こんにちは。自キ温泉ガイドのサリチル酸です。

今回は最近復活の兆しを見せている、名機Libertouchとオタクの物語を語りたいと思います。
- 前置き:Libertouchってなに?
- Libertouchオタク
- 社内の雰囲気
- 復活の道を模索する
- 天キー出展へ
- Libertouch Engineering Sampleの販売
- Libertouch Engineering Sampleについて色々見てみる
- Libertouch Engineering Sampleの打鍵感
- 抽選販売実施中
- ランキング参加中
- おわりに
前置き:Libertouchってなに?
Libertouch(リベルタッチ)は、富士通コンポーネント(現FCLコンポーネント)が2007年から販売していた高級メンブレンキーボードです。
メンブレンキーボードというと、本ブログの読者諸氏は通常2千~4千円程度の廉価キーボードを想像するかもしれません。
しかしLibertouchの発売当時は約1万8千円という非常に高い価格帯で提供されました。
同社では「キータッチの心地良さを追求したキーボード」と謳い、実際に非常に快適な打鍵感が得られると評価されています。
その独特な存在感はファンの間でも語り継がれ、2021年に販売終了*1となった後も根強い人気を保っています。
Libertouchオタク
とあるところに熱心なキーボードオタクがいました。
そのオタクはキーボードのイベントTokyo Mechanical Keyboard Meetupにも参加するほどのオタクでしたが、とりわけLibertouchを愛していました。
そんな彼はなんと、Libertouchに携わりたいと決意し、開発元である富士通コンポーネントし入社しようと決意しました。
しかし、入社したときにはもう製造は終了してしまっていることを知りました。
社内の雰囲気
そのオタクは行動力オバケでありつつ更に往生際も悪かったので、どうすれば復活できるのか、仕事もせずに考えていました。
しかし、現実は厳しいです。
当時の富士通コンポーネント社内ではLibertouchは「すでに製造終了した製品」とされていました。
以下のポストは2024年にLibertouchという商標を再申請しているというポストです。
[商願2024-74855]
— 商標速報bot 6号 (@trademark_bot_6) 2024年8月24日
商標: [画像] (標準文字)
OCR: Libertouch
出願人: FCLコンポーネント株式会社 (東京都品川区)
出願日: 2024年7月10日
区分: 9類(タッチパネル,電気通信機械器具,電子計算機用キーボード,電子応用機械器具及びその部品,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音… pic.twitter.com/i8f9X3KlZ6
つまり商標すら手放されていたということです。
ましてやLibertouchの新型の開発なんてナイでしょ、というような極寒の冷たい雰囲気が漂っていたのです。
復活の道を模索する
そんな中、入社したオタクは粘り強くLibertouch復活の道を模索し始めます。
全社的に大規模なプロジェクトとして正式に再始動できなくてもLibertouch関連の開発だけは続けよう、そして、"いずれは必ずLibertouchを復活させたい"という意思があり、それはLibertouch開発者の西野氏(当時シニアマネージャー)も同じでした。
年々盛り上がりを見せているキーボード界隈に対して"改めてLibertouchの魅力を知ってもらいたい"との思いから小規模なプロジェクトから始動し始めたのです。
とはいえ、いきなり製品開発プロジェクトをスタートすることはできなかったので、まずは市場の興味度を測るために小さく動き始めようとなりました。

天キー出展へ
ここで思い出したのが昔行っていたTokyo Mechanical Keyboard Meetup(以下Tokyo MK)というイベントです。
Tokyo MKはコロナ禍により活動をやめていましたが、天キー(正式名称:天下一キーボードわいわい会)という日本人コミュニティ発*2の大型キーボードイベントも盛り上がっているので、そちらに出してみることにしました。
libertouchの魅力を知ってもらうため、ほとんどの部品を新規に設計してなんとかキーボードの形にまとめて天キーVol7に出してみたところ、予想外の反響だったといいます。*3

Libertouchは当時には珍しくモジュール構造を採用していたので、使用者がキーキャップを引き抜くことで打鍵感を好みに調整できるようになっていました。
ただ、販売当時にはキーボードに拘る人も少なく、簡単とはいえ自分で手を入れて調整する人は少なかったと思います。
しかし今はキーボードブームもあり、モジュール化されていることに魅力を感じる人も多くいます。
その反響と意識の変化を背景に、小規模ながら頒布できるような試作を作ることができ、天キーVol8にて展示することができました。




