新国立劇場でウィル・タケット振付の新制作『くるみ割り人形』を見て来た。
今年は3本も『くるみ割り人形』(Kバレエと東京バレエ団)を見て、どれもそこそこ面白かったのだが、個人的にはこれが一番、初心者向けでわかりやすかった。まず、第二幕は通常の振付だとアラビアとか中国とか妙にステレオタイプなオリエンタリズムっぽい踊りがあり、私はここがあまりいいと思わないのだが(そもそもあれは今の子どもたちにピンとくるのだろうか…という気もする)、このプロダクションではそこが全部お菓子の国のスイーツダンスみたいなものになっていて、巨大ゼリーが出てきたりする。個人的にはもっとド派手にしてキャンプでふざけた方向性に突っ切ってもいいような気がするのだが(私が生まれて初めて見たバレエはマシュー・ボーンの『くるみ割り人形』で、今でもよく覚えているくらいは好きなのだが、どっちかというとこの演出はあの方向性にいきたいのかと思う)、子どもにわかりやすいものにするという方向では去年アイルランドのゲイエティ座で見た公演と共通性があって(あちらのほうがローカライズがしっかりしていたが)、このほうがいいのではないかと思う。周りに座っていた子どもたちも楽しそうだったし、踊りが簡単になっているので長年バレエを見ている人の間ではかなり不評なところもあるようだが、初心者としてはこっちのほうが全然わかりやすかった気がする。また、個人的に王子(李明賢)がかなり優しい色男風な雰囲気で、クララ(小野絢子)と息が合っているのも良かった。