科学2026年1月号
【特集】AIは科学をどう変えるのか
[巻頭言]生成科学──AIと科学の融合形態へ……橋本幸士
AIに、修士学生に対してするような指導をして論文書かせたら、修士学生レベルの論文でてきたわっていう
言葉に囚われた私たちの科学と人工無能について……瀧川一学
『言語能力は人工知能で解明できるか』という本の存在を知った。
〈異質な科学〉と〈科学の疎外〉──AIが科学にもたらす変化の哲学的含意……呉羽 真
やっぱりキーワードは「理解」かな
〈異質な科学〉というのは人類以外による科学
〈科学の疎外〉というのは、人間が理解できない形で科学が進む場合疎外が起きるよね、という話。
しかし、最後、最近のAIを巡る状況は哲学者にとっては飯の種が増えてうれしいわ(こういう言い方はしていない)というようなこと書いてて、面白かった
共同最終決定者としてのAI……出口康夫
「WEターン」から考えるAIとの科学
人間が科学の主体ではなくなってしまうのではないか、という危惧に対して、WEターンによって、「われわれ」の中にAIも位置づければよいのだ、という論
測定器具のもつ誤差(系統誤差)のアナロジーによって、人間にもAIにもそれぞれ固有のバイアスがあるが、人間だけ、AIだけで科学をやるとそれに気づけない。両者がそれぞれ協力することで是正できるのでは、とか。
「生成科学」時代のシステム論──科学のモデルとしての集合的予測符号化……谷口忠大
科学探究の全体像とは何かを考える
記号創発システム論を科学コミュニティ全体に拡張する。
数学的超知能の実現,あるいは人類の知的活動について……三内顕義
言語モデルだけだとハルシネーションのおそれがあるが、数学には、証明支援系という証明の正しさを検証できるツールがあり、これと組み合わせるという手法がある。
言語モデルに証明を出させる→証明支援系で検証→検証結果を学習させる
数学オリンピックの問題が解けるだけでなく、数学者との協働が可能に
このモデルが出してきた証明から、人間の数学者が洞察を得る、ということが実際にあった。
古代エジプト語を理解し,話す人工知能──古代言語と現代技術の協奏……宮川 創
古代エジプト語は、子音のみが書かれていて、母音は書かれていない
しかし、母音は発音のみならず文法要素を知るためにも重要(例えば英語でも、sing、sang、sungと変化するが、子音だけで書くとsngになってしまう)。
コプト語と比較することで調べる
コプト語のコーパスがあって、それを参照するAIを開発
科学を支援するAI:現状と課題……相澤彰子
論文検索、論文執筆、AI for Science、AIサイエンティストなどのこと
AIでサーベイ論文作成が増えて、arXivがサーベイは査読後じゃないと載せないことになったとか
スタンフォード大で、AI制限ばっかしても仕方ないので、AIと協力して研究しようというイベントをやってて、筆者も参加した際のエピソードが書かれていて、透明性の確保が難しいと感じたというのが面白かった。つまり、AIが研究にどれくらい関与しているかを書かないといけないが、AIをがっつり研究に組み込むほど、どこからどこまでがAIかを記述するのが難しくなる、と。
生成AI時代における論文の意義……有田正規
そもそも研究論文って情報の流通にこそ意味があるんだから、著作権とか二重投稿の禁止とかやめたら? ということを提案してる
[新連載]因果をめぐる7の視点1 連載開始にあたって……水藤 寛
東北大の数学者たちと富士通との間で、因果をテーマにした共同研究を行っているとのことで、数学者、哲学者、物理学者が集まってやっているので、それを連載していきます、という話だった。
数学と企業との共同研究は珍しいです、みたいなことが書いてあった気がするけど、確かに、数学と富士通とで因果の研究って、そんな組み合わせあるんだ?! という感じではある。
日経サイエンス2026年3月号
短期集中連載:定説が覆るとき プラスチックの功罪
元々、プラスチック製品が広まったのは、象牙製品の代替として
最初が1860年代で1940年代に急増している。この時期、綿とかそういうのも化石燃料製品へと置き換わっていく。
当時は、天然資源の逼迫を和らげるという、いわばサステナビリティ問題の解決策として普及し、豪華な品を大衆的なものへ、という流れだった
が、1970年代までには、プラスチック製品の有害性の認識も広まり、現在は、マイクロプラスチックの問題がよく知られている。
また、近年になって、プラスチック製品の増加は、象牙需要を減らさなかったということが明らかになってきたという。