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実はアンチワークなコメディなのではという気もする~『しあわせな選択』(試写、ネタバレあり)

 パク・チャヌク監督の新作『しあわせな選択』を試写で見た。ドナルド・E・ウェストレイクの『』の二度目の映画化である。

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 主人公のマンス(イ・ビョンホン)は製紙会社につとめる真面目で経験豊富な会社員だったが、買収に伴うレイオフでクビになってしまう。同じ職種で収入が確保できる仕事を見つけるため必死に求職活動を行うが、就活で会った成功している製紙会社職員のソンチュル(パク・ヒスン)にバカにされ、殺意にかられる。マンスは就活の成功のためにライバルを排除すべく、同業の求職者を殺す計画を立て始める。

 韓国の製紙会社をアメリカの大企業が買収するというような展開でグローバル資本社会に対する諷刺が組み込まれていたり、韓国社会の習慣などが取り入れられているあたりは変更があると言えるが、かなり原作の『斧』に忠実で、業種(製紙会社)すら変わっていない。パク・チャヌクは原作付きのものを撮るのは上手いが、『お嬢さん』の時にはだいぶ『荊の城』を変更していたことを考えると、『斧』は現代的でわかりやすい話なのでそのままいけると考えたのだろうなと思うし、またその読みは当たっていると思う。風味はけっこう『パラサイト 半地下の家族』に似ているのだが、マンスはもっとミドルクラスの男性家長という意識が強く、さらに自閉症スペクトラムの子どもがいてその教育にもお金が要るので、体面を保つために何が何でも実入りのよい仕事が必要だというお話になっている。

 全体的に、仕事なんていうできればしたくないものを得るためにこんなに現代人は必死になって人まで殺す…ということで、資本主義社会において職業や収入がアイデンティティと一致してしまっているような状況を手厳しく皮肉ったコメディになっていると思う。一見したところ仕事探しを頑張る話…ではあるのだが、「ここまでして仕事が欲しい現代人って変ですよね」みたいな雰囲気がにじみ出ている作品でもあるので、実はアンチワークの精神がチラっとのぞく映画なのではとも思う。全体的にイ・ビョンホンの演技が大変良いのだが、とくに終盤で目的を達成すべく、依存症を断ち切るため止めていたお酒を飲んでしまうところは緊張感とダークなユーモアがミックスされていてなかなかドキドキした。

 




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