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好きな装丁の本をダラダラ語る会

電車に乗らなくなってから文庫にこだわらず単行本をえいやっと買えるようになってきたのですが、単行本の表紙って見た目から手ざわりまで素敵なものが多くて惚れ惚れしますよね~。装丁界隈にはイラストにも印刷にもくわしくはないのですが、たとえどんな内容であってもこの装丁はかわいすぎる! というものを本棚から取り出してにやにやするという、ミーハーな回です。

最近読んだ中から

多和田葉子『地球にちりばめられて』からの三部作

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三部作なのに2作目の『星に仄めかされて』だけ文庫を買ってしまったので3冊揃ってない後悔。いや文庫の表紙も決して悪くなく、むしろ素晴らしいのですが、せっかく三部作なので揃えたかったなあと。

3作目の『太陽諸島』はカバー取ったら水色なのが意外だった。

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これはきっと海の色だろう。この原生物?みたいな絵がかすかに光沢のあるシルバーで印刷されていてまた綺麗。

背表紙の字がちいさくて余白がある感じも好き。

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ゴシックと身体
ゴシックと身体──想像力と解放の英文学

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よく考えると内容は16世紀の英文学について扱ったものなので、ビアズリーの絵は時代も国も合ってないのに雰囲気はなんか調和してるふしぎ。わずかに光沢のあるグレーグリーンっぽいインクの色がなんとも良い。しかもこれにかんしては帯の色が蛍光オレンジで、色の組み合わせの妙も光ってる。

 

嫌いなら呼ぶなよ
嫌いなら呼ぶなよ

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これほど目立つ装丁がありますか? 本棚に差してて背表紙しかみえなくても遠目にもこの本ってわかる。そんでまた内容がこの目立ちっぷりに特に負けてないのがすごすぎる。

 

マギー・オファーレル『ハムネット』

完全に表紙買いだが、内容が好みだったので流石のターゲティングといえる。こういう表紙を好む人はこういう話好きでしょっていう……。

大きなHはハムネットの頭文字だけど、歴史の頭文字のようにも思え、「なにかを成し遂げた者たちだけの歴史からは外れ、埋もれてしまった人びとの物語」というこの小説のテーマも仄めかされていて良い。なによりもこの装飾がみんな大好きな金の箔押し。うつくし…すばらし…

 

シリーズもの

新潮クレストブックス

新潮クレストブックスはハムネットに限らず表紙の絵がオシャレすぎ、それだけで集めたくなってくるコレクター心。そう、わたしはかわいい表紙の本を読みたいがために海外文学を読んでいる女。

『友だち』は大胆な色彩が素敵だし、

 

『あなたを選んでくれるもの』はもはやインテリアにしたいくらいオシャレ。

 

未読だけど気になっている『オルガ』は、荻原美里さんという方の絵。シックで淋しい感じなのに、物語の登場人物がひそやかに暮らしている気配が聞こえてきそうな雰囲気がいいなあと思っている。

 

荻原美里さんといえば最近読んだものだとデュ・モーリアの『原野の館』の表紙も手がけられていました。

原野の館 (創元推理文庫)

原野に吹き荒ぶ甲高い泣き声みたいな風の音が聞こえてきそうな絵ですよね〜。

 

新潮文庫のシェイクスピア作品

新潮といえば文庫も素敵。新潮文庫からまとめて出してる作家の本は、表紙の雰囲気が統一されている気がする。たとえばドストエフスキーやトルストイの、著者の顔がどーんと出たいかにも文豪っぽい表紙が思い浮かぶ人も多いと思います。現代の作家でも手元にあるものだと梨木香歩さんの文庫は児童文学作品は同じ装画の方に依頼してたり、エッセイは風景写真を使うなど雰囲気を統一してるもよう。

しかしわたしが新潮文庫で好きな表紙はやっぱりシェイクスピアです。

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浅野勝美さんという方の絵。訳文は正直、わたしにとっては決して読みやすくはない。だけど表紙かわいさに買いたくなってしまう。そう、わたしは表紙かわいさに海外文学を読んでいる女。新潮文庫って毎年夏に出る限定のプレミアムカバーが人気化と思うのですが、『ロミオとジュリエット』にかんしてはうっかり無地のプレミアムカバーを買ったのを後悔してるほど、この表紙の絵が好きなんですよね…。

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今のところいちばん好きなのは『真夏の夜の夢』

 

『昏き目の暗殺者』

好きな画家シリーズでいうとM!DOR!さんも。このかたはアンティークの雑誌や紙のコラージュで作品製作をされているらしい。『昏き目の暗殺者』文庫の表紙がめちゃくちゃかっこいい上に上下巻で2バージョンあって最高です。これ読んだのずいぶん前なのでまた読み返したいなあ

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『口笛の上手な白雪姫』

あと画家ではないですけど有名な装丁デザイナーの名久井直子さんですかね。わたしは小川洋子さんの『口笛の上手な白雪姫』『約束された移動』の装丁が大好きなのですが

口笛の上手な白雪姫 (幻冬舎文庫)

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約束された移動 (河出文庫)

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エッセイ集の『遠慮深いうたた寝』は好き以上にもう感動しました。

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本のカバーによくあるつやっとした感じを陶器にみたて、イラストや文字も陶器に描きこまれたかのような質感で印刷しているという……ネットの画像ではいまいち伝わらないが、書店で実物を見ていただいたら何を言ってるか分かっていただけると思う。シンプルにみえてものすごく凝った、物体としての本を買いたい気持ちにさせる見事な装丁だと思います。

