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印象に残った百合漫画2019

 タイトルの通り。2019年はガルラジでしたが(そうでしょう?*1)、2019年の百合漫画でいいのってあったっけ、とあとになって参照しやすくなったら便利だな~、と思った個人的なリスト。だから数もそんな多くはないし、2019年に1巻初出じゃないのも混じっている。自分があげないものはきっとだれかがどこかで言及するでしょう。

 

 

 

 『BanG Dream!』のRoseliaコミカライズを担当していた毒田ペパ子先生のオリジナル作品。読めばわかるが、1900年のイギリスで百合をちゃんとやるぞ!!という気概しかない。イギリスでメイドで主従といえば森薫『シャーリー』*2なのはみなさんご存じの通りでしょうが、テーマをしぼったストーリー展開はたぶん2019年だからこそ出てきた感じがある。2巻の貸本屋に出てきた作家のラインナップがレズビアン短編小説集』*3なのは本気度の”表明”でしょう。そういえばセアラ・オーン・ジュエットは最近岩波文庫でも出ました*4

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レズビアン短編小説集』収録作家の並ぶ貸本屋

 

 

 

  今年完結となった作品。双子の娘(9歳)がもう片方の双子の家にやってくる、というおばと姪による忘れ形見もの(に見せかけた双子テーマもの)。少女漫画というか少女小説的なポエミーな筆致と重い設定が組み合わせれているのが独特で、死んだ片割れをその娘に投影するあたりが実にニクい。とりわけ2巻になって語られる一方通行的な感情がそれまでの描写をある意味で裏切る構造になっているのがさらにエグい。むろんそういう関係性に限らない部分や周囲のキャラクターが見せる優しさなど、読んでいて心に響く描写や距離感などもよくできている。繊細でいて重いというのはやっぱり重要なことなんですよ。

 

 

 

  忘れ形見ものとしては『春とみどり』のほうがずっとそう。こちらは高校時代の友人の葬儀に出たところその娘が彼女に瓜二つで、一緒に暮らそうと持ち掛ける話。疑似家族に近いものの、決して親代わりという態度ではなく、むしろそうではない関係(作中では「友達」と言っているが……?)を見つけようとしている。とはいえこれは過剰に屈折した投影なのでは、と思いつつも続きが気になるところ。主人公がそんなに社会的に優れた人間ではないところもポイントが高い。

 

 

 はずかしながら今年に完結してから読み始めた。にしても1巻の扉絵がすばらしい。10年越しに会った相手の身長差が逆転しているという構図が完璧。メインのふたりだけでなく邪悪すぎる百合妄想オタクが出てくるあたりで最高に面白くなったかと思いきや最終巻までパワー全開だったのはすごいよ……。天才の所業……。

  

 

 キスして入れ替わりを 都合よく使いまくろうとするコメディ。今年でこれも完結だが1巻は2015年か……。巻を増すごとに面白くなっていくタイプの漫画で、最終4巻はキャラクターの感情の矢印がかなり増えていてめちゃくちゃよかった印象。作者の新作も出る雰囲気がありそうなので待ちづづけるぞ。

 

  • 作者:さと
  • 出版社/メーカー: ヒーローズ
  • 発売日: 2019/06/14
  • メディア: コミック
 

『フラグタイム』のさと先生の新作だ! ありがとう2019年!! 同人女子高生とツイッターイラスト感想全部長文コメントオタクの組み合わせをやろうというハイセンスさ(そうか?)や最大瞬間風速的に見せるセリフのトガり具合はやっぱ『りびんぐでっど!』の作者というかコメディ出身の作家なんだなってひしひしと感じる。

 

 

政宗くんのリベンジ』の原作担当の竹岡先生が百合を……? しかもフライ先生による漫画で……!? というだけでラブコメ好き好き太郎としてはかなり衝撃的だった作品。そしてこの導入が上手すぎる2019といっていい出来。表紙から高校の話かと思いきや数年後の同窓会から物語をはじめ、感情のスケールのデカさを否応なくわからせる演出だけでもう5万点ですよ。外面よくて本質地味子の主人公と天然訳あり系ヒロインってあたりはべつに突飛ではないはずなのにこの入りだけで印象がめちゃくちゃ変わる。つまりいかにして主人公がヒロインの存在に呑み込まれたかって話をこれからするぞ、と明示しているわけですよ。これがラブコメ作家の実力……。そしてフライ先生描く顔がよいキャラクターたち。20万点。

