「他の観客に弾き語り一本の岸本さんにお金を払ってもらうことが出来るか?」と言われれば絶妙なラインだったことは確かだ。
でも、この和牛特区弾き語りは違った。当初の演奏予定にはなかった「BLUEMOON BLUES」を始めとして、「なぐさめないで 」「泣きたくはない」のこの3曲はお金をとっても遜色がない出来だったと、確かに感じたのだ。
いやぁ、本当に遂にここまで来たか、という感じ。
そしてそれは同時にバンドパフォーマンスでも起こっていて、ツチヤカレンさんとのツーマンは、今までサポートで入っていたマスター楢原が居なくなったのにも関わらず、そのパワーは衰えることなく、寧ろ何かが漲っていた…それは【避難囂囂】による自信もあったのだと思う。兎角、パフォーマンス力がハッキリとブチ上がっていた。
因みにここまでが、当初の『序』構想で話したかったこと。ここからは楽曲単位、もっというと歌詞の話。
「泣きたくはない」を紹介をするとき、岸本さんは必ず “豚キムチ” の話をするのだけれど、ここのフックは本当に凄い。単に自分が昔から好きな食べ物を歌っているだけなのだけれど、よくよく聴いていると、その前の “どの気持ちも” と地味に韻を踏んでいる、ここの細かさが心憎い。
よく見たら加入前の小野田紗栞さんもいる!!!
ただ、やっぱり本質はここだと思う。
“清く キモく 美しく 笑った”
ここの一文の素晴らしさ…というかこのフレーズ、本当に岸本さんからしか出ない気がしてるんだよな…
“清く キモく 美しく 笑った”
楽曲内でどれだけ自分の感情を上げて、ここのシャウトに繋げることが出来るかの勝負なんだよな、全ては。
にしても、楢原さんから楽曲を渡されて、一筋縄では行かないこの楽曲構成の一番美味しいところにこの歌詞をぶつけてしまう大胆さよ。
“清く キモく 美しく 笑った”
ほんと、“あの感じ” なんだよなぁ…自分を押し殺してさ、周りを円滑に進めるためにさ、なんとなくで笑ってやり過ごすときを、俯瞰で見ているときの、「あーあ」ってなってるときの、“あの感じ”。
でも、この感覚は通じない人には通じないと思うんだよな。だからこそ、あの感覚をスパッと書いちゃう、岸本さんの面白味があるんだよな。
“清く キモく 美しく 笑った”
名フレーズだと思う。
そして、そこまでの流れ…自省のAパートと、そこからなんとか自分を引き揚げようともがくBパート…個人的には弾き語りパフォーマンスでの、文字通りギターを一心不乱に掻き鳴らす岸本さんが本当に好き。一切の手抜かりなく、ひたすら三拍子を掻き鳴らす、あの一心不乱さの中にこそ、アーティスト、表現者としての岸本さんの真価がある気がして、“ただの伴奏ちゃうねんぞ” みたいな気概が見えて凄く良いんだよな。
そしてそこを超えたA'パートの歌詞の最後で少しだけ回復するのが良い。曲の構成に合わせて、同じだけど少しだけ前に進んでる、そうやって確実に前に進んでいる姿を見せているのが本当に救いとして好きなんだよな…それこそ「まだ熱のある君は」とかでは、沈んだままで終わってたりするし。アルバムのラスト曲で色々な感情を表しているのだけれど、最後に自分なりの光を見つけラストが本当に美しいのよ。
そんな「泣きたくはない」。初披露から意表を突いて来る楽曲だったのだけれど、披露されるたびに意表を突かれてる気がするんだよなぁ…そしてこの曲があるから、次にどのような曲が来るのかワクワクするし、特にロックバラードというジャンルで、どんな世界に引き摺り込んでくれるかが楽しみになってくる楽曲。これからも、感動させてくれ。そして、金を払わさせてくれ!!!
P.S. 最新の「泣きたくはない」
岸本さんのポテンシャルを100%引き出せる楽曲こと #泣きたくはない 。この1ヶ月くらいの弾き語り現場で掛け続けた結果としてクオリティが上がり続けて、ローテーションの一角として余りにも異彩な存在感を放ってるのが良すぎる。#岸本ゆめの #横浜 #アソビル pic.twitter.com/2dsgcUX5xr
— サネカタ@どりーまー / 花一族 (@syura9B) 2025年12月14日
基本的に弾き語りの表現力の比重は
— サネカタ@どりーまー / 花一族 (@syura9B) 2025年12月14日
ボーカル>ギターなのだけれど、#泣きたくはない Bパートだけ、ボーカル<ギターになってるのが好き…そしてこの比重の転換が他の楽曲のパフォーマンスにも反映されてる感じがする。
まだまだ成長の予感がして、ワクワクするばかりだ!#岸本ゆめの #横浜 #アソビル pic.twitter.com/lQYVnIH9pL