タイトルの通りです。わたしは過去に何年か『ベスト姉ヒロイン大賞』という企画を立てて年間ベストアニメを選んでいたのですが、維持コスト(時間と労力と感情)が足りず止まってしまったという経験があります。
近年異世界ものアニメがどんどん台頭している関係で自分の好みの現代ものは減っており、日常的なアニメ視聴習慣も合わせて駄目になりつつありますが、さすがに今年は記録くらいは残しておいたほうがよいだろうという次第です。途中で止まっていた過去作も適宜見つつ、書いていきます。
Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-
当初は注意欠陥気味な主人公が電動式の工具を扱うことにかなり恐怖(具体的には電ノコ作業中に目をつぶるなど)をおぼえてしまい素直に視聴をつづけることができなかったのだが、終盤に須理出未来さんのかなり強烈な”癖”が開陳されてその百合ポテンシャルに度肝を抜かれてしまった。
あと、あきらかに周囲よりうまいことできない結愛せるふさんの誕生日が四月一日(学年でもっとも遅い)に設定されていることに業の深さを感じた。
弱キャラ友崎くん 2nd STAGE
原作の取り扱いがむずかしく、さらに時間を置いての二期ということでラブコメラノベファン以外に注目はされなかったとは思う。ところどころ原作者自身が原作をリライトしたシナリオによって生まれるすさまじい瞬間はあったのだが、やはり地の文によって浮世離れ感を表現されていた菊池風香さんが”人間”として再定義されていく原作の演出がアニメーションではオミットされていて、彼女がどのような存在であり、なぜ友崎くんが関わろうとしたのかについてぼんやりしてしまった点は否めない。
ガールズバンドクライ
実家に戻る回で井芹仁菜のパーソナルな趣味である寺社仏閣的要素が室内に残されていて、川崎の部屋にはそれがなかったことが逆説的に示されつつ、その話の終盤で手渡される鍵のキーホルダーが大仏なのは、家という場所との和解の描き方としてたいへん丁寧でよかった。
ただ、井芹仁菜というキャラクターは反骨精神は持っているけれど本質は規範意識のつよい子であって、環境的にそうふるまうことの限界があっただけ、という感じがしていて、いわゆる”ロック”であると好意的に受け止め、表現することにはいくらかのためらいがある(ノーフューチャー的ではある)。そこでは取りこぼされるものがないか。
また作中音楽の在り方と各話タイトルの元ネタの乖離などはやっぱり気になるというか、音楽の固有名詞の選択肢が叔父さん向けでしょっぱくなるのはバンドアニメの宿命なのかと思うと微妙な気持ちにもなるし、音楽演出と脚本がマッチングしていたかというとよりはCGアニメ演出見本市になっていた感じもある。
響け!ユーフォニアム3
終始、ものすごく残酷なことをやっているな、という感じがちゃんとできているあたりにバランス感覚があるすごいアニメだった。新入部員たちは過去二年間の久美子たちのがんばりを知らないわけだが、それでも久美子による説得で(それこそ作中の気合いの入った作画の姿そのまま受け入れるかのように)感動的に部活への参画を決めてしまうあやうさが無自覚的に語られているシーンなどは、劇場版みたいな絵を毎話平気で繰り出してしまうこの作品だからこそ得られた迫力があった。
小市民シリーズ(一期)
もともと原作のファンであったので、繰り出される画面のルックに毎話唸りながら見ていた。控えめな劇伴が地に足をついた印象を与えつつ、推理パートでの超現実的な雰囲気がだんだんと後半になるにつれて日常と接した、しかし暗い場所(商店街の出口手前)に至るのはロケハンのすばらしさだと思う。小鳩くんのショックはじっさいのところは冬期限定のあたりでようやく説明がつく事象ではあるのだが、それにしても殴られてしまったアニメだった。
声優ラジオのウラオモテ
いわゆる”百合営業”的な要素をふくむであろう内容で、その本質はケンカップルかつ、お互いをめちゃくちゃ実力のあるライバルとして認めている……なのだが、リアリティラインと倫理観がおかしくなっているので、どう受け止めていいかわからないところがある……あとだんだんラジオが関係なくなっていく……。
恋は双子で割り切れない
アニメサイトが貼れなかったので原作を。最終話で主人公がヒロインふたりから結果的に殴られたのがよかった。
義妹生活
アニメへの翻案がすばらしい作品。第一話で家に来たヒロインがぱちぱちと室内の照明スイッチを確認するのかとか、お風呂の温度調整だけでドラマが生まれることに期待を感じた人はぜんぶ見たほうがいい。
時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん
エッチな作画と設定でだいぶ気が引けてしまうアニメだし、人間舐め腐っている瞬間はたびたびあってどうか……とは思うが、ジャンケンのことを「見切りゲー」とか言いはじめるしょうもない昼行灯だけど有能な主人公としてのお話としては終始ダッシュ感があった。でも懐メロJ-POPカバーはほんとうにやめてほしい。
負けヒロインが多すぎる!
