新国立劇場で彌勒忠志演出のルネサンス音楽劇『ハムレット』を見てきた。舞台上に3つの大きな額縁があり、右側の額縁の後ろには古楽のミュージシャンたちがいて、額縁の後ろで演奏している様子はまるでバロック絵画みたいである。左側の2つの額縁は役者の入退場などに使用される。衣装も時代劇っぽく、全体的にバロック絵画を意識していると思われる。
ハムレット(片岡千之助)がかなり小柄である上、ほとんど少年みたいな雰囲気で、未熟で経験もないためなかなか大人の世界のいざこざに対応できないハムレットという感じである。男性陣はかぼちゃパンツとか帽子とか、かなり宮廷人らしいしゃちほこばった格好をしているのだが、このハムレットは帽子もかぶっていないし着こなしもラフで、途中からは狂気を装っているとはいえ、宮廷の型にはまった暮らしぶりにはなじめない若者である様子が衣装からわかる。また、若いわりには勇猛で狡猾に政治もできそうなフォーティンブラスが全部カットされているので、全体的に大人の世界で未熟な若者が困らされている話のように見える。
ポローニアス(我膳導)はめちゃくちゃ話が長くて困ったおじさんという感じで、序盤では娘のオフィーリア(花乃まりあ)もレアティーズ(高田翔)もポローニアスを避けている。レアティーズに説教しようとするところではあからさまにレアティーズが逃げてオフィーリアに押し出されている。オフィーリアがハムレットにひどいめにあわされた後もポローニアスはあんまり娘に対して優しい態度をとらず、かなりデリカシーのない年長者という印象だ。ただしポローニアスが出てくるところはけっこう笑えるところもある。