ティティ・シーヌアン監督『サッパルー!街を騒がす幽霊が元カノだった件』を試写で見た。
タイのイサーン地方が舞台である。妊婦だったバイカーオ(スティダー・ブアティック)が自殺し、地元の町に幽霊が出るという噂が広がる。ところがバイカーオの元カレであるシアン(チャーチャイ・チンナシリ)の前には幽霊が現れない。どうしてもバイカーオに会いたいシアンはベテラン葬儀屋であるザック(アチャリヤー・シータ)とその息子ジュート(ナルポン・ヤイイム)の手伝いをしながら幽体離脱を学んでバイカーオに会おうとする。
タイトルがふざけているが、内容はかなりちゃんとしたファンタジーホラーコメディである。幽霊が緩めであんまり怖くなく、どっちかというと亡くなった人に対する生きている人間の想いをどう整理するかみたいなことがテーマで、しめっぽくない軽めのコメディとはいえ真面目なテーマを扱った映画である。葬儀社の仕事が丁寧に描写されており、イサーン地方特有の葬礼などが紹介される一方、地方でも今はクリスチャンやムスリム、トランスジェンダーの人などが住んでいてその葬儀ももちろんあり、地元のふだんの宗教儀礼や習慣とは違う、現代的な状況で行われる葬儀に葬儀社が対応しないといけなくなって新米のジュートとシアンが右往左往…みたいな描写もある。そうした描写の積み重ねで、亡くなった人と気持ちの上できちんとお別れすることが生きている人間の人生にとって大事だということが示されていく。