説明は要らないかと思います。J-POPカバーだけれど、選曲とエンディング映像が面白くてよかった。最初のLOVE2000は『彼氏彼女の事情』を思い出すなどした。
お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされてしまった件
過去、GReeeeNのカバーで耐えられなくなったが、気合いを入れて見た。これがこのラノ一位の貫禄なのか……。
多田くんは恋をしない
前半のキラキラ恋愛おしゃれ部活もののかつ騒がしくて馬鹿ばかりやるキャラのノリが苦しかったのだが、後半のドライブ感はよかった。カメラというモチーフで過去との距離や連関がバチバチとつながっていくことや「れいん坊将軍」とかいう謎の時代劇要素が光学の物語として地味につながっていること、スカイツリーに行くけどふたりで写真を撮らないところも抑制的な演出でよかった。
マーダー・ミステリー・オブ・ザ・デッド
グループSNEのマダミスを原案にみかみてれんが脚本化。アニメのCGはそんなに、という感じだが、マダミスの次第に情報が共有されていくノリがちゃんとそれっぽい。本格ミステリというよりはマダミスなので、それを期待するつらいところはある。あとみかみてれんなので、百合。
アオのハコ(一期)
これについてはブログを書いた。原作の忠実なアニメ化をするというタイプの作品だが、ときおり音声がよい仕事をする。蝶野雛さんが猪又大喜くんについての情報を聞いたとき「え……」っていう声が弱々しくてすばらしかった。
SHY(二期)
DCマーベル的なアメコミヒーロー文脈ではあるのだけれど、一期を見ていたときに、主人公の紅葉山テルさんの非対称な髪型がかなり石ノ森章太郎っぽい印象がしていた。二期ではまさしくサイボーグ009っぽくなる瞬間があり、言われてみれば覚醒?したときに前髪のふさがふたつ立ち上がるのは仮面ライダーの触角だなという結論になった。
ベタベタなバトル漫画をやりつつも、敵対者の側が基本的に世界に裏切られた経験があるタイプの人たちばかりで、そしてそれは主人公側のヒーローもそうであることが語り直されていく構造はよかった。
魔法使いになれなかった女の子の話
もとはエブリスタの小説とのことだが、アニメ化にあたっていろいろとリファインされている模様。児童文学的なテーゼをちらつかせつつも、やることが多すぎてかなりごちゃっとした話になっていて、半年から一年の尺の女児アニメとしてつくられていたらもっと魅力的になっていた感じがする。
主人公の進学したレットランの普通科の生徒達にはみんなやりたいことや家柄的なものが明確にあって、エリート学校に平凡な家庭の子が迷い込んだ感じがよく出ていたと思う。中高の進学でライフステージが変わったときって、なにしたらいいのかわかんないほうがふつうというか、そういう周囲とのギャップにダメージを受ける子っていると思うし……。
今後の展開があることをめちゃくちゃ期待したい、なぜならユズ=エーデルさんとクルミ=ミライさんの百合をおれは見たいので……。あとクルミさんが限界になるとかなり濁点多めの声になるのが適度にコミカルでよかった。
BEYBLADE X(一期)
一期の途中まで。三十話を過ぎてもなお主人公が一勝もしてないのに、ちゃんと毎回見所のあるベイバトルを展開しておもしろい。CGと音楽の力もあると思う。七色マルチさんのことばかり最近は考えている。
ブルーアーカイブ The Animation
正直ゲームシナリオをなぞりすぎているので、かなり違和感のあるところはあって(たとえば学校の校門前で銃撃戦をするために謎のコンクリートの壁が生えるなど)、出来はよろしくない。劇伴もゲームのものではないため、ポップさよりも古いアニメっぽさが意図的に出ている。逆にゲームにない、シロコが風呂上がりに部屋に敵が侵入したと思って銃を手に取るあたりはめちゃくちゃよく、不思議な味わいのアニメだった。
小鳥遊ホシノさんのブチ切れたときの低い声と、「真昼の空の月」というシンセポップ感のつよいED曲(しかもアニメ内で語られていないゲームの最新シナリオ由来の歌詞になっている)が聴けたと思えば安いものかもしれない。
最果てのパラディン 鉄錆の山の王
竜にすみかを追われたドワーフの一族、という感じでかなりトールキンの『ホビットの冒険』なのだが、ドラゴン表象はかなりよかった。すみかの山のなかに入る前から何度も竜の咆哮が響く見えない恐怖、周囲の土地には瘴気が蔓延していく悲壮感といったところがよく出来ているし、戦闘も段階的な会話を挟むことでRPGのラスボス戦闘っぽさがあった。竜が問いかけをするのはバハムート(FF8)っぽい。けっこうこういう演出や文脈を盛っていると思うのだが、それでいてお上品な印象になるのは、ヒロイックファンタジーらしさをうまく垢抜けさせているからなのだろう。
アクロトリップ
原作は一話一話が短いためハイテンポだが、アニメのほうは地方都市らしさをかなりフィーチャーしていて雨のシーンが多くなっており、北陸っぽさがそういうかたちで描かれるのは新鮮でよかった。
話も原作の内容をかなり組み替えて一話ごとにちゃんと見どころをつくっていて、満足感と統一感があってよかった。伊達地図子さんが限界になる演技もよかった。
菜なれ花なれ
バンドリのメインスタッフが関わっているので見た。とはいえ本作は、バンドリ無印やラブライブ!のスクールアイドルのような、周囲を巻き込んでみんなを祝祭化させていくノリとは違っていて、むしろそういう大きなものからはじかれがちな人らの話になっている。見た目よりもずっとアンチカタルシス的な語りをやっている。
加えて、彼女たちがやったのは直接なんらかのよい結果を導くような「解決」行為そのものではなくて、その前にある人々の決意を肯定することにある。最終話がチアのシーンではなく日常の風景で終わることもそうした態度のあらわれだと感じた。
描かれた話が祝祭的なものではないということは、人生の最良の瞬間を描いて終わらせるというよりも、中継地点を積極的に描いていくことであって、彼女たち六人にはその場で乗り合った集団らしさが終始あった。違う場所や人同士の組み合わせでコミュニケーションの在り方が変わるのもとても素晴らしかった。2024年のアニメではあまり語られていないけれども、手の行き届いたアニメだった。
ってかそんな見てないな!!!!! アニメ!!! もっと見ろ!!!
