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1950年代を舞台にしたスリリングなイプセン翻案~『ヘッダ』(配信)

 ニア・ダコスタ監督『ヘッダ』を配信で見た。イプセンヘッダ・ガーブレル』の翻案である。

 

  • Tessa Thompson

 舞台は1950年代のイングランドである。ガブラー将軍の庶出の娘であるヘッダ(テッサ・トンプソン)は大学教授を目指すジョージ(トム・ベイトマン)と結婚し、金銭的に無理して手に入れたお屋敷でパーティを開く。ところがパーティに以前、ヘッダの前の恋人でジョージと教授職を争っているアイリーン(ニナ・ホス)と、その現恋人であるシア(イモージェン・プーツ)がやってきて、事態がどんどん複雑になる。

 『フランケンシュタイン』同様、時代を原作から50-60年くらい後にし、さらにヒロインをミックストレイスかつバイセクシュアルの女性にすることで、女性が近代社会、とくにアカデミアで直面する問題をリアルかつスリリングに描いている。1950年代が舞台なのに、現代が舞台の『アフター・ザ・ハント』よりもアカデミアのイヤな感じ描写がリアルである。狭い世界で元カレやら元カノやらがうろうろいるとか、業績や職位に関して激しい競争があるとかいうのはもちろん、一見したところ自由そうなのに奥に保守性があるという描写がうまい。原作は何しろ19世紀末の北欧なのでアカデミアがかなり保守的かつリスペクタブルなのだが、この翻案では研究者がボヘミアンっぽい芸術家なんかとまざって飲んだくれたりふざけたりしている一方、女性や非白人はなかなか出世できない…みたいな感じが大変リアルだ。アイリーンはなんか風体からしてただ者ではないヤバい女なのだが、これでも男ならアカデミアでけっこうそのまま出世できているのかもしれない…などと思われるところもあって芸が細かい。

 そんな中で、安全だと思うやり方をとって結婚したヘッダが、同じく女性でかつての恋人であるアイリーンを見て、あり得たかもしれない自分を思い浮かべて嫉妬や不安にかられつつ、とはいえ非白人で庶出子である自分はああはできない…と思って葛藤に苛まれるところがスリリングである。ヘッダを中心に展開する泥沼の恋愛のテンションがかなりセクシーに描写されているのだが、一方でこのセクシーさは暴力や欺瞞と紙一重であるという危うさもある。終わり方は原作と違ってちょっとしたひねりがある。




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