イライジャ・バイナム監督『ボディビルダー』を試写で見た。
主人公である青年キリアン(ジョナサン・メジャーズ)は複雑な家庭環境で苦労して育ち、アメリカの田舎町で祖父の介護しながらボディビルディングに励んでいる。ボディビル界のスターであるブラッド(マイク・オハーン)に憧れて訓練に励んでいるが、なかなかうまくいかない。職場の同僚であるジェシー(ヘイリー・ベネット)にもデートで失敗してフラれてしまうが…
家庭内暴力スキャンダルで名声が地に墜ちているジョナサン・メジャーズが主演である。実際に暴力で逮捕されているメジャーズがこれをやったと考えるとなんだか怖い作品だ。既にいろいろなところで言われているが、『タクシードライバー』みたいなえらいきつい話で、意中の女性とのデートで失敗してフラれて…みたいな展開もそっくりだ。キリアンが初デートでジェシーに対して要らない忠告をしたり、いきなり自分の家族に関する重い話をしたりして(emotional dumpという名前がついている行為らしい)フラれるところは見ていてものすごく居心地が悪い。さらに終盤はボディビル界における不健全な個人崇拝や男性間性的搾取みたいな話まで出てきて、作品の出来じたいは悪くないのだが実に深刻で憂鬱な話である。同じボディビル界を描いた『愛はステロイド』もきつい話ではあったがあれはあれでクィアなユーモアがあるロマンスものではあったので、それよりだいぶ見るのに体力が要る作品である。