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健康の重要性を説く芸道大作~『国宝』(ネタバレ)

 李相日監督『国宝』を見た。

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 お話は1960年代の長崎で始まる。任侠の親分の跡取り息子として生まれた喜久雄(吉沢亮)は抗争で親を殺され、いろいろあって上方歌舞伎の人気役者花井半二郎(渡辺謙)に引き取られる。喜久雄は花井の息子である俊介(横浜流星)とともに厳しい訓練を受け、女方として注目されるようになる。血筋のない喜久雄に歌舞伎界は冷たいが、一方で半二郎は喜久雄を高く評価しており…

 映画としては大変面白く、また歌舞伎の舞台をちゃんと撮っているので見ていて全く飽きるようなところはない映画である。細かいお稽古の様子とか、早着替え場面などをふだん見えない角度から撮ってくれるところなど、舞台好きとしては(歌舞伎には詳しくなくても)おう、こんなことやってるのか…と単純に技術的に面白いと思えるところがたくさんある。吉沢亮横浜流星はどちらもとても美しい動きで本当に千両役者みたいに見えるし、田中泯演じる人間国宝の小野川万菊はワケのわからない迫力である。

 一方でたぶんドラマ1シーズン分くらいでやる話を3時間でやっているので、相当に詰め込みすぎの感がある。おそらくこれで割を食っているのが女性描写で、出てくる女性陣はまったく刺身のツマ程度にしか描かれていなくて奥行きが無い。本来ならば歌舞伎一家の娘で、男なら家業で出世できたのであろう寺島しのぶが出ているんだから、歌舞伎の血統主義だけではなく性差別主義も批判しても良さそうなものだが、それは全くやっていない。藤駒(見上愛)はあまりにも都合のいいキャラだし、最後に出てくる藤駒の娘、綾乃(瀧内公美)に至っては出さないほうが良かっただろうと思う…というか、あの終わり方はあまりにも喜久雄の生き方を単純に正当化していてダメだろうと思う。

 序盤は『仁義なき戦い』、中盤は生煮えの『ファウスト』、途中一瞬だけ『ジョーカー』みたいになって、全体的にやりたかったのはたぶん『さらば、わが愛/覇王別姫』だと思う…のだが、終盤で突然、ダメなディスアビリティ演劇みたいになるのはなかなか困ったなと思った。糖尿で片足を切断した俊介が、最後にもう一花咲かせたい、もう片方の足を切断する前に何かやりたい…と言って『曽根崎心中』のお初を片足でやり、苦しみ抜きながら最後まで演じてその後死ぬ、という展開があるのだが、いやいや健康第一なんだから危険ならもう片方も早く切断して、両方義足でも舞台に出られるようなやり方を考えるのが今後の舞台界にとってもいいことだろ…と突っ込まざるを得なかった。こういう死の危険を冒して舞台に…みたいなのを面白い話として提示するのはちょっとなぁ…と思う。なお、俊介も親の先代半二郎も不摂生だったらしくて糖尿で死亡しているのだが(遺伝もあるのかもしれないのだが、俊介が若い頃から飲み歩いている描写があって酒の席でやらかしでもするのかと思ったら病気の伏線だった)、喜久雄は酒もやらずに稽古が趣味みたいな真面目人間で(女にはだらしないがそこはあまり健康には関係ないと思われる)、全部見ると「やっぱり節制、健康、長生きが大事です」みたいな話になっているような気もする。




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