座・高円寺で上演された、シェイクスピアがテーマのガチゲキ!!を見てきた。6つの劇団に同じテーマで芝居を上演してもらい、2つずつ組み合わせて観客投票で競うというものである。私は1日で全部見た。
1セットめはエンニュイ『平面的な世界、断片的な部屋-ハムレットver.-』対ZURULABO『GOLF』だった。『平面的な世界、断片的な部屋-ハムレットver.-』は、なんというか個人的に非常に趣味でなかった(面白いと思う人もいるかもしれない)。役者がワークショップをやっている様子を描く芝居というのは最近けっこうたくさん見かけるのだが、芝居をやっていない人には何か突拍子もない出来事(殺人が起こって犯人捜しが始まるとか)が起こらないかぎりただの内輪話みたいな感じで(しかもこれはループして個人に関する話が入るのでほんとに内輪話っぽい)、あんまり面白くないよな…と思った。ZURULABOは『夏の夜の夢』ベースなのだが、一応話に起伏はあるものの、男性に対する性的虐待をネタみたいに扱っていたり、パワハラの描写がえんえんと続いたりして別に面白い芝居というわけではなかった。
2セットめはほしぷろ『名前がカタカナの難しい人たち』対劇団鋼鉄村松『ヴェニス系ビジネスガール』だった。『名前がカタカナの難しい人たち』は、『トロイラスとクレシダ』ベースで、とくに序盤は役者がやたら台詞をとちったりしており、なんかものすごい稽古不足の芝居を見せられているみたいな感じだった。意図的にそういう演出にしているのかもしれないが、もしそうだとしたら全然うまくいっていないと思う。『ヴェニス系ビジネスガール』はアントニオならぬアントニアが底辺配信者でシャイロックなどを手玉にとっていたが、実は自分もバサーニオに騙されており…という話で、話としてはそこそこ面白いが、アントニアのおっぱいをネタみたいに使っていたり、全体的にミソジニーっぽいのが非常に気になった。
正直、まったく私の好みにあわないこのクオリティで1日6本見るのは勘弁だな…と思っていたが、3セットめの劇団だるめしあん『死ぬばかりの君たちへ~シェイクスピア♂学園~』対露と枕『ジュノーのかたつむり』はどちらも順当に面白く、この日初めて真面目に投票する気になった。『死ぬばかりの君たちへ~シェイクスピア♂学園~』は乙女ゲーとBLのオタク2人がシェイクスピアテーマの『花ざかりの君たちへ』みたいな乙女ゲーに入り込んでしまい、なぜか怨念インセルとして復活したシェイクスピアラスボスと戦うという話で、あらすじだけだと意味不明だが、女オタクふたりの協力を描いたフェミニスト的なコメディで、荒っぽいところはたくさんあるがちゃんとしたエンタテイメントだった。見ていてうすうす「これ作った人の誰かが私の『学校では教えてくれないシェイクスピア』を読んでる…?いやどう考えても思い過ごしだろう…」と思って見ていたところ、後で劇作家さんに新刊を読んだと言われビックリした。『ジュノーのかたつむり』は離婚式で起こったトラブルを描くこれまたちゃんとしたヒューマンコメディなのだが、この日見た中で一番シェイクスピア要素が少ないのと(『お気に召すまま』にヒントを得ているらしいが、ホントにヒントだけという感じで全体的にシェイクスピアっぽさがない)、クィア展開かと見せかけてきちんと回収されないところがあってちょっと拍子抜けした。