そしてその試作が、このあとに紹介するLibertouch Engineering Sampleです。
Libertouch Engineering Sampleの販売
長々と背景を語りましたが、このキーボードはそのストーリーの先にある「Engineering Sample」です。
つまりは試作品です。
自作キーボードに慣れた人であれば試作品を販売することに違和感はあまりないかもしれませんが、普通は試作品を販売したりはしません。
ここは私(サリチル酸)の予測ですが、この試作品の販売は市場調査を兼ねていると思います。*4
売れなければLibertouchの復活はないかもしれません。
つまりLibertouch Engineering Sampleはただの金属ケースのLibertouchというだけでなく、Libertouchそのものの未来を背負っているわけです。*5
今風にいうと推し活ですよ。
Libertouchが好きな人はこれを推さずにどうするんですか。
Libertouch Engineering Sampleについて色々見てみる
というわけで実際のものを見ていきましょう。


カスタムキーボードの文脈を知る私から見ると、カスタムキーボードの文脈や流行を見ていない仕様のように見えます。
ボトムケースとネジで締結するトレイマウントですし、ステンレスと思われる硬めのスイッチプレートを採用しています。


最近の、どこを見てもガスケットマウント、穴だらけでグニャグニャのスイッチプレート、という仕様ではありません。
これはLibertouchの持つカップラバー+スプリングの柔らかい打鍵感を信じていることと、将来的なキーボードデザインをする段階にないという苦しい立場を想像できます。


おそらく、将来的にLibertouchが復活できるとしても、このようなアルミケースの採用はないと思われます。
一つ一つのキーボードのデザインにディテールを入れ込む段階にないということです。
まさしくEngineering Sampleという感じです。
表面は梨地のシャンパンゴールドアルマイト、底面はPoronシートが切りっぱなしで貼り付けられているところも試作品風味を感じます。


それでもエンターキーと右側のキーの隙間を開けたり、カーソルキーを少しだけ右側にズラしたり、開発者の使い勝手へのこだわりを感じるポイントも多くあります。
また、エンターキーの右側にLibertouchの銘板を入れ込むのは良い工夫だと感じました。
ただ、もうちょっとだけ銘板がピッタリハマってくれるともっと格好いいのに、と思うのは私だけでしょうか。
Libertouch Engineering Sampleの打鍵感
打鍵感についてはメカニカルスイッチにはあまり見られない柔らかなストロークと、まっすぐストロークする気持ちよさを感じます。
私自身はLibertouchを使っていなかったので過去のLibertouchと比較することはできませんが、かなりよい打鍵感だと感じました。
試打した際に結構強めに打鍵した場合、底打ち時にプレートの硬さを感じることがありました。
なので運良く私が個人的に入手できたら、柔らかめのプレートと組み合わせたときの打鍵感を試してみたいと思っています。
抽選販売実施中
[GB] Libertouch Engineering Sample(ES品)shop.yushakobo.jp
というわけで、Libertouch Engineering Sampleは今現在抽選販売を実施中です。
Libertouch Engineering Sampleが欲しいという方だけでなく、Libertouchのこの先が見たいという方は、ぜひ抽選販売に参加しましょう!
ランキング参加中
面白かったり、期待していただけましたらポチッとお願いします!
おわりに
このプロジェクトの最大の魅力は、「好き」という想いが、このプロジェクトを立ち上げたことです。
オタク的な“消費”の枠を超えて、情熱が周りの人を動かし、製品復活へとつながったのです。
私自身、この話を聞いて、「これはぜひ記事にして残したい」と思いました。
私も同じキーボードオタクとして、オタクを応援する姿勢の1つがこうした情報発信なのではないかと感じています。
リベルタッチを愛するオタクが起こした、小さくて大きな革命、それは確かに今も続いているのです。
本記事に対して問い合わせや要望があれば遠慮なく私のDiscordまでどうぞ。
salicylic-acid3.hatenablog.com
この記事はToSeventyOrtho Proto1で書きました。
*1:2018年1月に一度販売終了し、後に要望を受けて同年8月に一部仕様を変えて後継機が販売され、それらも2021年に販売終了しています。
*2:Tokyo MKは日本で行われていたイベントでしたが、参加者の半分近くは外国人で、セッションも英語で行われていました。
日本で自作キーボードが流行る前の話です。
その後「ゆるキー」などの日本人主体の小規模イベントを経て天キーが誕生しました。
*3:伝聞調で申し訳ない。
筆者であるサリチル酸は天キースタッフとKeeb-On!の対応でいっぱいいっぱいだったのです。
*4:ここらへんの記載については正解とも不正解とも聞いていないので、あくまで私の想像です。
答えを知ってしまったらそれは企業の内部情報を暴露しちゃってる事になっちゃいますからね。