レイ・ヨン監督『これからの私たち - All Shall Be Well』を試写で見た。
香港で長年一緒に暮らしているパット(マギー・リン)とアンジー(パトラ・アウ)は、パットの親戚ともうまくやっており、家族みんなで中秋の名月を祝うなど幸せに暮らしていた。ところがパットが急死してしまう。レズビアンのカップルだったパットとアンジーには法的権利がなく、残されたアンジーは窮地に追い込まれるが…
最初の中秋のお祝いは家族みんなが集まって非常に幸せそうなのだが、その後パットが急死してからの落差がすごい…というか、順調だった時にはみんな仲良くやれていたのにそうでなくなると隠していた冷たい本音が出てくる様子がリアルに描かれている。長年のパートナーに先立たれたアンジーのところに、異性愛中心主義や家父長制の抑圧がすごい勢いで降りかかってくる。どうもかなりしっかりしていていろいろなところに顔が利く人だったらしいパットが生きている間は家族もちょっと遠慮していたような雰囲気があるのだが、亡くなるとみんなアンジーをパットの妻ではなく他人みたいに扱い始める。パットの遺志は無視されるし、比較的ものわかりが良かったと思われる家族のメンバーまで背に腹は代えられないとアンジーを追い出そうとする。こういう中でアンジーが気持ちを整理していく様子が丁寧に描かれており、ハッピーエンドとは言えないがそこまで暗い終わり方にはなっていない。同性婚が認められていないとどれくらい当事者が不平等の被害を受けるのかということを繊細に描いた人間ドラマである。