 

 

 テンポ感がとにかくいい。コメディチックなバイオレンス、アンド適度に湿度感のある演出がうまい。緩急のよさ。そしてこれまた顔がいい。そして主人公がチョロいのでよい。楽しいをずっと引き出してくれる作品はいいよね、と読んでて思うくらいによい。画風をみてオッとなった人間には確実にヒットするはず。これによってヴァンパイア百合界がまた強化されたことは間違いない……*5

 

 

  なんらかの共依存と駄目人間がたくさん出てくる2019年ベスト短編集だよ!! それしかないよ!! 最高!!!! フゥーーッ!!!! サンキューGOT!!!!

 

  • 作者:隈井
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2018/10/25
  • メディア: コミック
 

  • 作者:隈井
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/09/26
  • メディア: コミック
 

  2018年は間違いなく『うさぎのふらふら』元年だったわけですが、どういうことか触れている人がほとんどいないのでここで言及するしかない。とにかく試し読み(うさぎのふらふら 無料漫画詳細 - 無料コミック ComicWalker)をしてその定義不可能な世界に度肝を抜かれてほしい、こんなことをやっている百合漫画はどこにもない。2巻のスカイツリー回は宇宙の法則そのもの。あなたたちはまだこれをお読みでないのか。

  

『かけおちガール』*6単行本化しないかなー、と思っていたところトーチでおなじ作者によるやべーのがはじまっていたが。百合というか引力を持っているやべー女の話。いまのところ2話まで読める*7志村貴子フォロワーの気風を感じる。

 

  • 作者:まにお
  • 出版社/メーカー: 一迅社
  • 発売日: 2019/11/18
  • メディア: コミック
 

  表紙のきれいなピンクがかわいい(物理書籍の印刷を見てくれ)。1話だけのコンセプト重視かと思ったらほかの話もさまざまなアプローチで仕掛けてくるのでたいへん好感を抱ける。これも説明したらよくない作品なので気になった方は心して試し読み(きたない君がいちばんかわいい 1巻(最新刊) |無料試し読みなら漫画(マンガ)・電子書籍のコミックシーモア)に向かってください。いちおう注意したからな。

 

 

  漫画がうまい、という話を聞いたので手に取ってみたらほんとうに漫画がうまくてびっくりした。自分はあんまり漫画技法(コマ割りとかそういうもの)を考えずに読む人間なのだがこれは感情を説明するのに人の配置とか間の使い方、なにより言葉がしっかりと乗っていて読者を掴んでくる。そんなことを思いながら読んでたら連作の最後でわざわざ「言葉」を強調していて案の定みぞおちにヒットするなどした……。百合専門誌とかWEBじゃなくて少年誌でやる話になっているのがつよい。わざわざ一年も経てば古びてしまうような時事ネタを作品に入れるのもつよい。

 

 

  いま最もアツい百合ラップ漫画こと『Change!』。この漫画のいいところはラップがなにを大切にしているかちゃんと丁寧に描いていること、少年漫画的なバトルをやっていること*8、なによりそれらと並行してケンカやご両親への挨拶などちゃんとステップを踏むところは踏んで百合をやっていること。

 今月で最終巻が発売ですが、12月16日までその前の5巻までの収録ぶんが以下のリンクからすべて読めるので2019年が終わる前にちゃんとみなさんは履修しておいてください。こちらからは以上です。喜びのサイファー。

pocket.shonenmagazine.com

 

 

*1:ガルラジ-「ガールズ ラジオ デイズ」-公式サイト

*2:2003年だぞ……。

*3:

*4:

*5:『となりの吸血鬼さん』や『キリング・ミー!』などの勢力のことを指している。

*6:

*7:追記:と思ったらこの記事を書いた直後に最終話が更新されていた。単行本描き下ろしもあるそう。

*8:巻数が増えるたびに戦いの複雑さ奥深さがわかるようになっており、主人公の急速な成長の基盤も説明してくれる。話の構成が合理的に組み立てられている。




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