 

水平線シリーズ

あとこの記事を書きながら手持ちのいろんな本の装丁を見直していて、「水平線シリーズ」があることに気づいた。『外は夏』『観光』『惨憺たる光など。

惨憺たる光 (韓国女性文学シリーズ6)

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『外は夏』は、室内に閉じこもっている人が涙でぼやける目で窓の外の真夏の風景をじっと眺めているようなイメージの表紙なのだと思う。表題作の内容と非常に調和していながら、ビジュアル的にもマーク・ロスコの抽象画のように目を引く。

外は夏 となりの国のものがたり

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『観光』はダイレクトに物語のワンシーンをイメージさせる、海(を泳ぐ豚)の絵。目線を遠くに移して海の向こうを見やっている少年のイメージが自然に湧いてくる。この少しぼやけた光景、メランコリーなブルーが本当にきれいなんですよねえ。

水平線シリーズ、日本人の我々にとっては「海外」のイメージと直結するので、海外文学を読むときのイメージと調和しやすいという気もする。

 

写真系

あと海外文学表紙あるある(あるある言いたい人になってきた)でつい買っちゃうのは、物語の内容をイメージした古めの写真を配置するというものですね。このパターンほんとうに弱い。

 

新潮文庫のマキューアン『贖罪』をはじめとし、

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(手元にあったのは旧版の上下巻だった。物語の一部と二部の変化と表紙がシンクロしている気がして、旧版も結構好き。)

 

新潮クレストブックスは最近出た、ダーチャ・マライーニ『わたしの人生』、他にもこういう表紙をよく見かける気がする。

(だけどこれ、調べてみたら原書の表紙を踏襲しているんですかね。たぶんこれは実際に戦争を日本で経験したという著者の写真だ…)

 

新潮文庫の村上柴田翻訳堂シリーズもこのパターンかも。

(こういうのってイメージ写真なのかと思ったら、中央の女性はカーソン・マッカラーズ本人らしい)

 

シャーリイ・ジャクスン『壁の向こうへ続く道』

 

サマンタ・シュウェブリン『七つのからっぽな家』

七つのからっぽな家

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これはぱっと目を引く水色のラインと対照的に、本を開いてすぐの色が蛍光ピンクだったり、文字が印字されているページがグレーだったり、絶妙に不穏なポップさである。(伝わらない写真ですいません…)

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シモーヌ・ボーヴォワール『離れがたき二人』

 

あとルシア・ベルリンと、最近買ってまだ積んでる『夢の中で責任がはじまる』は、若くして亡くなった作家の再発見で話題になった点も含め、表紙が似てるので同じシリーズかと思ったほどだったけど、出版社すらも異なっていた。

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積読のものもあるけど上記は全部表紙に惹かれてジャケ買いしてますね……

 

アガサ・クリスティーと真鍋博

そして写真×海外文学といえば思い出すのはクリスティ文庫。

かつて大学生くらいのわたしが自力で書店に足を運ぶようになったころ、書店にずらりと面出しで並んだクリスティ文庫の棚をみてあっけにとられました。それまでは地元の図書館で、だれかがお風呂で読んだせいでページのへにゃへにゃになった古ーいハヤカワ・ミステリ文庫をめくっていたので、続々と新刊が出るこのクリスティのみの文庫シリーズは全てが光って見えた。ラインナップを眺めるたび、社会人になったら絶対買い集めるぞ〜と思っていた。しかし、その後じつは自分の読書傾向がちょっとミステリーから離れてしまって集めずじまい。

 

でも今改めてみると、わたしが図書館で出会っていた古いハヤカワ・ミステリ文庫時代のクリスティの表紙もレトロな趣があって良いんですよね。年を取って懐古趣味の魅力がわかるようになったのか。と思いながら検索していたら、この装丁画シリーズを手掛けられた真鍋博さんという方の作品集に全イラストが載っているらしい!なにそれほしい~!!

真鍋博 本の本

  • PIE
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『そして誰もいなくなった』とか、

こんな小説があっていいのか!かっこよすぎる!と子どもながらに衝撃を受けた記憶がこの表紙をみると甦りますね。美的感覚も好みもなんもなかった昔は「トランプみたいな絵だな〜」ぐらいにしか思ってなかったけど。

 

ひらいたトランプ (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-2)

(しかしまさに『ひらいたトランプ』という小説はコッシー*1もびっくりのイスだらけという流石のセンス。)

 

などとつらつら書いていたら、特に深入りしてないのに5000字くらいになってしまった。しかし書いてて楽しかったです!時間を忘れる!

本棚の本を「装丁」の目線で再度眺めなおしてみると、今までそこまで目に留めてなかったものまで素敵に思えてくるから不思議。 良い装丁とはその本の内容をよく表現しているもの、だとすると、ひとつひとつの本の装丁に作り手の思いがあって、それぞれの理由が込められてるのだなあ〜。

 

だけど結局「このシリーズの装丁っていいよね」とか「この方が担当された装丁っていいよね」みたいな話をついしてしまうので、わたしってブランド志向なのかもしれない。作者もタイトルもなんも情報知らんけど本屋で出会ってビビビ!となる、そんな装丁を見つけられるようになりたいぜ…

*1:NHK Eテレ「みいつけた!」をご参照ください




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