月に2回、3歳児の坊やと図書館に行き、絵本を選んでいる。坊やは最近はすっかりオタクになって、放っておくと「のりもの」か「でんしゃ」が出てくる本ばかり選んでいる。近くの図書館では絵本とはいっても、ほとんどすべて背表紙を見せて並んでいる。坊やはまだ字が読めないはずなので、どうやって本を選んでいるのか謎なのだが、どこからかでんしゃの本を取りだしてもってくる。おそらく背表紙に載ってる小さいアイコンみたいなのを目印にしているか、棚から少しはみ出して見えてる絵をヒントにしているのだろう。それにしても「好き」というエネルギーの執念はすごい。
だから、『はるのゆきだるま』という絵本はわたしが読みたくて借りた絵本だった。ゆきだるまがどうなってしまうのかは、ある程度の年数を生きた人ならなんとなく察せられると思う。心温まるというよりは切なさ、新しいはじまりに常に隣りあう喪失の感覚、忘却の残酷さを思わせる物語である。それでいながら添えられている絵のおかげで悲しいだけの作品ではなくなっているところが素晴らしい。
幼児向けの絵本を読むようになって一番驚いたのは、こんなふうに子ども向けだからといって必ずしもハッピーエンドのおはなしばかりではないということだ。
実家に帰ったとき昔の絵本をあさっていたら、『てがみをください』という味のある表紙絵の絵本がでてきた。
この表紙にもいる「かえるくん」は、主人公の男の子の郵便受けの中に勝手に住みつき、他人の手紙を勝手に読んで文句を言われる。自分も手紙のやりとりをしたくなった「かえるくん」は、アドバイスにしたがって「てがみをください」と自分から手紙を出すのだが……。
かえるくんは、自分で家の壁にペンキを塗って住みやすくしてみたり、手紙を心待ちにしている間も意地を張って平気なふりをしたりして、なんともいじらしい。そう微笑ましく見守っていただけに、エンディングまで読むとちょっと虚を突かれた気持ちになった。
こんなふうに、他人との関わりの中では時に取り返しのつかないことがある、というのを子どもたちは一体どれくらいわかっているものなんだろうか。むしろそうしたことを痛感している大人のための物語なのではと思ったのだった。

