「《北欧の至宝》マッツ・ミケルセン生誕60周年祭」の試写で『アダムズ・アップル』(2005)を見た。
刑務所から仮釈放されたネオナチのアダム(ウルリク・トムセン )は牧師であるイヴァン(マッツ・ミケルセン)に引き取られて教会で更生プログラムを受けることになる。アダムは更生プログラム期間中の目的をイヴァンに尋ねられ、教会の庭にある木になったリンゴを使ってアップルケーキを焼くというテキトーな内容を答える。プログラムには他にもしょうもない連中がいるが、イヴァンは妙に前向きである。アダムは医者のコルベア先生(オーレ・テストラップ)から、イヴァンのとんでもなく不幸な半生を聞かされる。
聖書のヨブ記をネタにしたダークコメディである。不幸すぎるイヴァンはまったく現実を受け入れられず、そのせいで本人はポジティブ志向でコミュニティにいい影響も及ぼしているが、一方で周りの人は迷惑を被ることもあり…というようなところがひねったユーモアたっぷりに描かれている。イヴァンは非常に信心深いわりに聖書をちゃんと読んでいるとは思えず、説教の内容とか神学の理解もかなりあやしいもので、このへんがデンマークのキリスト教会をどれくらいあてこすっているのかはわからないのだが、なかなか風刺的である。